見出し画像

日記#3 緋色の研究(アーサー・コナン・ドイル)

一週サボってしまいました。三日坊主ならぬ3週間坊主です。改めて文章化するストレスを実感してますが楽しいので続けたいと思ってます。
休んでしまった分はどっかでまとめて更新したいと思います。ネタはあるんですが新鮮なものの方が良いと思っているので読み返したりしてると意外と書けるものが少ない、リクエスト募集中。

はじめに

今回書くのは”緋色の研究”という小説だ。この名前ではピンと来ない人もシャーロック・ホームズの第1作だと言うとピンと来る人や、シャーロック・ホームズに第1作があるのかと驚く人もいるだろう。日本では”シャーロック・ホームズの冒険”や”シャーロック・ホームズの回想”といった短編集が有名であり、4冊の長編は短編に比べると有名でないこともある。

1886年に医師であったコナン・ドイルが執筆した”緋色の研究”はシャーロック・ホームズシリーズ誕生のきっかけとなっただけでなく、ドイルの作家人生の始まりにもなった小説である。この本に関する歴史や小ネタはシャーロック・ホームズの研究者もいるくらいであるから無数に書けることはあるのだが、本文の趣旨から外れるのでやめておこう。しかし非常に面白いので、興味がある人は是非調べてみてほしい。

シャーロック・ホームズを読む方法はいくつかあるが、今回私が読んだのは創元推理文庫の深町眞理子氏の訳版だ。私はいくつかの訳を読んだことがあるが、2010年の訳版ということもあって非常に読みやすく、かつ解題なども綺麗に纏まっていた。オススメだ。

https://www.amazon.co.jp/dp/4488101186/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_0TIBEbAT6W05G

もっと手軽に読みたいんだい!という人はなんと青空文庫で無料で読めちまうんだ!(キャラ崩壊)

https://www.aozora.gr.jp/cards/000009/card55881.html

古い訳版であるのでタイトルも緋のエチュードとなっている。読みにくいと感じるだろうが、訳し方に時代を感じることもできるし、訳本二つを原文に照らし合わせて訳者の意図や英訳における時代の変化を楽しむ読み方もオススメだ。

色褪せぬキャラクターと世界観

シャーロック・ホームズといえば、皆さんご存知であるかと思うが、語り部のワトスン博士と合わせて探偵と聞いて真っ先に思い当たるキャラクターだと思う。簡単に言ってしまえば様々な人間から難事件が持ち込まれ、それを探偵であるシャーロックが解決する様をワトソン医師による手記という形で描かれる。そういった形だ。

また、シャーロック・ホームズといえば有名な推理法がある。相手の衣服や所作、靴についた泥や表情の機微などで相手の行動や地位を当てるという推理法だ。証言を転々と集めて犯人を追っていくような探偵がほとんどの中、シャーロックは葉巻から利き手や性格を、足跡の歩幅から身長や体格を推理したりと、超能力のような推理法で広いロンドンの中から犯人を見つけ出してゆく。

推理法以外にもシャーロックのアイコン的な性格は健在だ。プライドの高い皮肉屋で嫌われ者、重来の探偵や警察のように仕事や正義感ではなく学問的な興味で犯罪推理を生業としていることは探偵モノだけでなく、小説の登場人物における尖ったキャラクター作りを一歩前に進める結果となった。

余談だが、シャーロックや”緋色の研究”にも出てくるベーカー街少年探偵隊は怪人二十面相の明智小五郎や少年探偵団のベースとなったのは有名な話だ。”緋色の研究”はある意味昨今のライトノベルのようなキャラクター重視の作風のベースになったと思っている。

また、ワトソン博士の手記を読者が読んでいく、という書き方も話全体のリアリティを高める結果となっている。説明や風景描写などが手記という形をとることでリアリティを高め、冗長なシーンはワトソン博士がまとめれくれている、という形で短縮され、古典でありながら今読んでも読みやすくできているのも驚きだ。

ドイルの冒険譚

シャーロック・ホームズの長編の特徴(バスカヴィル家の犬という例外はあるが)として、二部構成をとっているというものがある。第一部は前述のような名探偵シャーロック・ホームズの推理パートだが、第二部は犯人の犯行に至るまでの経緯が詳細に描かれる。実は”緋色の研究”では一部と二部で分量がほぼ一緒であり、かなり詳細に犯行までの経緯が描かれる。

内容について触れたいが、非常に完成度の高い冒険譚となっている。特に短編しか読んだことがない人には是非読んでみてほしい。(ドイルがのちに書いた失われた世界という小説といい、冒険記のほうが書きたかったのかな?と個人的に思っている)

おわりに

以上が”緋色の研究”の紹介だ。100年以上前の近代文学でありながら読みやすい構造をとっていることや、今読んでも尖がりに尖っているシャーロック・ホームズのキャラクターなど、大人も子供も面白い傑作小説である。

個人的に”緋色の研究”はシャーロック・ホームズシリーズ一番のお気に入りで、キャラクター性、社会性、恋愛、組織、復讐など、推理・犯罪モノのジャンルにおいて面白い要素が適切な量で読みやすく配分されている。シリーズの入門としてはもちろん、短編しかシャーロック・ホームズを読んだことがない人には特にオススメしたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?