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ウマ娘と日本社会

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#推し

第11話:「推し」の構造(※九鬼周造の話ではありません)

生物学的な観点からみれば、男性と女性の恋愛感情は異なる。機能的には男性は複数の女性を愛し、女性はひとりの男性に尽くす(はずであると思いたい、笑)。近代社会においては「一夫多妻」(論争)はあっても「一婦多夫」は倫理的な側面からなかなか生じづらい。 日本の男性アイドルグループは決して大人数ではない。しかし、女性のアイドルグループは大人数を可能にさせる。それができるのは、男性は複数の女性に愛の眼差しを向けることが容易いからである。より厳密に言えば、そのような欲望にマッチしたものを

第22話:可愛いを競うゲーム

ウマ娘は一個の哲学である。 ゲーム『ウマ娘 プリティダービー』編に入る前に少しおさらい。 「ウマ娘 プリティーダービー」は、かつて日本競馬に実在した「名馬」(競走馬)をモデルとする「ウマ娘」をメインキャラクターにしたゲーム制作会社Cygames(サイゲームス)によるメディアミックスプロジェクト(「UMAMUSUME PROJECT」)である。 (クロスメディアあるいはメディアミックス自体は決して珍しい出来事ではない。しかし、ウマ娘の場合はこれが世界レベルで展開されており

第26話:ギャンブルはいらない

一般的な競馬のイメージとして「ギャンブル」は常に付きまとう。 これは競馬ゲームとて同じであった。 ゲーム「みどりのマキバオー」シリーズではこのギャンブル要素は薄まっていたが・・・ それは重厚なシナリオが既にマンガやアニメをとおして世に知れ渡っていたからである。 これに沿ってシナリオ(育成)ゲームを作ればよい。 また、漫画「風のシルフィード」においてもギャンブル要素は少なかった。 (「優駿の門」シリーズにもそのようなイメージがある。) 翻って、競馬ゲームの方は育成