Excel集計用のGoogle アナリティクスのデータ元をデータポータルで作る方法(とこうした作業が必要になるアクセス解析の昨今について)
最近「データポータル天下一オンライン武道会」が開催されたそうです。参加者のtakano(@takano_seo)さん、バカ毛(@fuguti)さんが発表されたレポートを記事として投稿されているのを見て、参加者でもない私は真似をして今回の記事を書きました。(前々から書き溜めていたネタでもありました)
半分冗談・半分本気で書いた記事です。どうか、そのつもりでお読みいただければと思います。
この記事の前提:ExcelでGoogle アナリティクスのレポートを作る人向け
昨今のBIツールの隆盛により、ExcelやPowerPointを使ったレポートの作成機会が減っているという噂を耳にしますが、私の場合は諸事情によりそういうわけにもいきません。Excelで定期的にGoogle アナリティクスのレポートを作成する機会があります。そこで使っているデータ元の作り方を解説します。この方法で、下記のようなレポートが一つのデータソースで作れるようになります。
「月次の主要指標」「デフォルト チャネル グループ」「参照元/メディア」「ランディングページ」「ランディングページ×デフォルト チャネル グループ」「ランディングページ×2ページ目」「デバイス カテゴリ」 等
これらのレポートはいわばアクセス解析のテンプレートで、短時間で出せるようにしておいて課題の発見、改善施策の考案に多くの時間を割きたいものです。また、生ログに近い形でデータを抽出して他のデータと突合したり、様々な観点で課題を抽出するような分析にも時間をとっておきたいものです。
なぜ、Google アナリティクスでなくデータポータルでデータ元を作るのかというと、データポータルは 様々な期間を自由に選択できる、たとえ無料版のアナリティクスを使用していてもデータがサンプリングされにくい、通常のGAレポート(analytics.google.com)よりも多くのディメンションを選択できるといった利点があるからです。
レポート項目
最初にこの記事でもっとも重要となる、アナリティクスの項目の組み合わせサンプルを提示します。すべて、「セッション軸の範囲内で四則演算ができるようになっている」組み合わせで、エクセルやSpreadsheet、BIツールでの加工を前提としています。もちろん組み合わせは目的に合わせてアレンジをしていただければと思います。
(2021年1月25日:サンプルレポート追記↓↓↓ コピーしてお使いください)
先に注意点を述べておくと、データポータルは自由にディメンションと指標を選択できる「カスタムレポート」機能に近い側面もあるので、ご自身で組み合わせた項目の算出結果に不安がある場合には、通常のGAレポート(analytics.google.com)と特定期間の合計値を見てみることで確認をすることをお勧めいたします。
これらをデータポータルに反映したのが下図です。(文字が小さいので拡大をしてご確認ください。)これをCSVでダウンロードをして、Excelのピボットテーブル等で加工をすることになります。
データポータルでのレポートの作り方
作り方は極めてシンプルです。
まずGoogle アナリティクスの目的のビューをデータソースとして選択したレポート上で、「表」グラフを選択します。
つづいて、「期間設定」コントロールを設置します。
最後に、「表」グラフの「指標」と「ディメンション」を選択します。冒頭で提示したような、項目を選択していきます。下図で黄色く塗っている部分はいわゆるコンバージョンのエリアですが、「目標の完了数」など複数種類の目標を合わせて集計している指標でなく、できるだけ個別のコンバージョン指標を選択することをお勧めします。分けて分析した方が、他の指標やディメンションとの関連性が明確になり、施策が出しやすいからです。また、「2 ページ目」を選択すると非常にデータが重くなるので、選択をしなくても構いません。
私はまだ試していませんが、ランディングページや2 ページ目のカテゴリ化をするとファイルが軽くなるかもしれませんのでtakanoさんの記事を合わせてご確認いただければと思います。私は、Excelでページのカテゴリ化をすることが多いです。
データをCSV形式でダウンロード
表ができたらビューモードでレポートを開き、期間を設定し、表の上で右クリックを押します。すると下図のようにダウンロード方法を選択できますので、「CSV(Excel)形式でダウンロード」を選択すると、ファイルがダウンロードできます。
選択する期間が長いなどの理由でデータ量が多い場合には、サンプリングがかかることがあります。サンプリングがかかっている場合には、(非常にわかりにくいのですが)レポートの下部に「サンプリングを表示」と出ますので、確認をしましょう。サンプリングがかかってしまう場合には、集計期間を短くされると解消することが多いです。
Excelでの集計方法
ダウンロードしたファイルはCSVなので、Excelに貼り付けて使用をしましょう。このようにピボットを使えば様々な粒度での分析が可能です。
2ページ目の分析も下記のようにできます。
/home(TOPページ)からどのページが2ページになっているとCV(トランザクション)に結びついているかというものです。データの良し悪しはの議論はここでは置いておいて、/asearch.htmlに遷移している訪問から4のCVが発生しています。
フィールド/アイテム/セットの「集計フィールド」からは、購入率や直帰率など一通り必要な指標も作っておきましょう。一度作成してしまえば、あとで同じデータ元でレポートを作る際に流用することができます。
※ピボットテーブルの形式でそのまま提出ができない場合には、さらにデータをPowerPoint用に加工する場合もあるかと思いますが、今回は説明は割愛をいたします。
この記事で紹介しているレポートを作っているときに考える「アクセス解析」の昨今について
今、時代はますます「アクセス解析」を身近に行うようになってきていると思います。(大げさな言い方をすると「アフターアクセス解析」みたいなものではないでしょうか。これは「アフターデジタル」という書籍の名称を真似して、私が考えた造語です。アフターデジタルでは中国ではデジタル化が社会に浸透した結果、意識せずとも生活にデジタルがすっかりなじんでいる状態」を指しています。アクセス解析の指標もだんだんと一見WEBに関係ない仕事にも根付いてきているように感じています。)
よく仕事の会議中に「WEBだけの分析は意味がないんだよねえ」「WEBって結局仕事の中で最終的な受けでしかないんだよねえ」ということが議論されています(これは前々から変わらないと思いますが)。こうした直接的な議論ではなくても、いままで(本当に「年々そうなっている」という意味で)よりもマネジメント層がユーザー数やCVRなど、より具体的なWEB指標に着目するようになってきているように感じます。
先日、知り合いの調査会社からマネジメント層が自社サイトの特定ページ群からの遷移率とその成果について質問をされたと聞いて驚きました。また、広告予算について議論する際もひとくくりに「WEB広告予算」というだけでなく、Paid Search(リスティング広告)、Display(バナー広告)というような粒度での成果を気にするようなマネジメント層も増えたようです。あくまでも私の見聞の範囲ですので、この事象については、皆さんの感覚についてツイートしたり、メッセージいただければと思います。
しかし、マネジメント層が気にしていることは、時々、狭義のアクセス解析に陥っていると私は考えています。アクセス解析は何も経営指標をモニタリングするためのものではなく、サービスを利用してくれる顧客に迫っていくものだと信じています(当然、私たちは求められるレポートを求められる目的・形式で出すということも重要な仕事の一つなのですが)。顧客に迫るというのは、「なぜ・どうしてユーザーがサイトに訪れたのか?(IN)」「何を求めているのか?ストレスなく目的の行動はできているか?(ON)」「目的は達成したか?離脱したけど内容には満足したか?(OUT)」ということを分析によって解明し、情報設計などのあらゆることを改善していくことだと信じています。こうしたことがもっと真剣に議論されてもよいと思います。(このIN、ON、OUTの考え方は米国のDigital Analytics Associationで2014年頃教わって、いまでも私が大切にしていることです。)
本記事の趣旨からはすこし脇道にそれましたが、この非常に手法に偏った記事を書いていて、また、私もこの方法でレポートを作成することが直近で何度かあり昨今のアクセス解析について改めて考えるようになりました。
実は、この記事を書くべきか、数か月迷っていましたが、「天下一武道会」の存在を知ったこともあり、また、アクセス解析が年々浸透してきていて「手作業」もまだまだしていかなければならないこの状況で、こういった記事を書くことに意味があると考えるようになりました。定型的なレポートはスピーディに出せるようにしておいた方が良いはずですし、より多くの会社が過渡期(BIよりもきれいなペーパーでアクセス解析の結果を教えてほしい(!?)状態)だと信じて書きました。
本記事の着想について
本記事は、3か月以上も前に、私がこれの「素」になることについてTwitterでつぶやいたところ、衣袋さんからコメントをいただいたことが執筆の着想へとつながりました。ありがとうございました。
本記事の内容で少しでも、皆さんのお役に立てれば幸いです。
追記①:意外にこの記事のような手法すでに実践していらっしゃる方がいる、また、非サンプリングレポート+他のBIでも応用可能
村山さんにコメントいただきました。ありがとうございます♪
確かにGA360とTableauでも同じようなことが可能そうですね。
追記②いちしまさんにもお試しいただきました
今後も使用いただけそうです♪
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