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歯学部入学おめでとうございます2024ver


春から歯学部

春、それは希望に満ちあふれた季節。
多くの方が新しいステージに移行します。
歯学部に入学する方もいるでしょう。
その希望に満ちあふれた通りの大学生活が待っていればよいのですが、歯学部、特に私立歯学部はそうはあまくありません。

私立歯学部の多くで留年休学退学が増加しています。6年生の教室にいる学生の50%以上が留年休学経験者という大学も少なくありませんし、1年生で下位30%が留年or退学という大学もあります。6年生のみの留年対応で国家試験合格率を維持できなくなり、どんどん低学年で落とす傾向が高まっています。低学年で留年した場合、複数回留年するリスクがかなり高まります。

国公立歯学部は、今年は国家試験の合格率が良かったものの、10年ほどの傾向として合格率は低下してきており、また一部の大学では留年率の高まりもあり6年で歯科医師になる事が出来ない学生が増えています。私立よりは状況はマシですが、油断していると足をすくわれる可能性があります。

お父さん、お母さんが歯科医師という方も多いと思いますが、その時代とは全く異なるので注意して頂きたいです。

教養でも休みはすくない

毎日朝から晩まで講義や実習があるのは昔から変わらないので、これは覚悟しているでしょう。

教養課程においても色々実習があると思うので、朝から夕方までしっかり大学にいることが多いです。選択科目はあまりないので午後は空いてて暇を持て余す、なんてこともあまりないです。また、教養の期間はどの大学でもかなり短縮されており、1年から特定の専門科目が入ってくる大学も多いです。

小学生より休みが少ない大学もあります。
文系の大学生みたいに長い夏休みがある、とかそういうのは一部の旧帝歯学部などを除けばないみたいです。

高学年に上がると飛躍的に休みが少なくなっていく大学が多いです。
某私立歯学部など、夏休み4日間とか臨床実習で春休みなしとか
まだ低学年のうちは休みが多いので、そこら辺上手くエンジョイされると良いでしょう。

襲い来るテストの山

殆ど必修なのでテストは山のようにあります。

普通の各教科の単位試験にプラスして年度末に総合試験方式を採用する大学が増えています。1年間全ての単位を取得しても総合試験をクリア出来ないと留年となってしまいます。
特定の講座による大量留年は、特に私立では学生やその父兄に文句をつけられる可能性がありますので、みなやりたがりません。しかし、総合試験は全教科のため落とす側からすると落としやすいという側面があり、成績が足りなければ有無を言わさずズバズバ落とされます。

あなたの大学は6年で終わる大学?

以下の資料は7、8、9年前に入学した先輩達が1回も留年せず、現役で国家試験に合格した割合を示しています。一番新しくても7年前のデータですが、6年間のデータが必要なのでこれが現時点では最新のデータ群となります。

まずこれをみて、自分の大学を確認してみましょう

私立大学

私立大学では20%台~70%台まで大学により大きな差があります。20%台の大学では、6年で歯科医師になるためには、当然上位20%程度を維持していかないといけません。

勿論、この数字は毎年変動して、良くもなり得るし悪くもなり得る数字です。どういった成績を維持する必要があるかは今までの推移をみつつ、いまよりも悪くなりそうなのかどうかを推定していく必要があります。例えば、今は50%でも自分が卒業する頃に40%以下になりそう、というなら目指す目標が変わりますからね。

数年前は10%台の大学も存在しましたが、以前に比べると少し改善しています。
しかし、後述しますが私立歯学部の留年、休学者の割合も大学によってはここ数年で急上昇している事に注意が必要です。

進級が厳しくなって選抜されていく中で、上位層を維持できる学生は6年でストレートに歯科医師になれますが、そうではない学生はどんどん落ちていく、最悪除籍コースを示唆しています。

国公立大学

一部の国立の数字の低さに驚いた人もいるかもしれませんが、1年時に医学部への仮面浪人で離脱するため、最初から100%ではありません。それを加味しても以前と比べても相当下がっています。個人的な判断基準ですが、70%をずっと維持できている大学は優秀な部類です。

国公立では、国家試験への対応は学生任せであり、国家試験の難易度や傾向によって合格率は大幅な上下を繰り返し、安定感が全くありません。最近の国家試験は学生自身での対応だけでは不十分になってきています。今後の国家試験の状況によってはさらに低下することも考えられます。

あなたの大学の進級状況は?

先ほども書きましたが、多くの大学で留年や休学、退学のリスクは高まっています。
昨年度の留年・休学者の割合は以下の様になっています。

この資料で誤解しやすいのは1回でも留年・休学した学生の割合なので、例えば2年生で留年した学生は以後卒業するまでずっと%にプラスされる存在になります。そのため、高学年になればなるほど%が高くなりやすいです。

また、1年→6年まで時系列で留年休学者の割合を追跡したデータではなく、令和5年度の各1~6年生のデータとなるので注意してください。

これをみると

大学によって留年休学の割合はかなり差がある

トラップ学年がある

ということがおわかり頂けると思います。

1)教養から専門に上がる
2)CBT
3)卒業
あたりがかなりトラップになる事が多く、1年→2年で早速大量に落ちてしまう大学もありますので注意をして頂きたいです。

CBTについては全国共通のカットオフが導入されるようで、いままでのように大学独自のボーダーで大量に留年させるのは不可能になるようです。では、進級が楽になるかというと、当然手を打ってきているでしょう。CBT受験資格に到達できず留年というパターンの増加が考えられます。

楽しい生活は無いのか

歯学部生だから勉強しかない・・・・なんてわけはなく学業以外にも色々楽しい事があると思います。親元を離れて1人暮らしを始める人もいるでしょう。新しい友人、部活、バイト、恋愛もあるんじゃないでしょうか。20歳を越えればお酒も飲めるようになります。高校生よりも色々と世界が拡がりますよね。

それはそれで楽しいし、楽しめば良いと思います。
人生勉強ばかりではつまらないですしね。

しかし、皆さんの当面の目標は歯科医師になることです。
頭では分かっていても緩い方に流されるのが人間。
あまり緩くなりすぎないようにしなければいけません。

特に国家試験の成績が下位の私立は注意が必要です。
入ってみればわかります。留年生の多さとそのやる気のなさに。
やる気のなさは感染します。

留年しないために

毎日の積み重ねが重要です。
特に私立大学では以下の2つが大事です。

1.講義実習を極力サボらない
2.試験直前だけ勉強するのではなく、毎日勉強する

え、こんなこと当たり前では?と思われるかもしれません。
例えば、高校生で自宅、となれば親の目もあったと思いますが、1人暮らしは自分で自分を律する必要があります。実家だとしても、もう大学生だからと親も自主性に任せる家庭も多いと思います。そのため、案外こんな当たり前の事もできない学生が一杯いるのが現実で、成績が低迷している学生の多くがこの2つを守れません。

大学の学務に、子供に毎朝モーニングコールしてほしい、などと要求する親もいます。高い金払ってるからそれぐらいのサービス当たり前と思っているようですが、小学校や中学校でもやらないことを何故高等教育の大学に要求するのでしょうか?大体の場合、子供も甘えが酷く成績が低迷します。

最近の国家試験は日々の積み重ねを問うような思考力が要求される問題が増えています。部活から回ってきた試験対策だけを頼りに試験前日だけ詰め込んでいては国家試験は通用しません。
国家試験に届くどころか進級さえ危ういです。

日頃から復習したり疑問に思った事を教科書を読んだり、先生に聞いたりして解決していくような積極性が重要です。

底辺私立になればなるほど、教育が手厚くなります。
毎日配付され、ウェブクラスに上がる資料は膨大です。
後から閲覧できる講義動画すらあります。
いつのまにか与えられる事に慣れすぎてしまいます。

ちょっとでも資料にないことを教えると、それだけで文句をいいます。教科書に載っているが、講義ではあまりふれなかった部分を試験に出すと、一大事と言わんばかりに文句を言ってくる学生もいます。
そのため教員側は資料をどんどん多くせざるを得ません。
その結果、マトモに復習していないとわかる講義室の机に積み上げられた資料を見ることになります。それでも貪欲に何かを欲しがりますし、ページ数は多い方がいいと信じています。そんなに多くて自分でまとめられるわけもないのに、与えられる事で満足している事に気付いていません。

最終的に自分で頭の中にたたき込まなければ意味がないと指摘すれば、わかっているとキレ散らかしますが、では自分からやるかというとたいしてやりもしません。

最初は自分はそんな風にはならない、と強い気持ちを持っていたとしても、あまりにも留年生が多いと教室の雰囲気が悪すぎて、流されてしまう人がいます。

国公立の場合は比較的放置プレーが多いです。私立のような手厚すぎる教育は全くありません。手厚い教育をしろと言われても教員が国試というものを殆ど把握していないため無理です。それでも国公立はちゃんとレールに乗っていれば落ちることはあまりないです。ただし、国家試験の成績が乱高下しやすいので、成績が下位層だと足をすくわれる可能性もあります。

まずは道を踏み外さないように情報収集しつつ、落ちこぼれないように勉強していく事が国公立の生きる道でしょうか。

最後に

3月に国家試験の合格発表があり、そこで合格率が発表されます。

しかし、その合格率は1年生の時からずっと選抜されて生き残った人達の合格率であることを忘れてはいけません。
1年生の教室にいる人達の合格率ではないのです。6年生になったときに1年生から一緒にいる人は50%ぐらいしかいない、という私立は結構あります。

特に私立では1年生から厳しい進級判定が行われる大学が多くなっています。4年生のCBTでもある程度落とされますし、6年生の卒業判定で50%切られたりします。
当たり前ですが最初から成績上位者を維持するのが最も安全で確実な方法です。歯学部みたいな小さな村社会では、最初低迷してから後半急激に成績が上昇するような異世界ファンタジーはありません。情報もまわってこないような雑魚キャラは最後まで雑魚キャラで、途中から見なくなったと思ったら大学を辞めていたりします。

有料版

大学別に過去10年程度のデータを統合した有料版を販売します。
データは現時点での最新版で第117回歯科医師国家試験の結果を反映しています。

私立大学は地域別に4つに分割し1つ400円で販売します。
4つ全部をマガジンで購入するマニアックな方は1000円とします。

国公立大学は私立ほど詳細なデータ提示が難しい大学もあるので、12大学全てを1つのnoteで400円で販売します。

私立大学版


国公立版


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