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シニア層伐採による、生きがい問題

白金台にある自然教育園で覚えた「極相林」ということば。時間に伴って変化する植物群落が、時間を経て種類や構造が安定して大きく変化しなくなった状態のことを言うそうだ。

裸地に苔類が生え、草原ができ、太陽がたくさん必要な陽樹の林となり、太陽が地面に当たらなくなると、光が少なくても育つ陰樹の林になっていく。そこで安定した状態が「極相林」だ。

なんでそんな話かというと、安宅さんのシンニホンのなかで、定年制について「極相林を是としない社会」と例えていて、へええと思ったから。そんな社会は、65年で強制伐採している森のようなものだと。

今、年金支給開始年齢は基本65歳だから、生産年齢とは15歳から65歳を指す。「14歳まではコドモ」という定義の是非は(あると思うが)一旦置くとして(いずれ15歳にはなるからね)問題は66歳以降の隠居扱いだ。

安宅さんの問題提起は、この人生100年時代に本当にそんなんでいいのか?ってこと。年齢性別による雇用差別だから禁止すべき。定年なんて撤廃すればいい、と。

この話題、シニアに向けたカウントダウンが始まっている私は敏感にならざるを得ない。折しも、会社の「定年後の人生を考えるセミナー」の案内がきて憮然としているところだし。

65歳まで生産年齢とはいえ、私が働く会社のシステムでは60歳で現役引退で再雇用となる。50代中盤で役職定年となる会社も多い。役員クラスだけは例外だ。

言うまでもなく、若者の活躍をシニアが阻むようなことがあってはならない。いつまでも決定権を若年層に譲らないことは、変化への対応を絶望的に遅らせる。世代交代は速やかに進めるべきだ。

一方で、人生のステージにあった働き方ってのはあると思う。年齢と共に無理が利かなくなることは本人が一番実感しているのだから、可能な範囲での社会参加だ。もちろん、定年後はとにかく悠々自適でのんびり暮らしたい、という人がいたっていい。

悩みは尽きなくても、やっぱり私は仕事をすることが好き。だから、できる限りは何らかの形で働き続けて誰かの役にたちたい。経済的なことだけ考えても、健康なら働いて稼ぎたい。その道を断たれるのは辛い。

なんだか熱く語ってしまった。要するに、人生100年時代後半戦の生きがい問題なのである。高齢化社会で高齢者が生き生きと暮らせなくてどうする。子供も若者も皆、等しく歳を取るのだから。。。


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