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M1チップ搭載iPadはオーバースペックなのか?

iPad Proに続き、iPad AirにもM1チップが搭載された。これにより、「iPadをMacに近づけたい」というAppleの意図がより鮮明になった。ただ、ここで注意を要するのは、Appleに「Macと同じにしたい」という意図があることを意味しない、ということである。

つまり、Appleにとっては、iPadはあくまで、iPhoneとMacの中間を埋める(補完する)「第3のデバイス」だということだ。iPhone、Macを脅かさない範囲で、独自の魅力を発揮し、たくさん売れるか。これがiPadというデバイスの本質だと言える。

その上で、M1搭載iPadの存在意義について考えてみる。ちまたには、iPadにM1を搭載するのはオーバスペックだ、とする意見がある。ボクとしては、もっともな指摘だと思うものあるが、まるでピントはずれの指摘だと感じるものもある。

もっともだと思うのは、iPadOSやiPad用のアプリでは、M1の性能をフルに活用することができないという指摘だ。

iPadOS15以降、iPadでもなんちゃってマルチタスクができるようなったが、macOSのように、たとえば、10を超えるアプリを同時に動かすといったことは、iPadOSやアプリの仕様上、そもそもできない。M1搭載iPadには、メモリ容量16GBのモデルも存在するが、「iPadに16GBも必要なの?(そもそも使えるの?)」というわけだ。

M1搭載iPadに設定された16GBというメモリ容量がオーバースペックだという指摘については、ボクも同意する。なお、メモリ16GBが選べるのはiPad Proのみ(しかもストレージと抱き合わせ)で、iPad Airは選べない。

ピントはずれだと思うのは、M1チップそのものがオーバースペックだとする指摘だ。ボクとしては、iPadのチップ性能が向上して、なにも困ることはないので、オーバースペックと言われても、困惑するしかない。CPUやGPUの性能向上は、メモリと違って、基本シングルタスクのiPadOSであっても、その恩恵にあずかることができる(はずだ)。

にもかかわらず、「そんなスペックは必要ない」とばかりに切り捨ててしまうのは、理解できない。「M1に個人的な恨みでもあるのか」とカンぐってしまいそうになる。

「M1は身の丈を超えた性能」という意見もあったが、重いファイルを開くとカクついたり、フリーズしたりするのが、この人にとっては、身の丈に合った性能なのだろうか。百歩譲って、M1が身の丈に合っていないとしても、ミスリードを避けるためにも、「iPadにM1はオーバスペックだ」ではなく、「私にはM1はオーバースペックだ」と言うべきだと思う。

ボクの意見をまとめるとこうなる。

M1搭載iPadは、オーバースペックではない。前モデルに比べ、大幅に向上したCPU、GPU性能は、おそらく誰にでも、すぐにその恩恵を受けることができるからだ。ただし、16GBというメモリオプションを除いて。オーバースペック論者を黙らせるため(言わせたままでも良いが)には、M1チップへのiPadOSの最適化(マルチタスク化)がマストである。