ストラテジックキャピタルによる京阪神ビルディング(8818)に対するTOB

■概要
・アクティビストファンドのストラテジックキャピタルは京阪神ビルディングに対してTOBを実施すると11月4日に公表
・対象者である京阪神ビルディングからは意見表明はまだでておらず(11月7日現在)
・公開買付者 サンシャインH号投資事業組合(10月5日に組成された民法上の任意組合)
・TOB価格1株1900円
・下限10,206,100株(19.64%)、上限10,206,100株(19.64%)
・TOB期間11月5日から12月17日(30営業日)、決済日12月24日
・公開買付代理人は三田証券、マネックス証券(復代理人)
・応募合意:なし
・不応募合意:ストラテジックキャピタル、Intertrust Trustees(Cayman) Limited Solely In Its Capacity As Trustee of Japan-up、サンシャインF号投資事業組合、サンシャインG号投資事業組合の計9.7%

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■関係者
・買付者側:リーガルは不明、算定書・FOの取得なし

■資金調達
・サンシャインK号投資事業有限責任組合から194億円の借入による調達
・弁済期日は決済開始日から3日が経過する日までの任意の日、金利は年6%
・上記借入はすでに実行済みで届出日の前々日または前日現在の預金として194億円の残高証明
・すなわち、TOB期間分の金利が発生する形で借り入れを実施

■バリュエーション
・公表日の前営業日である終値1873円に対して1.44%、
・過去1か月、3か月、6か月平均に対してそれぞれ4.22%、17.21%、25.99%
・過去の株価、終値平均に対しては一般的なプレミアム水準である40%前後を踏まえると相応のプレミアム水準が付与されている状況
・2020年9月末の自己資本68,725百万円から算定される簿価BPS1322円に、有価証券報告書において重要な後発事象として記載された固定資産の譲渡益を賃貸不動産の含み益から控除して算定される税引き後の1株当たり含み益を加算した修正BPS(2289円)を基準に検討。しかしながら、対象者にDD協力の申し入れを行ったものの、対象者の協力を得られず、非公開の情報が入手できていないことから、公開買付者が見込む株主価値の算定に不確実性があること、TOB成立後の所有割合は29.33%にとどまり、株主価値向上策の実行に時間を要する可能性があることから、修正BPSからの相当程度のディスカウントを考慮すべきと考えたとのこと。
・また、本公開買い付けを実施することについての決定日の前営業日である2020年11月2日における対象者株式の終値が年初来で30.7%上昇したものの、対象者株式の株価が1900円を超えた期間は、それぞれ、取引時間内では6日、終値では4日を超えておらず長期間とは言えないこと、及び、対象者株式の流動性が低いため一定規模の売却を1900円と同水準で行う事は困難であることを鑑み1900円で対象者株式を取得するのであれば、対象者株主に価格および流動性の観点から合理的な売却機会を提供でき、かつ、公開買付者の経済合理性にも適うと考え1900円と決定したとのこと。
・11月6日の終値は2177円ですでにTOB価格を大幅に上昇

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■スキーム
・上限と下限付きTOB(上限19.64%、出来上がりの不応募株式と合わせて29.33%)

■背景
・従前より株主価値向上のための施策を提案してきたが、現状のままでは対象者の現経営陣がストラテジックキャピタルの提案した方向に経営方針を転換することはないと判断するに至ったことから、株主としての対象者への発言権を強化することを目的として、TOBの実施について検討

■考察
・3分の1以上の株式取得を予定しておらず、プレミアムもほとんどついておらず注目を浴びるようにして株価を上げているだけなんじゃないかと思うほど正直よくわからないスキーム


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