『天国、それともラスベガス』とメッカの方向- キブラで感じる地球の丸さと16億人
突然ですが、「地球の丸さ」を意識することに関して、ムスリム(イスラームの教徒)の人たちは僕ら以上にリアルな感覚を持っているんじゃないかと思ったんですよね。僕もデスクに地球儀を置いたりして地球の丸さを意識しようとはしているけれど、全然かなわない気がする。
何故かというと、ムスリムの人たちは1日に5回の礼拝の時間を持ち、そのたびにサウジアラビアにある聖地メッカのカアバ神殿の方角に向かって祈りを捧げているからです。世界のどこにいても、メッカの方角を意識する時間が1日に必ず5回ある。そのたびに、地球の表面に沿ってメッカへとまっすぐに向かう線を想像するのかな。それって一体どういう感覚なんだろう?
その感覚を知るために、僕もムスリムの人たちのように、東京からみたメッカの方向を調べてみることにしました。
1. キブラシールを入手
「メッカの方向」ということで思い出したのが、海外のホテルの天井などに貼られた矢印のことです。日本のホテルだとそんなに多くはないと思うのですが、ムスリムが利用する機会の多い国や地域のホテルだと、客室の天井なんかにメッカの方向を示す矢印が書かれていることがあります。
ムスリムの礼拝について書かれたサイトをみたところ、メッカの方向を「Qibla(キブラ)」と言うそうです。そこで「キブラ」でAmazonを検索すると…売ってましたよ、キブラシール。
このキブラシールは、イスラームの礼拝関連アイテムをオンライン販売している、東京都北区の「AMプロジェクト」さんのものです。AMプロジェクトのAMは、アクセプト(受け入れる)・ムスリムの略だそうで、訪日ムスリムの受け入れに役立ちたいとの思いで事業をしているとのこと。
ということで早速注文しました。このシールを僕の自宅デスクの天井に貼って、いつでもメッカの方向が分かるようにしたいと思います。
2. メッカの方向を探す
さて、手に入れたキブラシールをきちんとした方向に貼るために、いよいよメッカの方向を探します。調べてみると、Googleが「Qibla Finder」というサービスを提供していました。流石って感じ。
Qibla FinderをPCのブラウザで開くと、地図で方角を示してくれます。
さらにこのサイトをスマートフォンで開くと、キブラの方向をカメラの映像+ARで教えてくれるという親切設計です。こんな感じ。
そしてカメラの中央にキブラが合うと、こんな画面になります。
うちからカアバ神殿まで9473kmもあるのか。地球円周のほぼ1/4ですね。
こうして分かったキブラの方向ですが、東京からだと西北西になりました。北緯36度の東京から北緯21度のメッカを目指すから、メルカトル図法の世界観だと南かなって感じがしちゃうところ、以外にも北よりの方角だと分かる。いやーこれですよ。こういうところにリアル地球のリアル丸さを感じるじゃないですか。楽しい。
正しい方角が分かったので、天井にキブラシールを貼りました。この矢印の方向9473kmの彼方、丸い地球の表面を1/4ほどいったところに、カアバ神殿があるんだな…。
3. キブラで感じる、地球の丸さと16億人の存在
世界人口60億人のうち、イスラームを信仰するムスリムはおよそ16億人だそうです。僕はムスリムではないし、残念ながらムスリムの友人もいなくてあまり実感がなかったけれど、人類のうち実に4人に1人はムスリムなんですよね。なのに僕は、彼らのことをほとんど知りません。
その一方できょうもまた、16億人のムスリムが世界各地でメッカを向いて祈りを捧げています。「全国礼拝時刻表」というサイトで調べてみると、1日5回の祈りのうち一番最初の「夜明け前の祈り」の時間は、きょう(8月18日)の東京だと午前3時28分だそうです。想像より全然早かった。夜寝たあとで1回夜中に起きる感じなのかな。大変だ。
彼らはそれを毎日やってる。子供の頃から、たぶん死ぬまで。
ほんと僕は知らないんだな。知らないことばっかりだ。
けれど、自宅デスクの天井に西北西に向けて貼ったキブラシールを見るたびに、僕は地球の丸さを感じ、さらにその方向をみて祈りを捧げる16億人の存在を、少し身近に感じられるようになった気がします。
コロナの影響はまだまだ続いていて、今は世界各地との自由な往来が難しい状況ですが、そんな中でもまだまだ知らないことばっかりの世界を感じるため、僕は東京でデスクのチューンを続けたい。
…とか考えてたら、夜中の3時半を過ぎました。今頃、東京のムスリムの人たちは西北西に向かって祈りを捧げてるんだな。それが今日、僕がこの自宅デスクから想像できるようになったことです。
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