イアン: 「ツバルへようこそ」その1:楽園の人々(2019/06/07)
みなさん、お元気ですか?
早速だけど、ここでクイズ。
東京から南東に 6400km 進むと、そこには何があるでしょう?
たどり着くのは、南太平洋のど真ん中。
そこには人口10,000人の小さな小さな島国、ツバルがあります。
「悲劇の楽園」とか「温暖化に沈む国」とかすごい言われようだけど、
ツバルには、一体どんな「日常」があるんだろう?
2018年1月。あまりに気になったので、行ってみた。
今日は旅から持ち帰ったポラロイドを、みんなに見せたいと思う。
写真が多いので、3回に渡って紹介する。
第1回のテーマは「楽園の人」。
少しでもツバルの雰囲気を味わってもらえたら嬉しい。
東京からツバルへは、最短で二日間かかる。
まず韓国に飛び、フィジーを経由し、最後はプロペラ機に乗り込みツバルの首都「フナフティ」を目指す。
最近は東京からフィジーへの直行便が出たのと、ツバル行きの便も増えたらしく、少し行きやすくなったんだとか。
ツバルに到着すると、空港にはたくさんの人が。
でもおかしい・・・飛行機に乗っていた3倍ぐらいの人がいるぞ。
「誰か迎えに来たんですか?」
「いやぁ、べつに。」
ほとんどの人が、誰かを迎えに来ているわけではないそうだ。
一体、どういうこと?
当時、ツバルへは1週間にたったの2便しか飛行機が行き来していなかった。
久々の飛行機到着は一大イベント。「どんな人が来るのかな〜?」ととりあえず見に人が集まるのだ。
みんな暇なのだ。
おばちゃん(お姉さん?)たちが空港のすぐ外の木陰で、貝殻のネックレスを売っていた。これは、旅立つ人への贈り物。
「元気でね」と思いを込めて去っていく人の首にかける。
1月のツバルはむちゃくちゃ暑い。日中の日差しは信じられないぐらい強い。肌がジリジリと焼ける。
あまりの暑さに犬もこの通り。
魚もこの通り、頭から水に突っ込んでいる。
人は、暑さをしのぎたい時は「ウム」で休憩する。
「ウム」とは昔ながらのツバルの東屋のこと。機能としては「リビングルーム」に近い。
木や葉っぱで作られていて、壁がないから風が抜けて涼しい。コンクリでできた家の中よりも圧倒的に快適なので、家にいる時は大抵ウムで過ごす。
ツバルを歩いていると、あちこちにウムがある。
島の人たちはその上で寝たり、家族で会話をしたり、テレビを見たり、作業をしたり、ゆっくりとした時間を楽しむ。
ツバル人はみんな優しいので、歩き疲れ休憩したい時は「タロファ〜(こんにちは)」と声をかけて、ウムの日陰を貸してもらったりした。
運が良い時は、ココナッツが振舞われた。
木からむしりとったココナッツにナイフで穴をこじ開ける。そして、たっぷたぷに上まで詰まったココナッツウォーターを火照った体に流し込む。
ゴクゴクゴク。ブワ〜ッッ!!うまし!
旅の間、ココナッツに病みつきになった。
でも、食物繊維が豊富すぎたのか、僕は飲むたびに下痢になった。
それでもおいしいから飲む。そして下痢をする。
ツバルにいた1ヶ月半は、ひたすらこのサイクルだった。
ちなみに、ツバル語でココナッツのことを「ピー」という。
ネーミングぴったりすぎ。
ツバルの海は美しい。
海でうんこする人もいるらしいけど、それでもまだまだ美しい。
ツバルの人は海を頼りに生きてきた。輸入品が入ってくるまで、主食は魚とイモ。
すぐ上の写真は、夕暮れ時に釣りを楽しむアピネル。
滞在した間、アピネルの家でお世話になった。
魚の鱗をとるアピネル。
アピネルは、喋り方がクシャクシャしてて可愛らしい、よく寝るおじさんだった。
テンションが上がると、裏声で「ひーひっひっひっ」と笑うところが好きだった。
いつかまた会いたいな、アピネル。
酔っ払ってウムで爆睡するアピネルの息子。この時は12時間くらい寝続けていた。
ココナッツの中身をしぼるアピネルの奥さん。夕食の準備中。家の実権を握るのは彼女。
これは、アピネルとは全く関係の無いおっさん。
でもこの全く関係の無いおっさんが中々面白かった。
「おー!お前さんは日本から来たのか!」
と言うので、うんと答えたら、得意げにこう言うのだ。
「おれは日本語で名前が書けるんだ!昔、船乗りをしててな!日本に行ったことがあるのさ。ジャッパニーズガールは美人だな!」
「はぁ・・・」
「ほら、その写真をよこしてみろ、名前を書いてあげよう!」
カキカキカキ・・・
「ほらよ」
・・・?!
・・・・パ?
このおっさんの名前に「パ」は入っていない。
もう謎すぎるし、暑すぎるし、僕に突っ込みを入れる余力はなかった。
下は、おっさんの孫たち。
ある日、島にある唯一のホテル(他にはホステルしか無い)に日本の国旗が掲げられていた。
おや?と思って周りに聞いてみたら、日本大使が来ているらしい。
「今夜は日本大使をもてなすパーティがあるらしいよ。」
ツバル在住の日本人、カトちゃんが教えてくれた。
「よし、行ってみよう。」
軽い気持ちで足を運んでみたら、こうなった。
左から、ツバルの首相 エネレ・ソボアンガ、カトちゃん、エネレの奥さん、ニーナ、日本大使。
「日本から来た私の友達だ。」
そう言って、エネレが僕のことを日本大使に紹介した。
硬直した笑みを浮かべ、ゆっくりと頷く日本大使。
いくらツバルとは言え、これは一国の首相が一国を代表する大使を迎える、国家レベルの大切な催しだ。
「友達て・・・」
あまりにもゆるい。でも、このゆるさがたまらなく好きだ。
こんなゆるさで世界が動いていたら、きっともっと平和だと思う。
上は首相官邸。「友達」は出入り自由。
ツバルでは、誰もが「友達」だった。
みんな、ツバルのことを「楽園」と呼ぶ。
最後にツバル名物「寝るおっさん」をお届けして、
今回はおしまい。
次のテーマは「離島と循環とゴミ」を予定中。
トーファー!
(ツバル語でさよなら)
***第一回はここまで***
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