電子タバコを吸う感覚は、ロボットのペニスをしゃぶってるみたい / トゥルーディテクティブ シーズン2〈あらすじ・ネタバレあり〉
評価:80点 / 100点
クリスチャン・ベールとジェシカ・チャステインが主演予定だったものの、スケジュールの都合で降板したシーズン2。ベゼリデス役のキャスティングは特に難航し、ジェシカ・ビールやマリン・アッカーマン、ロザリオ・ドーソンが検討されていたが叶わず。ケリー・ライリーとアビゲイル・スペンサーはオーディションを受けたが起用はされず、それぞれセミヨンの妻・ジョーダンとヴェルコロの元妻・ジーナに配役された。
ベゼリデスのネタで面白いのが、A.I. ベゼリデスという実在の犯罪小説家がいて、本作のベゼリデス刑事の愛称はアニ(ANI)。つまり、A & I ・べデリデスなので、小説家の名前をもじっている。
ヴェルコロとベゼリデスはセックスするが、恋人というよりも「闇を共有する関係」に近い。ヴェルコロは妻をレイプした犯人を殺害したつもりでいたが、11年の時を経て人違いだと知る。ヴェルコロは復讐したこと自体が間違いだと思っていたのに、そこに人違いという要素が加わったことで苦しみは増す。ブレイクが自分にとって邪魔な相手を「レイプ犯だ」とセミヨンに報告し、部下を疑わなかった彼がヴェルコロに情報を渡した・・・というのが真相、レイプ犯は別件で2015年に逮捕されている。復讐をした過去、殺した相手が人違いだったことなんて誰にも話せないけど、ベゼリデスだけは彼の話を全て受け入れる。
一方ベゼリデスは、幼い頃に森でレイプされた過去がある。今思い出すと辛い事実なのに、レイプされた当時は「可愛い」と褒められたことが嬉しかった・・・という誰にも明かせない心情がある。父親が仙人のような暮らしをしていて、その生活を強要されていた幼いベゼリデスにとっては、家族から離れられた4日間が幸せだったのかもしれない。そんな秘密を話してもヴェルコロは、ベゼリデスに何か意見するわけでもない。
ーこの秘密を知られるわけにはいかない。けれども、その秘密と一緒に自分を受け入れて欲しいー
そんな願いを叶えてくれる存在を、ヴェルコロとベゼリデスはやっと見つけられた。
誰よりも印象的な役を演じたのは、アドリア・アルホナではないだろうか。
彼女が演じたのは、ウッドルーの恋人(後に妻となる)エミリー。それほど重要な役ではないが、第1話でカメラに映った瞬間から一際目立つ美しさと存在感。彼女を最初に観たのは【PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット】だったけど、ゲスト出演にも関わらずその時も印象に残った。アルホナは本作出演以降、ドラマ主演や大作映画にメイン出演しているので、彼女に惹きつけられた業界人はやはり多いのだろう。
〈あらすじ・ネタバレあり〉
1992年、ロサンゼルス。
ロサンゼルス暴動に乗じて宝石店が強盗に遭い、オーナー夫妻が殺害されて250万ドル相当のダイヤモンドが盗まれる。
実行犯はロサンゼルス市警の刑事・ホロウェイ、バリス、ディクソンと市警内部監察室の会計主任・キャスパー。彼らは、自分たちで事件を担当して真相を闇に葬る。
2004年。
郡保安局の巡査・ヴェルコロは、妻・ジーナをレイプされる。
若くして成功したギャングのセミヨンに呼び出されたヴェルコロはレイプ犯の居場所を教えてもらい、殺害する。
この日を境に2人は、蜜月関係を結ぶ。
その9ヶ月後、ジーナは息子・チャドを出産するが、ヴェルコロの子という確信を持てなかった。
2015年、カリフォルニア州に位置するヴィンチ市。
"悪徳の街"と称されるヴィンチ市は、環境汚染と貧困に喘いでいた。
財政を管理する市政管理室の上級職員・キャスパーの失踪届が提出される。
有給休暇中のハイウェイ・パトロールの警官・ウッドルーは深夜にドライブをしていたところ、塩酸で目が焼かれたキャスパーの死体を見つける。
ハイウェイ・パトロールは州警察の管理組織、死体が見つかったのはベンチュラ郡、被害者はヴィンチ市の人間・・・ということで州・郡・市の司法機関による合同捜査が開始。
捜査の実態は、各行政による駆け引き、情報戦争と権力闘争だった。
州政府は、長期にわたって市長の地位に就くチェサーニの汚職や収賄の証拠を掴んで後々操れるようにしたい。
ヴィンチ市としては、キャスパーが議会で市の再生案を通したので、カリフォルニア州の税収の37%を8年間受け取れる。金額にして毎年9億ドルが入ってくるシステムを守りたい。なので極端な話、キャスパーの死の真相が市にとって不利益なら未解決で決着をつけたいところ。
郡保安局は、ヴェルコロの汚職の証拠を掴み、そこから市警上層部や市庁舎の腐敗を暴きたい。
ベンチュラ郡保安局の刑事・ベゼリデスが捜査の指揮を執り、ヴィンチ市警の刑事・ヴェルコロが補佐に回る。
キャスパーの足取りを調べたところ、彼の手帳に丸がついている日は毎回4000ドルがATMから引き出されており、モントレー郡ギルロイの美容整形外科に通っていたことが分かる。
また、ターシャという高級娼婦にのめり込んでいることも明らかに。
裏社会と通じる実業家・セミヨンは、カタリスト社の手がけるヴィンチ市の開発計画で12区画を任されるはずだったが、500万ドルを預けていたキャスパーが着服していたと判明する。
カタリスト社は、12区画を700万ドルで譲ると持ち掛けるが、資産を売ってやっと金を用意したセミヨンには無理な条件。
セミヨンは裏社会の友人から情報を集め、高級娼婦たちがハリウッドにあるキャスパーの別荘に通っていたことを突き止める。
セミヨンからキャスパーの別荘の住所を受け取ったヴェルコロは1人で現地に向かうが、何者かにゴム弾で撃たれて肋骨を折り、気絶。
ベゼリデスとウッドルーもハリウッドに向かい、キャスパーの貸金庫や彼の保管する書類、ブルーダイヤを手に入れる。
キャスパーは複数の事業に投資しており、とても市の職員とは思えないほど莫大な資産を築いていた。
そんな中、キャスパーの自宅から盗まれた金品のうち1本の時計が質屋に持ち込まれる。
持ち込んだのは、イリーナという女と麻薬密売人・リド。
2人を逮捕するため、ヴェルコロ、ベゼリデス、ウッドルーに加えてヴィンチ市の刑事たちが援軍に駆けつける。
だが、踏み込んだ先は麻薬工場だった。
一般市民を巻き込んだ銃撃戦が繰り広げられ、ディクソンを含む数名の刑事と市民が死傷。
リドを含む麻薬密売人たちは全員射殺されるも、イリーナは姿を消す。
州の司法長官・ゲルドフは、リドがキャスパー殺害犯だと発表し、事件は解決する。
2ヶ月後。
キャスパーに奪われた金は取り戻せず、セミヨンは再び裏社会に戻って生きていた。
最も信頼する部下の1人・スタンが何者かに殺され、側近・ブレイクは何か企んでいる様子で悩みが尽きない。
カタリスト社のCEO・マッキャンドルスに呼び出されたセミヨンは、セックステープの回収を依頼される。
マッキャンドルスは高級娼婦とのセックスをキャスパーに盗撮され、その映像が行方不明になっていた。
回収できれば、市の開発計画に参加させる・・・という条件だ。
市警を退職したヴェルコロは、セミヨンの部下として金の取り立てとカジノの警備で生計を立てている。
セミヨンからブレイクの尾行を命じられたヴェルコロは、彼が有力者たちの集まるパーティーに出入りしているのを目撃。
そのパーティーには、マッキャンドルス、チェサーニ市長の息子・トニーやロシアンマフィアのアグラノフ、多くの有力者、そして高級娼婦たちがいた。
元々このパーティーは、キャスパーとブレイクが仕切っていたが、キャスパーの死後はトニーが引き継ぎ、ブレイクと共に仕切っていた。
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