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針がとぶ-Goodbye PorkpieHat-。

伯母の残した手記と部屋の話、閑散とした駐車場のアルバイトの話、週末に本屋へ通うクローク係の青年の話。針がとぶ様に目まぐるしく移り変わる現在地。吉田篤弘の世界観で綴られる七つの物語、あるいは長い冒険譚。

すべてを望んではならない。上手くいく時ばかりでない日々をきっと好きになれる本。
繋がるのではなく共鳴するような感じで、計算し尽くされた言葉選びと絶妙なセンスには、ため息が出るばかり。気になる言葉を拾っていったらキリがない。紛れもなく傑作。

感動とも安心ともワクワクとも違う不思議な読了感。必ず読み返したくなるといったチープな魅力ではなく、読み落としが無いか浚いたくなるような深い余韻がある。去るもの日々に疎し、グッドバイ。


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