50年目の「復活」の意味
1966年のモーターサイクル事故以来、ほとんど公に姿を現さなかったボブ・ディランが1974年、8年ぶりにザ・バンドを引き連れて全米ツアーを行い健在ぶりをアピールした。この伝説のツアーの模様は、その名も『偉大なる復活』というタイトルの2枚組ライブアルバムに記憶されている。名盤である。個人的にいえば、この『復活』からローリングサンダー・レビューのころまでのディランが音楽的にも風貌的にも一番好きだったりする。
その『偉大なる復活』ツアーから50周年にあたる今年(2024年)、ツアーの全音源431曲をコンプリートした27枚CDボックスが発売されるという。うう、欲しい。しかし、税込価格35,640円かあ…今のおいらにはきついなあ。
それはともかく、74年のツアーでは、ディランはその収益金の多くをイスラエルに献金したことでも話題になった。あの「ミュージック・ライフ」でもそれが取り上げられ、イスラエルがディラン様にあやかって国号をディランドに変えるのではないか、というファンの間のまことしやかな噂を紹介していた。74年といえば、第4次中東戦争の翌年、イスラエルもなにかと物入りだったわけだ。アメリカとの関係も良好だった。ちなみに、全編エルサレム・ロケ、イスラエル軍も撮影協力している、あのロックオペラ映画『ジーザス・クライスト・スーパースター』の公開が1973年である。
これについては、他の僕のnoteにも書いたけど、ユダヤ人であるディランはシオニスト的な性格を強く持っており、息子のバーミツバ(ユダヤ教の成人式)のために嘆きの壁を訪れてもいる。「祖国」のためなら一肌も二肌も脱ぐのは当然のことなのだろう。
そして、なぜ今年、『偉大なる復活』の復活なのか。ガザ戦争が無縁であるはずがない、と思ったのは僕だけではないと思うのだが。
Come, you masters of war
おい、戦争の親玉ども
You that build the big guns
大砲を造る奴ら
You that build the death planes
戦闘機を造る奴ら
You that build all the bombs
爆弾を造る奴ら
You that hide behind walls
壁の後ろに隠れている奴ら
You that hide behind desks
机の後ろに隠れている奴ら
I just want you to know
お前らに知らせておいてやる
I can see through your masks
お前らの本性などお見通しだ
と歌った男の金がミサイルとなる、この矛盾
50年前も今も、平和なんてどこにあるのだね。
興味深いブログなので参考までに