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2匹は走った。シロは、途中、体力が尽きて走れなくなったトクジを、顎に咥えて、尚走った。雑…
谷底に下る坂の前に、ヘイケアリと思われる蟻が一匹、谷底を向いて佇んでいる。屈強な体格から…
蟻塚を出た先は、シロが認識を許容できる限界を超えてなお広がっていた。草木がざわめき、乱立…
狩猟隊長はトクジにヘイケアリから一匹、偵察任務への随伴を許可した。ヘイケアリ側からの推薦…
給仕の仕事帰りに、トクジがふらふら歩いているのを発見したシロは、声を掛ける為に近づいてハ…
うず高く積まれた土塊の内部は螺旋状を成していて、ヘイケアリの住環境全てがこの蟻塚に集約さ…
樹々の騒めきが聴こえる。大地の振動を感じる。騒めきと振動はいつしか重なりあって。 触角がビクビク震えている。 「大軍でやってきやがった」 「お前はいつも大袈裟なんだよ。それで何匹位だった?」 「一億?くらい?」 「ばか。50位か?」 「百歩譲って300」 「まあいいや。どのみちお前の言葉だけを信用する訳にはいかないよ。見に行こう」 「写真とっときゃよかった」 この期に及んでまだ「しゃしん」などと訳のわからぬ事をぬかしやがる。触角がピンと上を向き威嚇の姿勢に入