イアン: みんなに知ってほしい、気候変動の「今」 OR 温暖化、令和で解決できるかな?
4月22日はアースデイでした。そして明日からいよいよ令和です。
そんなタイミングだからこそ、私たちの生活の全てを支えてくれている地球に今何が起きているのか?知っておきたいものです。
ということで、 今日は気候変動に絞って、最新の情報を皆さんにお届けしたいと思います。
僕は、大学生の頃から気候変動問題に取り組んでいますが、確実に状況は悪化しています。これ以上放置していたら世界中で大変なことになるので、気候変動が令和で解決されることを願って、平成最後にこの記事を書くことにしました。
日本語では圧倒的に情報が少ないので、海外の報道や調査を5つの項目にまとめて紹介します。
5つの項目はこんな感じでまとめています:
大気中のCO2のこと
地球の表面温度のこと
海のこと
氷のこと
再エネのこと
となっています。それでは、平成最後の気候変動まとめ記事、お届けします!
260万年ぶりに、大気中の CO2 の濃度が 411 ppm に到達
2019年3月5日、ハワイのマウナ・ロアナにある研究所で、大気中の CO2 の濃度が 411ppm を超えたのが観測されました。これは人類の歴史上、最も高い数値となります。
研究者によると、以前地球の CO2 の濃度がこれほど高かったのは、520 ~ 260万年前の「鮮新世」の時。この時代、地球の温度は平均で今より3-4℃高く、グリーンランドの氷は完全に溶けきっていて、海面は15-20メートルも高かったと言います。
大気中の CO2 濃度が 411 ppm を超えたからといって、すぐに 260万年前のような世界に変わるわけではありません。地質学と気候変動の専門家マーティン・シーゲルトは、英紙ガーディアンの取材に対し、今の地球の状況をこう説明しています:
「自宅のオーブンを200℃に設定しても、すぐにその温度まで上がりません。しばらく時間がかかります。今の地球はそういう状況です。」
過去の気候は、現在の気候が向かう先を教えてくれます。また、大気中の CO2 濃度を元に、地球の温度がどこまで上昇するか、比較的正確に予測することが可能です。今大気中にある CO2 の量は、いずれ 4℃の温暖化、15 ~ 20m の海面上昇を招いてしまうかもしれないのです。
人類史上 99%の間、地球のCO2 濃度は約 280 ppm を保ってきました。しかし、これが産業革命から急上昇を続けています。その原因は、1850年ごろに始まった石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料の燃焼にあります。化石燃料を燃やすと、CO2 を含む温室効果ガスが大気中に大量に放出されます。
今でも、年間約40ギガトン(40,000,000,000トン)のCO2が大気に放出されています。「オーブン」の設定温度を下げるためには、まず CO2 の排出量を急速に減らす必要があります。
2018年、2019年、世界中で記録的な暑さ
2018年は地球の表面温度が、観測史上 4番目に暑い年としてランクインしました。平均表面温度が最も高い年は(1位から3位の順で)2016, 2015, 2017 と、全て過去5年以内におきています。
トップ10は、10位を除いて全て2000年以降におきています。地球の表面気温が右肩上がりに上昇していることはもはや否定できません。
イギリス気象庁は、2018年以降の5年間はさらに記録破りの暑さになると予想しています。実際に、2019年に入り各地で最高気温の記録更新が相次いでいます。
ニュージーランドでは、157年の観測史上最も暑い1月の気温を観測しました。オーストラリアでは、国全体の1月の平均最高気温を更新しています。一月に、南部に位置するアデレイドは46.6度、ポートオーガスタでは49.5℃と、いずれも過去最高記録を観測し、オーストラリア全土では外出を控えるよう政府から勧告が出されました。
<australia heatwave picture>
過酷な暑さは、自然動物にも影響し、数十万にのぼる魚の大量死、熱中症によるカンガルーの気絶、弱ったオオコウモリが木から落ちる事態になり、ニュースで大きく報道されました。
2019年の7月、日本は熱波により各地で記録的な暑さになりました。東京では、観測史上初めて40度を超える気温が観測されました。日本は2018年に、熱中症による緊急搬送者数が過去最多を記録しています。温暖化は、カンガルーだけではなく、人命に関わる危機へとすでに発展しているということです。
https://www.ecowatch.com/oceans-hottest-year-2018-2626159569.html
3)膨大な熱を蓄積する海。観測史上最高温度を記録。
2018年、海の平均年間水温が過去最高を記録しました。
海は、温室効果ガスが地球に閉じ込めた熱エネルギーの93%を吸収しています。大気に残留している熱エネルギーは、たったの2%前後。圧倒的な量の熱エネルギーが海に取り込まれているのです。
これまで、海の温度の上昇がコンピュータモデルによる予測と合意していないことが、科学界で注目を集めていました。
というのも、コンピュータモデルによると、膨大な熱エネルギーを閉じ込めた海の温度は、実際の観測データが示すよりも、はるかに高くなっているはずでした。
コンピュータモデルが間違っているのか?それとも観測データが間違っているのか?その議論の決着がついに、今年の1月につきました。
世界約3900地点で水深2000mから海面までの水温を観測している「ARGO」というシステムのネットワークから上がった正確な観測データが、モデルが示したトレンドと一致したのです。具体的には、2015年以前の観測データが示していたよりも、25% ほど早い速度で海が温暖化していることがわかりました。
先ほども言ったように、地球に蓄積している熱エネルギーのほとんどが海に取り込まれています。そのため、地球の表面よりも海の温度の方が温暖化の進行をより正確に表すと言われています。
1958年に始まった観測史上、もっとも海の平均気温が高かった一年は、暑い順で 2018, 2017, 2015, 2016, 2014 年です。著しく上昇傾向にあることがわかります。中国の研究チームによると、海の温度も計算に含むと、2018年は観測史上もっとも暑い一年でした。
海の温暖化は様々な問題をもたらします。海水温の上昇により、過去30年で世界中のサンゴの 50%が死滅しました。サンゴ礁には、5億人が様々な形で頼りながら暮らしていると試算されています。
2月に発表された調査によると、海の温度の上昇の影響で、現時点ですでに世界中の魚資源が 4%低下しています。獲りすぎの問題で低下している魚資源に、温暖化が追い打ちをかける形になっているのです。他の調査では、温暖化を2度未満に防止できたら、年間1,000万トンの漁獲量が保護できると試算されています。
イギリスの調査チームによると、海の熱波の数が3倍に増加していることが明らかになっています。カリフォルニアの山火事のように、海の熱波は起こるたびに海の生態系に壊滅的な打撃を与え、長期的な悪影響をもたらします。
サンゴ礁や海の生態系への影響の他にも、海水温の上昇は海面上昇や、海水の脱酸素や酸性化、台風や嵐の強力化を招きます。海面上昇に関しては、サトシが書いたツバルの記事をご覧ください。脱炭素化や酸性化、それらがもたらす被害に関しては、また今度!
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