[表現場面]について (人間の矛盾を理解出来なくなった私達へ〜現状の日本の左派右派の間違い本質~へ…の追論)

[表現場面]について

人間の矛盾を理解出来なくなった私達へ〜現状の日本の左派右派の間違い本質~…」では、(1-4.[蓄積された法秩序]についてで軽く触れたものの)人間の<表現>([表現場面])について、詳細な説明がないとの不満を持つ人もいたかもです。

人間の<表現>も大変重要な要素です。
また、<表現>されたものの背後に、([生産場面]、[寛容場面]、[消費場面]といった)<表現>とはズレている人間関係の矛盾を見る必要があります。

そんな人間の<表現>が成される[表現場面]について図式化したのが、下の図αになります。

[表現場面]は、図αのクリーム色の領域で示されています。

人間の<表現>は、図αのクリーム色の領域の広さからも分かるように、[生産場面]、[寛容場面]、[消費場面](あるいは[蓄積された法秩序])など、ありとあらゆる場面で成されています。

例えば、(その出会う場面は限定されませんが)ある人に出会って、この人は何だか好みだな‥(あるいは何だか感じの悪い人だな‥)と思ったとします。
するとその親和性(あるいは違和感)は、一つの表出として心に立ち現れます。

その表出が次第に積み重なり、ある価値を持った厚みになると、その表出の厚みは<表現>として外に提示されるようになると思われます。
これが人間の(一つの)<表現>になります。

この時に、相手が好みの人(あるいは感じの悪い人)と<表現>されます。

そして、その背後には、(「人間の矛盾を理解出来なくなった私達へ…」の2.で触れた)その人の本来の〔根源的な安心〕、〔根源的な寛容〕、〔根源的な秩序〕の、(安心~不安、安定~不安定)グラデーションからの距離が、価値(内容)として控えられます。

つまり、その人の本来持っているグラデーション価値観からの距離が、<内容>として<表現>されるのです。

難しく言っていますが、あっさりと言えば、自分の価値観を基準にした<表現>を、みんなそこかしこで行っているという話です。


ところで、この人間の<表現>は、何も全ての人にとって心地良い訳ではありません。
その人にとって重要な<表現>が、相手や他の人にとって不快になるという事も少なくないのです。

例えば(良くないですが)誹謗中傷なども、一つの<表現>になります。
もちろんそれに対して不快感を示す<表現>も重要な表現になります。
また、行き過ぎた不快な<表現>は、法的にかなり厳密に限定される形で(名誉毀損の要件、その例外要件など(弁護士ドットコム))制限もされます。

ただ「表現の自由」は大変重要な権利で、その制限は萎縮効果を生まないように、かなり厳格で最小限である必要はあります。(衆議院憲法調査会事務局 2004年4月1日)


しかし、優れた<表現>は、1個人の〔根源的な安心〕、〔根源的な寛容〕、〔根源的な秩序〕の(安心~不安、安定~不安定)グラデーションからの距離の価値観に限定されず、多くの人の価値観を横断し深層に達する形で表現され、多くの人に感銘をもたらします。

そしてその優れた<表現>は、[生産場面]、[寛容場面]、[消費場面](あるいは[蓄積された法秩序])での総体的な人間の矛盾を包括した、あらゆる人に通じる表現にもなっています。
つまり、優れた<表現>は、[生産場面]での「欲望」の解放、[寛容場面]での安心感や別の価値観、[消費場面]での離脱願望や全体の取り戻し、あるいは母胎回帰や秩序破壊の欲求‥といった、あらゆる矛盾と価値観を(そのバランスは優れた<表現>(作品)毎に違えど)含んでいるのです。

それを図式化したのが下の図βになります。

図βの左上の★優れた表現の矢印の部分が、優れた<表現>の領域です。

そしてその優れた<表現>は、[消費場面]から、人の「《個人の全体》の取り戻し」の一つとしても求められます。(図βの左上の青い矢印)

また、優れた<表現>は、[生産場面]で提供される商品としても機能します。(図βの中央上の赤い矢印)

優れた<表現>の表現者は、表現のプロとして、[生産場面]で、優れた<表現>によりお金を稼ぐ事も可能になります。
(例えば、作家やアーティスト、ミュージシャン、スポーツ選手、[生産場面]での商品の価値を上げる様々な表現者など)


ただ、こんな優れた<表現>を生み出す人はごく一握りであって、私達は、[生産場面]、[寛容場面]、[消費場面](あるいは[蓄積された法秩序])の矛盾を生きながら、それぞれの場面で日々、小さな<表現>を生み出しています。

その小さな<表現>の価値も、軽く扱う事は出来ません。
それぞれの場面での、それぞれの人達(私達)の小さな<表現>も、私達を迂回させたり日々を豊かにしているのもまた事実なのです。

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