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立地と商圏 基本の考え方

立地と商圏について筆者(弊社)は以下の様に定義しています。
立地:その土地がどんな特性を持った土地(場所)であるか

商圏:その土地にどこからどこまでの範囲(集客範囲)で人が集まり、どん
   な特性を持った消費者が集まり行動するか。

立地とは、ビジネス立地・住宅立地などと呼ばれる種別です。
立地の違いで、商圏のお客様の行動特性がどのように違うか、飲食店を事例に基本の考え方を書きます。
*いづれの場合も、人流の確認や競合店調査は必要です。
*出店する業態には、大きく全面交通量に影響される業態か目的性が高く広
 範囲に集客できる業態に分かれます。


1:立地別の商圏の違い

1-1:ビジネス立地の商圏(例:新橋:品川港南口)

主にビジネスマンが働くために集まってくる街を「ビジネス立地」といいます。東京なら古くから会社員の街を呼ばれた、新橋が有名ですが、東京駅周辺(八重洲・丸の内)、品川駅港南口などが都心の有名ビジネス立地です。

ビジネス立地では、そこで働く方々や仕事で訪問する方々が大きな顧客となります。

高層のオフィスビルやオフィスビルが集まっている場所をPC:需要集合体 (人が密集している住宅地・就業地)と呼びますが、新橋と品川駅港南口では、飲食店などの集客に違いが生まれてきます。

近年の高層オフィスビルでは、上階で働く方々向けのレストラン街を低層階設け、福利厚生の一環とする流れが主流です(大高層ビルでは5000人が働くと言われています)。また、オフィスビルや企業の魅力アップのため「社員食堂」を併設も増えています。

そのため、高層オフィスビルが立ち並ぶエリアに出店する場合は、特にランチ・ディナー時間にオフィスビルからどのように人が流れて来るか、を競合店調査と共に見極めることは必要です。ランチ営業せずに、ディナー営業のみの方が収益性が高い可能性があります。
また、品川駅港南口に出店にあたっては、土日祝の集客が高輪口からどれだけ流れくるか、など出店する業態と合わせて検証が必要です。

一方、新橋のような古いビジネス立地では、古い小・中規模のオフィスビルも多く、店舗のお客様の商圏範囲は、徒歩圏内にある企業に勤める会社員/OL さん達が主流になります。そのため、主たる顧客の属性(平日客は土日休み)から土日祝の集客は弱く、土日祝は、目的性の高い飲食店や銀座から流れてくる顧客の集客がメインになります。平日客の不在の土日祝には、新橋駅の銀座側に比べて、内幸町側に近づくほど飲食店などは土日祝の中で定休日を設定している店舗が多い傾向がでます。
一方、個人オーナーの店舗では、集客の弱い土日祝を定休日とし、平日の稼ぎで安定した経営を行えれば、営業の継続性が高いエリアになります。

1-2:住宅立地の商圏

東京などの首都圏では、住宅立地にも様々な様相があります。
用途地域で考えると、工業地域を除いても、第一種低層住宅専用地域~商業地域までの、用途に合わせた外部環境の中に住居があり、古くからの住宅エリアと合わさり、街を構成しています。

一般に、駅前から繋がる商店街エリアを囲むように住宅が広がる、住宅立地の商圏は、駅前商店街に買い物に来れる範囲の顧客は概ね徒歩や自転車で住宅地に住む人々が主流になります。首都圏でも神奈川、千葉、埼玉など郊外に行くほど車での移動が増え、ロードサイド店舗へと集客が繋がります。

近年は、湾岸エリアでのタワーマンションによる人口過密だけなく、古い商店街を抱える駅周辺でも、再開発によりタワーマンションが数棟建設され、一気に1000人単位で住民が増える、ようなことが起きてます。
中央区でタワーマンションの開発が進み、小学校が不足する事態が起こったのは、記憶に新しいところです。

このようなタワーマンションはPCになりますが、で全面交通量に影響されるような業態で出店する場合は、スーパーやドラッグストアなどのメインの集客施設(TG)がどこにあるか(駅のどちら側にあるか?)、(人流)人が駅からどのような方向に流れていくか、が特に重要です。また日常使いの飲食店などは営業していても、夜の吞屋的店舗はどの程度営業しているか?など調査が必要です。

注)PC:需要集合体 ➡ 人が密集している住宅地・就業地

1-3:SC商圏

郊外のショッピングセンター(SC)形態では、
商業集積NSC型SCCSC型SCRSC型SCスーパーRSC型SC/アウトレットモールの順に商圏が広域になります。基本は車移動を前提としていますが、最寄り駅からシャトルバスが運行している場合もあります。

*NSC:ネイバーフッドショッピングセンター
*CSC:コミュニティショッピングセンター
*RSC:リージョナルショッピングセンター

1:商業集積:郊外のロードサイド沿い等に、大型スーパー・大型ホームセ
     ンター・100円ショップ・量販型アパレル店・飲食チェーンが1
     カ所に纏まり駐車場を共有する。
2:NSC型SC:地域密着型のSCのこと、主にSMを軸として複数の物販
     店、飲食店などで構成。
     2000㎡~1万㎡
3:CSC型SC:核テナントGSM+複数の物販/飲食/他テナントで構成。
     1.2万㎡~2万㎡
     例:西友系 ザ・モール・
4:RSC型SC:2核(百貨店・GSM・映画館)1モール型等、広い駐車場を
     持つSC、広範囲に集客数する。
     3万㎡~5万㎡ 
     例:イオンモール・ららぽーと、など
5:スーパーRSC型SC
      :複数の核テナントと数百のテナントで構成された、超大型SC
     6万㎡~
     例:レイクタウン・イオンモール幕張新都心など
6:アウトレットモール:郊外型 魅力あるブランドの集積が重要

SC業態では、車移動を前提に商圏範囲を50km圏内と設定したり、大型アウトレットモール型SCでは、商圏範囲を100km圏内と広範囲に設定しているため、商圏範囲が大きくなります。

地方都市において、モータリゼーションにより昔ながらの商店街や路面店が寂びれ、広い駐車場を持つRSCが一種のテーマパークの如く集客していることも多く、社会問題化している状況も生まれています。

SCに出店したい場合、運営会社のテナントリーシング部に問い合わせる、などの方法もありますが、多くの場合「定借契約」のため、入替え時期や新規SC開業に合わせて、テナントリーシング部からの誘致による出店が場合が殆どです。

【参考】
*日本初のアウトレットモール型SCを開業した某外資系アウトレットモールでは、1号店を開業する際、以下の理由で御殿場という立地を選んだ、と言われています。
①首都圏から100km離れていること。
➡出店店舗を集めるにあたり、定価販売をしている店舗(首都圏)に、アウトレット商品(低価格)の商品を販売しても影響を与えない。
②近隣に観光地があること。
➡近くに既存の観光施設があることで、自身が地域の観光資源となることで、近隣観光地からの集客し易くなり相乗効果が生まれる。

このような立地の出店戦略は、遊びにくる(観光客)が求める非日常性(都心にない一流ブランドのアウトレット商品)の訴求により、集客した客の財布のヒモをゆるくさせます。

1‐4:ターミナル駅の商圏

新宿駅、渋谷駅、池袋駅、といったターミナル駅は商業地域にあり、企業の事業所や様々な商業施設が立ち並び、通勤、通学、ショッピング、遊び、をはじめとする様々な目的、用途で各所から集客します。
新宿駅全体の1日の乗降客数は350万人といわれ、横浜市の人口377万人に匹敵する人数になることから、住宅地立地などでは成立しない業態・業種の店舗も営業が成立していきます。
一方、駅周辺では家賃相場や敷金・礼金/保証金も高額となるケースが多く、初期投資が高額になりがちのため、事業計画を良く考えて出店を検討する必要があります。
ターミナル駅周辺は、競合店も多く、競争が激しいエリアになります。


秋葉原駅にはアニメショップやフィギュアショップが多く、購入目的のお客様が集まる、原宿駅にはKAWAIIショップが多く、流行に敏感な若い女性や学生、観光客が集まるなど、立地と商圏は、見方によっては、ニワトリと卵のような関係性を持っています。
出店したい場所(立地)の特性を掴んで、検証、検討していくことが重要です。


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