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カレーの思い出話

2023年10月のアトリエでの対面レッスンは久々にカレーのレッスンを行った。
これまではスパイスを使ったカレーを作って食べることが多かったのだが、今回やりたかったのはカレールウを使ったカレー、日本の米に合うジャパニーズカレーを作ってみたかった。

チキンカレー

私のカレーの思い出は、祖母のカレーだ。
両親が共働きだった事もあり、子どもの頃、日中はほぼ祖父母の家に預けられていた。
祖父母の家も商売をしていて、祖母も忙しく働きながら食事の支度をしてくれていた。

祖母が作る料理はなかなか強烈と言うか、不思議なものが多く、実は苦手なものもあったのだが、カレーは大好物だった。

冷奴には刻んだニラとレモンと醤油が基本。
卵焼きや照り焼きはテカテカと艶が出るくらい砂糖が効いてて甘かった。
焼き魚には何故かにんじんをすりおろしたものが添えられていた。
不思議な料理の記憶を辿るのも結構楽しい。

もちろんスパイスを組み合わせてカレーを作るわけでもなく、いつも食卓に上るのは由緒正しいルウカレー。
カレールウはバーモントカレー甘口だったと記憶している。
まず、使われている肉は絶対ひき肉!
野菜はにんじん、じゃがいも、玉ねぎ。
旨みが効いていて、普通の美味しさがありがたかった。

そして、なぜかいつもさつまいもやピーマンの天ぷらや唐揚げが添えてあった。
そこにとんかつソースをたっぷりかけて、カレーと一緒に食べるのだ。
祖母なりのカツカレー的な解釈だったのだろうか。そもそもカツカレーじゃなくて、天ぷらカレーですけど。
そして、祖母の天ぷらカレーには、味噌汁も必ず添えてあったと記憶している。

ピーマンと牛蒡の肉巻きフライ

数年前に祖母は90歳で大往生し、もう聞く術もなく、そして聞いたところでちゃんとした回答が返ってきたとも思えない。
決して料理上手ではなかった祖母の味や料理を懐かしいと思うのも私が歳を重ねたせいか。

祖母の事を思い出しながらレシピを作った今月のカレーレッスンでは、野菜のカツを米粉ルウで作ったチキンカレーに添えている。
本格的な味わいながらもどこか懐かしい味わいになったと思っている。
私好みに唐辛子をピリッと効かせて生徒さんにはお出ししている。

このカレーを祖母が食べたら何と言うか。
祖母が生きているうちに、もっと料理を作ってあげれたら良かった。
口にあったかどうかは分からないけど、それを思うと心も少しピリッとする。