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日本は本当に「男社会」か

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こんにちは、花つ葉です。noteへは4回目の投稿です。今回は「日本は本当に『男社会』か」について思うところを書いてみたいと思います。

「男社会」とは

「男社会」「男性優位」「男尊女卑」などは、フェミニストが好んで用いるワードです。歴史的に日本はずっと男尊女卑の男社会だったために、今でも女性は不当な差別に苦しんでいる、なんて言い方をされます。

でも、本当に日本は「男社会」なんでしょうか。そもそも男社会とは何でしょうか。ちょっと辞典でも見てみましょう。

男社会
主に、男性優位や男尊女卑の傾向が顕著な社会、共同体、あるいは組織などを指す語。
(実用日本語表現辞典)

「男性優位」「男尊女卑」というワードが出てきました。若干トートロジーっぽいですが、まあ辞書なんてそんなもんでしょう。ともあれ、日本が「男性優位」で「男尊女卑」なら、日本は男社会だと言えそうです。

では、日本は「男性優位」「男尊女卑」なのでしょうか。

法的地位

言うまでもなく、日本国憲法は法の下の平等を明記しており、財産権も参政権も職業の自由も表現の自由も男女平等です。法的には男女平等は達成されており「男性優位」とも「男尊女卑」とも言えません。当然、法的地位の面から「日本は男社会だ」とは言えないかと思います。

なお、再婚禁止期間など一部に女性が不利とみられる争点がありますが、逆に遺族年金に関する取扱いなど男性差別とみられる争点もあります。いずれも社会情勢などを見ながら検討を続ける必要がありますが、これをもって「男社会だ!」「いや女社会だ!」と社会を断ずることはできないのでは、と思います。

政治的決定権

法的権利と同様に大きな影響を及ぼすのは、政治的決定権でしょう。関心のある人はご存知でしょうが、日本のジェンダーギャップ指数は世界120位と、G7先進国で安定の最下位です。これは政治家が男性ばかりで、女性比率が低いことが一因となっています。

平成30年2月現在(ちょっと古いですが)国会議員に占める女性の割合は、衆議院10.1%(47人),参議院20.7%(50人)。女性の圧倒的な少なさは目を覆うばかりです。これは明らかに「男性優位の男社会」の証拠だと言えるではないでしょうか。

でもちょっと待ってください。日本は民主主義国家であり、国会議員は国民の代表に過ぎません。誰が国会議員になるかを決めるのは我々有権者です。

ではその有権者数はどうなっているでしょうか。おおよそ50:50かなと思う人も多いでしょうが、実は女性の方が多くなっています(例えばH29衆議院議員総選挙ではおおよそ男:女=51:54)。

この不均衡は女性の方が長寿であるため生じるものですが、理由はどうあれ数の上では女性の方が多いわけです。政治的決定権に関して言えば「男性優位」どころか、明らかに「女性優位」であるわけです。

日本では政治家に男性が多いことから「日本は男社会」であると思い込んでしまいそうになりますが、そうではありません。政治家に男性が多いのも、数の上では女性が多い「有権者の意思」の反映。長寿社会がもたらした「女性優位」の政治体制が、男性政治家を望んでいるわけであって、決して「男性優位の男社会」なわけではありません。

社会情勢1(幸福度)

政治的決定権では「男性優位」どころかむしろ「女性優位」であることが分かりましたが、では社会情勢はどうでしょう。

社会情勢が「男性優位」や「男尊女卑」であるかどうかは判断が難しいところですが、例えば「男女の幸福度」などは参考になるのではないでしょうか。「男尊女卑社会」であれば、男性の社会満足度=幸福度が高く、女性のそれは低いことが予想されますが・・・

男女幸福度格差(時系列)

奇妙なことに、昔から女性の幸福度が男性の幸福度よりもずっと高い状態が続いているようです。「男性優位」の「男尊女卑」社会で、男性の幸福度が女性のそれよりも低い、なんてことがありえるでしょうか。あるいは「男尊女卑」社会に女性は十分満足し幸福を感じているという事でしょうか。

男女幸福度格差

日本男女の幸福度の差は、他国と比べても群を抜いています。世界中見渡しても、日本はトップクラスに「女性の方が男性よりも幸福な国」といえるわけです。果たしてこれで日本は「男尊女卑の国」と言えるでしょうか。

社会情勢2(寿命)

幸福度の他に、例えば寿命などはどうでしょうか。男尊女卑社会であれば、男は大切に守られその生命を尊重され、逆に女性の命は紙屑のように使い捨てられ医療介護も後回しにされるでしょうから、男性の方が長寿、女性は短命といった結果が観察されそうです。

男女寿命の国際比較

上記は2010年の調査です。この表は左へ行くほど平均寿命が長く、下へ行くほど女性が長寿(男性は短命)になります。表の上の方にあるカタールやボツワナは「男性の方が長寿」な国ですが、日本はフランスや韓国と同程度に「女性の方が長寿」な国です。男尊女卑どころか、女性の命は大切に守られ尊重され、逆に男性の命は使い捨てられ医療介護も後回しにされてるかのような結果です。

上記のリンクを詳しく見ていただければ、日本の女性はジェンダー平等で名高いスウェーデン、オーストラリア、ニュージーランド、カナダよりも大切に優遇されているされていることが分かるかと思います。

社会情勢3(自殺率)

あるいは、自殺率はどうでしょうか。男尊女卑な社会であれば、男性の命は当然に尊いものですから、自殺にいたる前に救済の手を差し伸べるはずです。逆に女性の命は軽んじられるわけですから、貧困問題だろうと経済問題だろうと、女性は放置されるはずですが・・・

自殺率

やはり到底男尊女卑とは言えない、むしろ女尊男卑と言えそうな結果ですね。男性の自殺は圧倒的に放置されているのが現状です。

「男社会」という前提を壊せ

いろいろと社会情勢を見てみても、「男性優位」「男尊女卑」と言えそうなデータは出てきません。それどころが逆に、日本社会は「女性優位」「女尊男卑」と言った方が良いのではないかとすら思えてきます。

結論すると、わが国では法の上では男女平等が保障されており、政治的にも有権者数で言えば女性の方が多く、「政治家は男性が多い」は女性の意思の反映に過ぎません。社会情勢を見ても男性優位の傾向はどこにも見当たりません。法的にも、政治の面でも、実質的な利得の上でも、日本は「男性優位の男社会」であるという認識は誤っているわけです。

フェミニストと議論するようなことがあれば、まずこの事実を忘れないようにしてください。フェミニストは日本が「男尊女卑の男社会」であることを議論以前の前提として女性差別を主張してきますが、そもそも日本は「男社会」ではありません。この前提に疑問符をつきつけるところから議論を始めていただきたい、と思います(まあ、もし議論をしたいなどという酔狂があるならば、ですが)。

具体的には「社会の差別構造が女性を抑圧し男性優位な構造になっている」といった差別構造論、あるいは「歴史的に男性は女性を支配し」と言った男性原罪論。こういった論建てには「前提から間違っている」を突き付けていきましょう。いわゆる「テコ朴理論」も男性がマジョリティであるという前提で構築されますが、その前提がまずおかしいわけです(まあテコ朴理論は何から何までおかしいですが、たまに本気で主張してくる人もいるんですよね・・・)。

テコ朴

虚像に惑わされるな

日本が今抱えてる諸問題や、日本の未来について考えていこうという時に、誤った前提をもっていては現状認識も誤ってしまい、どう頑張っても正しい結論には辿り着けません。フェミニストは色々と言辞を弄して日本は男社会だと思い込ませようとしてきますが、日本は男尊女卑の男社会などではありません。日本は十分に女性の政治的意志や幸福や健康に配慮された、世界でもトップクラスに女性が幸福な国だという認識から、これからの日本の進むべき方向を考えたいものです。

なお、本論では触れませんでしたが、企業社会の構成(例えば経団連のメンバー男女比)も決して「男尊女卑」などではありません。「バリバリ働いて管理職になりたい」「出世して役員になりたい」という女性の多寡が、企業役員の男女比に反映されているだけではないでしょうか。その意味では、国会議員の男女比同様、女性の意思が十分に現実に反映されている、と私は思います。

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