【キャラクター論】キャラを立てるためにはどうすればいいか? 【答え】→ポジショントークをさせるべき
こんにちは、山本清流です。
偉そうに語るのもどうかと思い、最近、あまり書いていませんでしたが、
この情報は有益なのではないかと思い、書くことにしました。
いまの僕の心の声は以下のとおり。
キャラクターを立たせたいなら、(それがすべてではないが)ポジショントークをさせるべきではないか。なぜなら、ポジショントークをするのが一般的な人間だからだ。論理も通っているので印象に残りやすい。ポジショントークをさせるためには、キャラクターの背景を想像するのがいいと思う。
以下、この心の声を深掘りしていきます。
【ポジショントークをさせるべき】
まず、ふたつの例を提示するので、
どちらがキャラが立っているか、考えてみてください。
【ケース①】
俺はモテない高校生だ。クラスにはひとり、モテまくっているヤツがいる。高校生活を謳歌しているようで素敵だなと思う。
【ケース②】
俺はモテない高校生だ。クラスにはひとり、モテまくっていて、やたらと顔の整った、インチキ野郎がいる。地獄に落ちてしまえばいい、といつも思う。
さて、ケース①とケース②、どちらがキャラが立っているでしょうか?
断定はできませんが、僕は、ケース②だと思います。
なぜなら、ケース②はポジショントークをしているからです。
【ケース①はよく考えたら不自然】
ケース①を振りかえってみましょう。
主人公はモテない高校生です。
クラスには、主人公とは対照的にモテるクラスメイトがいます。
そのとき、どんな感情を抱くかは人それぞれですが、
一般的には、嫉妬や羨望を抱くものです。
『高校生活を謳歌しているようで素敵だな』など、その立場の人はあんまり言わないでしょう。悟りを深めた大人みたいなセリフです。
あえてそういう人を描くことで、特殊なキャラを描くのはありかもですが、
ポジショントークをしないキャラクターは嘘くさくなります。
ポジショントークをするということは、その人が、その立場だからこそ言えることを素直に言う、ということです。
社会の価値観を繰りかえすだけのキャラクターとか、誰でも言えそうなことを模倣するだけのキャラクターは、キャラが立ちません。
【ポジショントークの例】
いままで読んできた小説の中で、「いちばんキャラが立っているな」と僕が思ったのは、
湊かなえの『告白』でした。
実は、この小説、はじめから最後までポジショントークのオンパレードです。
さすがにやりすぎではないかと思えるくらいですが、
だからこそ、ぐいぐいと引き込まれるようなキャラクターに仕上がっています。
たとえば、以下のとおり。
食事もそこそこに夜遅くまで塾で勉強する子供たちを、かわいそうと言う大人もいますが、私にしてみれば、親に頭を下げられてまで進学させてもらえるなんてまったくいいご身分です。
これは家が貧しかった女性のセリフです。
貧しかった人からしたら、お金持ちの家の子供を「まったくいいご身分だ」と感じるのはふつうです。
その立場に立ったときに、論理的に当然なポジショントークをしているのです。
そのほかにも、『告白』のキャラクターたちは、それぞれ、自分の置かれたポジションの中でいろいろなポジショントークをしています。
その立場だからこそ叫べることを叫んでいるのです。魂の声です。
ぜひ、読んでみてください。
【ポジショントークをするには?】
まずは、自分のポジショントークを調べてみるのがおススメ。
自分のキャラクターを知ると、周りの人もわかります。
【僕の場合】
僕は、真面目に学校に通っていません。
かろうじて出席日数を稼いで高校を卒業した人間です。
そんな僕からすると、「学校なんて、真面目に通うものじゃない」とか、
「学校は押しつけがましい価値観の中で成り立っている」とか、
そういうポジショントークができます。
真面目に学校に通う人に対しては、「心の底から尊敬する」というのもある種のポジショントークです。
学校に通うのが困難だった人からすると、ふつうに学校に通う人は神々しく見えたりします。
【では、ほかの人はどうだろう?】
一歩、踏み込んで、考えてみましょう。
僕は学校にほとんど真面目に通っていませんが、
真面目に学校に通っていた人たちは、どのようにポジショントークするでしょうか?
「根性のないやつだ」と僕のような人間を見下すのもあるだろうし、「学校に行かないのは、甘えだ」とも言うでしょう。
このように考えていくと、いろいろなキャラクターを創出していけます。
まずは、自分のポジショントークを把握し、それに対するさざまなポジショントークを探っていくのです。
【ニュース番組を見てみよう】
ポジショントークの勉強になるものとして、ニュース番組があります。
専門家ではなく、一般人がコメンテーターをやっている番組がおススメ。
なんらかの意見は、だいたい、その人の背景を根拠にしています。
【たとえば】
いじめ自殺のニュースがあったとき、コメンテーターはいろいろな意見を出します。
「学校の対応が杜撰だった」
「いじめっ子たちを許せない」
「いじめっ子たちはまだ子供だから、大人の責任だ」
「いじめであれ、自殺するのはよくない」
「学校の重労働が問題ではないか」
いろいろな意見がありますが、それって、もはやキャラが立っているんです。
その人なりのセリフを本人が口にしているんです。
「学校の対応が杜撰だった」と意見する人は、おそらく学校で勤務したことはないでしょう。むしろ、学校に悪い印象を持っています。学校のせいで、なにか嫌な体験をしたことがあるのかもしれません。あるいは、学校のような大きな組織への敵愾心のようなものを抱えているのかもしれません。
「いじめっ子たちを許せない」と意見する人は、おそらく、いじめっ子になったことはないでしょう。許せない、という強い言い方であることから、激しい憤りがあるのがわかります。過去にいじめを受けたり、親しい人がいじめに巻き込まれた経験があるのかもしれません。あるいは、世の中の不正に対する強い正義感を持っているのかもしれません。
「いじめっ子たちはまだ子供だから、大人の責任だ」と意見する人は、いじめ加害者の子供を庇っているわけですから、誰かをいじめた経験があるのかもしれないし、あるいは、ただ単に「子供は社会的責任を免除される」という思想を持っているのかもしれません。なぜ、そんな思想を持っているのか、考えてみると、免除してほしい子供のころの経験があるせいかもしれません。
とまあ、こんな感じで背景を想像していくと、
どのようにポジショントークをしているのか、納得できます。
あくまでも、これが「想像」であることには注意が必要ですが、
このように捉えていくと、「背景」と「セリフ」の関係性を理解できます。
そうして、論理的に当然なキャラクターをつくることができます。
論理の通ったキャラクターは生き生きとしているので、キャラが立つようになります。
(もちろん、人間の精神構造は複雑なので、そんなに単純ではありません。まったく論理の通っていないセリフを口にするのも、人間らしいかもしれません。とはいえ、そのキャラクターだからこそ言えることを言う、というのはとても重要なポイントだと思うのです)
【これは、いまのところの僕の考え】
今回は以上です。
最後に、ひとつ。
僕は自分の考えがころころ変わるのをよく知っているので、
なにかを語るときには、「いまの僕の考えとしては」と断るようにしています。
キャラクターも同じで、経験を積むことでポジショントークが変化していくと思います。
どういう経験を経て、どう変化するのか、そこを考えると、さらに面白くなるかもしれません。
まあ、僕は、あんまり魅力的なキャラを書ける自信はないので、偉そうに語ってしまって失礼しました。
なにか役に立っていれば幸いです。では。ありがとうございました。