【『拷問投票』制作日記⑨】現在の進捗状況について。

 こんにちは、山本清流です。






 あんまり人と関わりたくない山本清流は、ホテルの客室清掃のバイトをしているのですが、

 現在は、ホテル経営移転のための一時的な休業状態にあり、給料は6割は出ますが、生活においては無職と同じです。







 ずっと休日というのは、初めてかもしれません。

 小学生や中学生のときには夏休みがあったけど、もう、あまり記憶に残っていません。







 高校生の夏休みのことも、あまり憶えてないけど、

 少なくとも、のびのび過ごした! という印象は一切ないです。








 大学生になってからは、夏休みもずっとバイトしてたので、

 実質的には、長期休暇ではありませんでした。







 そういうわけで、現在の無職の生活はかなり新鮮です。

 もう10日以上、無職を続けてきました。1日のリズムは、だいたい決まってきました。







 朝起きてからは、午前中のうちに『拷問投票』を1ページ以上、書き進めます。

 昼食を挟んでから午後は、刑法のテキストを読みだします。

 いちおう1日50ページは読み進めようと決めてるのですが、これが僕にとっては最適な、無理のないスピードです。

 すぐには読み進まないので、ときどき他のことをしながら、夜までずっと読み続けます。

 その合間には、経済学史とか経済数学などを読んだりしてます。(これは純粋な趣味)








 バイトがなくても、いちおう読書目標を設定していて、それはずっと達成されてるので、充実感は確保できてます。

 友達と遊ぶ機会はありませんが、この生活もそれほど苦痛じゃないようです。僕の老後生活は大丈夫そうです。







 そして本題の『拷問投票』のほうですが、

 こちらは現在、40×40で、84ページまで進んでます。







 全体で四章の構成で、現在は二章が始まったところです。

 おそらく、全体で250〜300ページくらいの長さになるのではないかと思います。『眼球の点滅』と同じくらいです。







 僕の所感としては、ベリーグッドです。

 ずっと書いていても飽きが来ないので、たぶん、書いていて面白いのでしょう。







 ときどき、小説家になってチヤホヤされるという妄想が始まるのですが、

 そういう妄想をすることに引け目を感じているのか、バランスを取ろうとして、あえて小説家になって世間にボコボコにされるという妄想が始まります。






 そうなると、たいへん不愉快な気持ちになります。








 僕の書いた小説に対して、こんなことを言ってくる人がいそうだ、と勝手に想像し、

 その相手に反論をしたり、あえて沈黙を貫くことで相手のプライドを傷つけたり、相手を激しい苦痛に追いやるための戦略を練ったりして、

 激しい戦いが始まります。







 僕にとっては頭の中にあるものが現実なので、

 その戦いも一種の現実であって、無職でゴロゴロしているように見えても、実は疲れたりもします。







 やっぱり、なんか、統合失調症的なところがあるんじゃないか、と思います。

 刑事裁判の判例にも、心神耗弱のケースで統合失調症が出てくることがあるけど、

 その中で指摘されてるような「ほとんど制御不能な激しい憎悪の増幅」っていうのは、僕にも心当たりがあったりします。

 ああ、辛かったんだろうなあ、と人殺しにも同情してしまいます。








 僕は診断上は発達障害になってますが、服用してるのは統合失調症のための薬です。

 これがすごく効いています。症状的には近いのかもしれません。







 現在、執筆してる『拷問投票』では、あえて僕が共感できないほうの被害者の立場から書いてます。

 世間的には被害者のほうに同情が集まるだろうし、殺人犯に同情してしまう人はあまりいないと思うので。







 被害者(遺族)の壮大で合法的な復讐劇というのが、『拷問投票』という作品の柱です。

 この作品を書きたくなったのは、いままで加害者の立場を書きすぎたことへの引け目があるのかもしれません。






 僕もバランスを取りたいとは思っているのだろうけど、

 自分の経験上、凶悪犯罪を一方的に非難することはできません。この偏りは死ぬまでなくならないと思います。

 たとえ家族を通り魔とかに殺されたりしても、僕は、その犯人を責めることができないかもしれません。

 






 その点で、僕はけっこう世間の道徳と対立することになっています。

 それなりにしんどいところです。

 ネット上の良識的な人たちのコメントを読んだりして、一週間に一度くらい、傷ついてます。








 だから、僕はいま、必死にバランスを取ろうとしているのです。

 この作品を書いてるのは、たぶん、そういうことです。