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「勝手に人肌レタッチ」するとき、自らの思想が試されている

私はデザイナーやアートディレクターではないけれど、ディレクター業務として、案件によってはレタッチ指示をすることがある。商品と色を合せるとか、光源と比較して違和感のある影を消すとか(本当は撮影時に気づくべき「が、そうも言ってられない)。

人に関しても同様だ。広告や雑誌のグラビアの場合、被写体の所属事務所などからレタッチした後にチェックが入ることもあるが、そういう手順が存在しない案件も山ほどあって……むしろ、広告全体の数からすると、実際はそちらの方が大半を占めるはずだ。

広告主との確認は行っても、モデルになった人すべてに「この写真が世の中に出ます」と確認するケースは珍しい。商品となるものが魅力的に見えるように、人の肌を加工することは、割と当たり前に行われてきた。報道取材で原稿の本人確認が「当たり前の風潮」ができてきたのに比べると、なんだかゆるいな……とは思う。

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