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テキストカバレージ「やわたCS2ブロック決勝戦」2023/6/24 受け流し、耐えて、我慢した先に待つのは。


                ライター あーくん



「2ブロックって何が強いの?」
これは、2ブロックレギュレーションを勧めた際に返ってくることが多い言葉だ。
毎年使用カードが減り、毎段ごとに大きくプール変動が起こるこのレギュレーションは、常にアンテナを張って追っていないと何が強いか正確に把握することはできない。
そして、新弾発売日の大会ともなると、普段から2ブロックを嗜むプレイヤー達ですらそれは手探りで行うことになる。

今大会で決勝卓につくのは【光水ホワイトスワン】を使うのまろかと、【火単ボルシャック】を使うもるとの両名だ。
もはや今季2ブロックの名物となった【ボルシャック】と、新弾のカードをふんだんに使った【ホワイトスワン】の対決。
シールドトリガーを大量に採用した【ホワイトスワン】に対して、【ボルシャック】が貫通して勝てる可能性は高くない。それはもると自身が一番わかっているだろう。しかしもるとは準々決勝で同じデッキを下し、準決勝で【光水ライオネル】と2度も受けに寄ったデッキを粉砕してきている。


名実ともに環境トップの【ボルシャック】を相手に、のまろかのデッキはどのような姿を見せるのだろうか。




GAME1


先攻はのまろか
ゲーム自体の立ち上がりが遅いデッキなので、最初の数ターンは特に悩まずシールドトリガーやマッドネスをマナに置いていく。


対するもるとも動きが鈍く、4ターン目に《ボルシャック・バラフィオル》を設置してターンを終えた。

返す5ターン目にのまろかが《ウィリデ・ゴルギーニ》をプレイ。


「離れない」を宣言して自身の安全を確保しながらターンを返す。

もるとはパワーラインを確認すると、慣れた手付きで展開を始める。



《クック・轟・ブルッチ》を出して《ボルシャック・アークゼオス》をプレイ。メクレイド先は《「暴竜爵は不滅なり!」》。
更に連鎖させ追加の《ボルシャック・アークゼオス》、《パロッタ・剣・ルピア》と一気に4面展開を行う。

アークゼオスのアタック時に誘発したバラフィオル効果では《ボルシャックカイザー》が捲れ、何もなければこのままゲームが終わる量の打点が盤面に広がる。

しかしここからがのまろかのデッキの本領発揮。
ブレイクされたシールドは《ザミュート》と《クーソクゼーシキ》。


新弾、忍者乱舞で追加された強力なシールドトリガープラスのカードだ。

のまろかは《クーソク》の効果で迷わず盾を仕込み、《ザミュート》の効果でそのままターンを得る。

続くターン、のまろかはデッキ名にもなっている《ホワイトスワン》をプレイする。


見慣れないカードなのでテキストを確認しよう。
・このクリーチャーが出た時、各プレイヤーは自身の山札の上から2枚をシールド化する。
・自分のシールドが5つ以上あれば、このクリーチャーのパワーを+5000し、「W・ブレイカー」を与える。
・自分のシールドがブレイクされた時、相手のクリーチャーを1体選び、タップする。

最も大事なのは一番上のテキストが、お互いに行うこと。そしてそれが強制効果であることだ。
なんとのまろかはこのゲーム、最初からライブラリーアウトでの勝利しか狙っていない。

相手は《ボルシャック・バラフィオル》でゆっくりと山札が削れていく。となれば後は盾を踏ませて時間を稼ぐだけ。それを後押しするように、《ウィリデ・ゴルギーニ》で盾追加を選択しながら相手の盾を刻む。


返すターン、もるとは《クック・轟・ブルッチ》と《覇炎竜 ボルシャック・ライダー》のコンボでのまろかのクリーチャーを除去しながら更に盤面を強化する。

まずは先程出てきた《カイザー》が《クーソクゼーシキ》で仕込まれた盾を割りに行く。






ここは《バリスパーク》がトリガー。のまろかは再度《ホワイトスワン》で盾を8枚に増やしてターンを返す。


もるとは《ヒートドラゴン》を召喚して再度のまろかのクリーチャーを除去。
《覇炎竜 ボルシャック・ライダー》でアタックし、《ボルシャック・バラフィオル》の効果も誘発し、途中で捲れた《ボルシャック・アークゼオス》を含む4体を展開。





しかし、この攻撃も《ザミュート》にいなされてしまう。

のまろかは《シャーリー・チャージャー》と《ホワイトスワン》で先程よりシールドを多くしてターンを返す。
「何枚あるんだ……」とぼやくのはもると
ここでもるとは山札の枚数を数え始める。残りは5枚。のまろかの《ホワイトスワン》のみならず、もると自身の《ボルシャック・バラフィオル》が、自らの山札を少しずつ削ってしまった結果だ。

もはや待つ時間はない。山札の損傷を抑えるため、一撃を大きくしたほうが得。そう考えたもるとのアークゼオスが5枚の盾を割る。






が、ここにも《バリスパーク》。強制的に足が止まる。




それを横目に、少なくなった自分の山札を《何故離れ》で回復。削られた盾を《シャーリーチャージャー》3連打で戻して、どこまでも耐久の構えを崩さず、徹底して相手に付き合わないのまろか



ターンが帰ってきてももるとの行動は変わらない。万が一の貫通を狙って全力で攻撃するのみ。
広がりきった盤面により、アークゼオスのパワーは32000。ヘキサブレイクまで到達したブレイク数でのまろかの盾を殴る。





その攻撃も、盾から飛び出した《ミュート》と《スイトン》が阻む。


《何故離れ》で回復した山札の中には《ホワイトスワン》が3枚。

《♪必殺で つわものどもが 夢の跡》を唱え、5ドローで、4回目の《ホワイトスワン》にたどり着くと、ピッタリ40枚目。のまろかの狙い通りもるとの山札は尽きてしまった。

Winner:のまろか



「……なにかやりようありましたかねぇ?」
試合が終わった後、観戦していたギャラリーに尋ねるもると
「1点ずつ刻んで《ミュート》の有効タイミングをずらす」「『ボルシャック』以外で攻撃して山札の消費を抑える」「メクレイドの展開をしないとか?」様々な議論が始まる。
しかし、それを決勝の、一本勝負の場で看破するのは並大抵のことではない。
そもそも、《ボルシャック・バラフィオル》が強制効果であることがのまろかの助けになるということを、4t時点では気づけないだろう。対面していたデッキは、たった今日その姿を世界に披露した最新デッキだったのだから。



「2ブロックって、何が強いの?」
その答えは、プレイしている選手たちですら正確にはわからない。オリジナルで強いとされる【アビス】や、2ブロック特有の【ボルシャック】が強いのは有名だが、それで終わらないのがこのレギュレーションの深いところだろう。
しかし、「何が強いの?」という問いに真剣に向き合えるものが真っ先に勝利にたどり着ける。
2ブロックは、そんな努力が実るレギュレーションであることを、2連覇という実績を持ってのまろかが証明してみせたのだった。




大会結果





今大会トップ3カード


(ここからはFeiが解説します。)


第3位 終止の時計 ザ・ミュート


デュエル・マスターズのSトリガーで最も使われるカードである<終末の時計ザ・クロック>のリメイク版がSトリガー・プラスを引っ提げて新弾から参戦した。2ブロック環境で貴重な水文明のトリガーでありつつも、序盤中盤終盤いつきても手札交換要員となることができる。

オリジナル環境では<超神羅星 アポロヌス・ドラゲリオン>などの存在もあるが、2ブロック環境ではほとんどの攻撃を止めることができ、かなり信頼のおける防御力を発揮する。

今後の2ブロック環境で間違いなく基礎的なトリガーとして活躍が見込める点を考慮し、3位におかせていただく。




第2位  ♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今



<エナジー・ライト>の登場から約20年。ドローソースの進化はここまできた。

いや、あるいは絶望神に立ち向かうにはこれほどのことをしなければならなかったのかもしれない。

これまで2ブロック環境でメジャーだったデッキ回復方法は<ブレイン・コンチェルト>であったが、今後はドローソースにもなるこちらのカードを採用することが多くなるだろう。なんなら今回優勝した青白ホワイトスワンはトリガービートという性質から、このカードが基盤を支えている。
今後の活躍に期待を込めて3位に選出。



第1位 ウィリデ・ゴルギーニ



みなさんはこちらのカードの強さをどう評価する世代のプレイヤーだろうか。


このカードが手をつけられないパーフェクトなカードだったことを知る世代だろうか。殿堂入りしていたのは知っているけど、強さが分からない世代だろうか。
そもそもこのカードを初めて見た人もいるかもしれない。

このカードを評価するとき、「場を離れない」という能力をいかに強いと判断するかによって変わるのだと思う。
だが、ウィリデ・ゴルギーニは1度場に出るとなかなか離れず、シールドをブレイクしようものなら起き上がって次の攻撃を受け止める。不滅の精霊すら上回る仕事量をこなすのだ。

そんな攻防一体で、青白ホワイトスワンのメインウエポンとして活躍したこのカードを1位に選出。



あとがき


今回のカバレージは長年2ブロックしたい会のメンバーとして2ブロック環境で結果を残し、現在でもDMPランキングで上位名を連ねる、あーくんさんに本カバレージを寄稿していただきました。


Feiは仕事の都合で当日会場にいられなかったので、6/24日の分は諦めるしかないと思っていましたが、今回このような形で公開することが出来ました。本当にありがとうございます。

あーくんさんは今回活躍した青白ホワイトスワンだけでなく、全弾までのカードプールで最適化された赤単ボルシャックなど、デッキビルダー兼メタ読みのプロとしてTwitterなどでも情報を発信していますので、よろしければフォローをお願いします。
というかデュエマ界の生きる伝説なのでフォローした方がいいです。双極〜超天編の時期はCSに出る人なら名前を知らない人はいないほどだったでしょう。


こうして2ブロックに興味を持ったユーザーが増えていくと、我々としても喜ばしい限りですので、興味を持った方は本八幡のCS会場まで是非お越しください。
また、8月からは本八幡だけでなく、瑞江でも2週間間隔でCSが開かれます。主催のおんそくさん、ありがとうございます。


通常、CS会場って空気が殺伐としますが、2ブロックはどちらかというと普段と違うデュエマを求めてやってくる人が多く、ゲーム中も会話が多くて1試合20分くらい楽しめます。雰囲気が良いので、初めての方も歓迎しています。

それではまた次回でお会いしましょう。


                 ほんとにおわり

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