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「そこまで極悪な奴らだったのか」 「モンキチョウが言うには、どうやら奴等は、君たちヘイケ…
ゲンジアリの行進。後にも先にも、一切の生命が残らない、「死の行進」である。この行進に巻き…
2匹は走った。シロは、途中、体力が尽きて走れなくなったトクジを、顎に咥えて、尚走った。雑…
谷底に下る坂の前に、ヘイケアリと思われる蟻が一匹、谷底を向いて佇んでいる。屈強な体格から…
蟻塚を出た先は、シロが認識を許容できる限界を超えてなお広がっていた。草木がざわめき、乱立…
狩猟隊長はトクジにヘイケアリから一匹、偵察任務への随伴を許可した。ヘイケアリ側からの推薦…
給仕の仕事帰りに、トクジがふらふら歩いているのを発見したシロは、声を掛ける為に近づいてハッとした。別のゾウムシじゃん。まぎらわしい。 「あ。シロじゃんか」 「はい。どちら様ですか?」 「え?」 「え?」 「トクジだけど」 よく見るとなるほど。いつものふざけた感じがなくて、真面目なタイプのゾウムシかと思ったけど。このゾウムシの出来損ないの様な、愛嬌のある顔立ちはトクジに間違いないようだ。漂う気配が真剣そのものだったのでゾウムシ違いかと思った。 「心の中で言え。声に
うず高く積まれた土塊の内部は螺旋状を成していて、ヘイケアリの住環境全てがこの蟻塚に集約さ…
樹々の騒めきが聴こえる。大地の振動を感じる。騒めきと振動はいつしか重なりあって。 触角が…