【びっくり】典型的な一般人はほぼ存在しないことの証明について

 こんにちは、山本清流です。


 現在、僕は、とある大学の経済学部に在籍している学生です。

 経済学の応用分野のひとつに計量経済学というのがあるのですが、


 これは統計学の経済学バージョンみたいなもので、

 いろいろな経済的な因果関係を数学的に確かめてみようという分野です。


 先日、その計量経済学の授業で、月間給与額と、その人の年齢、性別、学歴、勤務先の企業規模との因果関係を、

 ダミー変数を用いて多重回帰分析をおこなうエクセル演習をしたのですが、

 

 そのときに気づいたことがあります。

 その回帰分析によって導かれた数式に、(40代、男性、大卒、大企業)というイメージ通りの高額給与をもらっていそうな属性を入力すると、


 月間給与額の理論値が70万円近く、出力されました。

 つまり、(40代、男性、大卒、大企業)という属性は理論的には月間給与額が70万円だというように導き出されたわけです。


 ちょっと多すぎやしないかと思ったのですが、

 その回帰分析における決定係数が97%以上だったので、かなりデータとの対応関係がしっかりしていると言えました。(まあ、データ数は15だったけど)


 このとき、僕は気づいたのです。

 (40代、男性、大卒、大企業)という典型的な成功者みたいな属性は理論的に70万円の給与をもらっているわけですが、そもそも、その典型例は稀少なのではないか。


 だって、一月に70万円をもらっている人なんて、そんなにいないのではないでしょうか。


 「典型的といわれるからには、その属性は多く存在している」と考えがちですが、

 もしも典型的な特徴が多数あった場合、そのすべてにおいて典型的な特徴を抱えている人は、むしろ、少数派なのではないか。


 上の例でいうなら、(40代、男性、大卒、大企業)という典型的な特徴をコンプリートしている人はむしろ稀少で、

 (40代、女性、大卒、大企業)とか、(40代、男性、大卒、中企業)とか、いろいろな人がいるわけであり、


 全体に対する割合においては、「典型例はべつに多数者ではない、それどころか希少種である」といえるのではないか。

 素人ながら、そんなことを考えた次第であります。

 

 その考えから飛躍させていきますと、「そもそも、一般人なんて、ほとんどいないのではないか」と考えざるをえません。

 そこで、僕は、ちょっとした計算をしてみることにしました。


 まず、一般人の特徴に関する項目が10項目あったとします。ここでの「一般人の特徴」というのを、「人間全体の9割に当てはまる特徴」と定義します。

 ですから、たとえば、性別というのは人間の一般的な特徴には数えません。だって、性別はほぼ半々であり、人間の9割にあてはまる特徴ではないので、人間全体の一般的な特徴とは言えないからです。


 このとき、その10項目すべてにおいて9割の側に属している人間を、「典型的な一般人」と呼ぶことにします。


 この典型的な一般人の割合を算出するためには、それぞれの項目の確率がたがいに独立であれば、0.9の10乗を計算すればいいでしょう。

 エクセルで計算してみると、これは35%でした。


 つまり、10項目すべてにおいて典型的な人は、意外にも、全体の35%というわけです。


 ここで、項目数を増やしていくと、どうなるか、考えてみましょう。

 かりに、一般的な特徴(全体の9割にあてはまる特徴)が100項目あった場合、典型的な一般人は、0.9の100乗として計算できます。


 これは、2.66の1/10の5乗という値であり、0.0000266、つまり、0.0026%です。


 というわけですから、僕は、次のように結論せざるを得ません。

 自分がユニークであることに価値を見出す人は多いですが、


 それぞれのユニークの内容が違うだけで、ほぼ100%の人間がどこかしらユニークであるのです。

 ユニークになりたければ、どれか一つの項目において1割に属せばいいわけですが、


 実のところ、ほぼすべての人がどれかの項目では1割に属しているわけですから、

 それはむしろ一般的なことです。


 僕は、ここで、「隅から隅まで一般的であるという人のほうがむしろ、とてつもなくユニークである」と宣言するしかありません。


 小さいころからずっと、「あなたは普通の子ね」「一般的だね」と言われてきた人たちは、もしかしたら、とてつもなく稀少な存在であるかもしれない可能性を秘めています。


 僕はダメです。

 ちょっと変わりすぎている。


 僕は変わっているというポイントにおいて、一般的なのでしょう。

 そうです。僕のほうがむしろ、一般人なのです。


 我こそはと名乗りをあげる方は、とてつもなくユニークな存在になれるように頑張ってください。

 応援します。


(宇宙に向けて発射されたパイオニア探査機の金属板に、さも一般的であるかのように、男女の裸体のイラストが載っているのが、小さいころから、不思議でした。だって、僕は、そのような一般的な人を見かけたことがなかったですから。しかし、それは考えてみれば当たり前のことだったのです。いつか、完全に一般的な人と会ってみたいです)