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シリンジ法 専用キット紹介レポート2024年版



はじめに

ストレスフリーな妊活の手法として、認知度が高まってきているシリンジ法ですが、2024年現在、国内だけでもさまざまな専用キットが販売されています。
本記事は筆者がそれぞれ実物を試して感じた各キットのレビューをおすすめ度10点満点で紹介していきます。

『シリンジ挿入タイプ』と『カテーテル挿入タイプ』

まず、シリンジ法専用キットはシリンジ本体を膣内に挿入する『シリンジ挿入タイプ』と、シリンジの先端にシリコン製などのカテーテルを装着しカテーテル部分だけを挿入する『カテーテル挿入タイプ』に大別できます。

シリンジ挿入タイプは、一般的な医療用シリンジと異なり膣内を傷つけないよう挿入部に凹凸の少ない形状となっており、挿入時に変形しないのが特徴です。また、カテーテルを先端に取り付ける手間がない他、製品によっては精液を吸い上げるのではなく注ぎ込んで使うものもあります。

◯メリット
・組み立ての手間が少ない
・変形しない
・精液を注ぎ込んで使用できるタイプがある

✕デメリット
・挿入部に手が触れやすく衛生上の取扱いが難しい
・挿入時に手元部分が短くなるため操作しづらい

【解説】
カテーテル挿入タイプはシリンジの先端にカテーテルを装着する手間がかかる製品が複数ありますが、シリンジ挿入タイプはその手間が少ないのがメリットです。
逆に、精液を充填するときに挿入部分をどうしても触ってしまうため衛生管理が難しく、また、シリンジ本体を挿入してしまうと持ち手部分が短くなり操作しづらいのがデメリットです。
女性自身でセルフで使用する場合は特に注意したいポイントです。

一方、カテーテル挿入タイプは、シリンジよりも細いカテーテルの先端が膣内を傷つけないよう凹凸の少ない形状になっており、カテーテルが柔らかく折り曲がるので、膣内を傷つけたり痛みが生じる心配が少ないのが特徴です。

◯メリット
・膣内を傷つける心配が少ない
・痛みが生じにくい
・挿入時の持ち手部分が長く操作しやすい

✕デメリット
・カテーテル装着の手間がかかる(カテーテル装着済の製品もあり)
・カテーテルが細すぎて精液逆流の心配がある

【解説】
シリンジとカテーテルが別々でパッケージされている製品はカテーテル装着の手間がかかり、装着に失敗することも考えられます。また、一部クチコミで、注入後、精液が逆流するといった声もあり、カテーテルが細すぎて逆流してしまうと感じる人もいるようです。ただし、精液全量が膣や子宮に入るわけではなく、精液のオーバーフローは少なからず起こるものなので、極度に心配する必要はありません。どうしても気になるようであればカテーテルが太い製品やシリンジ挿入タイプをおすすめします。

以上、シリンジ挿入タイプとカテーテル挿入タイプの特徴やメリット・デメリットがわかったところで、タイプ別に各製品について紹介していきたいと思います。
おすすめ度を10点満点で採点させていただきました。
なお、価格の記載は、購入単価5000円以下のセットの1回当たりの価格を基本にしています。

【シリンジ挿入タイプ】

【シリンジ挿入タイプ一覧】
(1)コミッシュ
(2)Cata- medica
(3)ミータ
(4)マイフェムシリンジ
(5)コダカラシリンジ


(1)コミッシュ


おすすめ度 5.0/10点
価格 約500円/本
挿入可能部分が長くシンプルな作りになっています。本体が透明で中身の確認が容易です。先端の口が比較的大きいので、精液全部を吸い上げるのが難しいため、精液が体質的に少ない方(目安2ml以下)にはおすすめできません。
次に紹介するCata-medicaより後発品なのに形状が酷似している点も気になります。


(2)Cata-medica


おすすめ度 7.0/10点
価格 880円/本
挿入可能部分が長く、本体が透明で中身の確認が容易です。先端にキャップが付属しており、精液を吸い上げた状態でキャップして持ち歩くことが可能です。ただしキャップをしても漏れを完全に防ぐまではできないと思いますので注意です。コミッシュと同様先端の口が大きいので精液を全量吸い上げるのが難しいです。精液が少ない体質の方にはおすすめできません。

(3)ミータ


おすすめ度 6.0/10点
価格 約800円/本
ピンクの見た目でキャッチーなデザインです。
シリンジの押し子がピンクで、シリンジ自体は透明なので中身の確認は可能です。採取用カップが採取しやすいように工夫されています。コスパがよく使い勝手も問題なしです。ごく一部で店頭購入が可能です。メーカーホームページ等でご確認ください。

(4)マイフェムシリンジ


おすすめ度 3.0/10点
価格 約500円/本
シリンジがやや太めで、コンパクトなデザインです。本体が半透明で中身がモロに見えたくない方にはいいかもしれません。先端にキャップ付きで精液を充填した状態での多少の持ち運びには耐えられます。
唯一シリンジに注ぎ入れて使用する専用タイプです。シリンジを専用の紙スタンドに立て、採取カップから精液をシリンジに注ぎ入れ、その後空気を抜きながら押し子を入れて使用します。使用方法に器用さと慣れが必要な製品です。吸い上げて使えばいいと思うかもしれませんが吸い上げようとすると押し子が壊れます。使用説明書にも吸い上げる方法は書いてありません。
そして最大の欠点が挿入後の持ち手が最も短いことです。挿入して押し子を押し込んだあとは持ち手が3cm位しか残りません。持ち手のつばも小さいので、セルフでやるには非常に使いづらいでしょう。どこがフェミなんだ!と思います。

(5)コダカラシリンジ


おすすめ度 7.0/10点
価格 約700円/本
シリンジ挿入タイプの中では最も細く、持ち手が長く、セルフで最も使いやすい形状です。本体は半透明で中身がモロに見えるのに抵抗がある方にはいいかもしれません。先端にキャップ付きで精液を充填した状態で多少の持ち運びに耐えられます。精液の充填は吸い上げ、注ぎ入れ両方に対応しています。採取カップも使いやすくなっています。なお、同社の製品でおめでたサポートという産み分けゼリーがあり、ゼリー注入用のシリンジがコダカラシリンジとほぼ同型でかつシリンジ単体で1本約300円で購入できます。ただし採取カップが付属しません。採取カップを別途用意できてコストを抑えたい場合は「おめでたサポート専用シリンジ」でお求めください。


【カテーテル挿入タイプ】


【カテーテル挿入タイプ一覧】
(1)タイミングエイド
(2)シードイン
(3)Baby dream
(4)プレメントシリンジ
(5)ホワイトアイ


(1)タイミングエイド


おすすめ度 4.0/10点
価格 約2900円/本
カテーテルでシリンジをすっぽり挿入して使用するため非常に衛生的に使用することが可能な製品です。挿入部分が長く太いため挿入深さの調整がしやすく、逆流の心配も少ないです。カテーテルの表面が膣に馴染むよう加工が施されたり、採取カップも吸い上げやすいよう工夫されています。ただし、価格が高く1回あたり約2900円かかってしまうのが難点です。タイミングの数を増やしたいのに気軽に何回でも使えないのはシリンジ法専用キットとしてどうなのかなと思うため厳しい点数にしています。

(2)シードイン


おすすめ度  9.0/10点
価格 約1100円/本
カテーテルが装着済でパッケージされていて組み立てが不要な製品です。カテーテル先端だけ太くなっているため逆流の心配が少ないです。
コストと使いやすさ、安全性のバランスが非常に取れた製品だと思います。
オンラインの他、TENGAヘルスケア取扱店で店頭購入が可能です。


(3)Baby dream


おすすめ度 2.0/10点
価格 約440円/本
シードインの後発品で形状が非常に似ていますが、カテーテルの装着が必要で、シリンジも少し安っぽさを感じます。よくよく見ていくと中国製だったり、会社のホームページがなかったり、説明書に一部「シリジン」と書いてあったり、フリマアプリに新品での出品がやけに多かったりで、いまいち信用に乏しい製品です。採取カップの紙も、果たして撥水性があるのか疑問で使えません。
以上から、最も低い点数としています。
ただ安いのは確かなので、リスク覚悟の上でご使用いただく分には異議はありません。

(4)プレメントシリンジ


おすすめ度 9.0/10点
価格 約470円/本
シリンジ法キットのパイオニアの製品で、最もシェアが大きいのではと思います。カテーテルが細く短く腟内を傷つけたり痛みが生じにくい製品です。また、1回当たり約470円と、回数を気にせず使用できるのも強みです。
ただカテーテルが細いため精液注入後、逆流してしまうと感じる可能性があります。
関連製品で精液採取用の補助シートがあります。カップに射精するのが苦手な男性の方には強くおすすめできます。
プレメントシリンジはドラッグストアや薬局での店頭販売をしているとのことですが、私が居住する東北地方では見かけたことがありません。


(5)ホワイトアイ


おすすめ度 7.0/10点
価格 約1100円/本
カテーテルが最も細く短い製品です。経膣エコーや性経験がなかったり膣内への挿入に強い抵抗がある方におすすめです。
ただカテーテルが他に比べると固めかなと感じます。
採取カップが蓋つきで、採取してから多少の持ち運びには耐えられますが、液漏れを絶対しないとは言えないです。2024年現在、Amazonのみで購入可能です。


キット選びのポイント

いかがだったでしょうか?
シリンジ法専用キットは近年バリエーションが増えており、安心安全で使いやすい製品から、中にはおすすめできない製品も見られます。キット選びに当たっては、次のポイントに注目して自分に合ったものを選ぶのがいいと思います。

【キット選びのポイント】
・セルフで使用するのか、パートナーと使用するのか
・膣への挿入に痛みや抵抗があるか
・パートナーの精液の量が多いか少ないか
・パートナーが採取カップに射精できるか
・1周期に何回トライできるか

セルフで使いやすい製品、使いにくい製品がありますので、セルフなのか、パートナーにやってもらえるかは大きなポイントです。
また、男性は精液量の大小やカップへの射精の可否も大きく影響します。
1周期何回できるかでコストも上下するのでお財布との相談も必要です。
いずれにしても女性だけ、男性だけで決めてしまうとうまくいかない可能性がありますので、パートナーと話し合ってキット選びをしていくといいと思います。
少量のセットから複数の製品の実物を試して自分たちに合うキットを選ぶのもいいと思います。

最後に

私がシリンジ法を知った2018年頃は、国内で購入できる専用キットは3種類ぐらいしかなく、購入単価が8000円以上で非常に敷居が高かった印象があります。2024年現在は様々な製品が出てきて、各社競争の中で購入単価も3000円ぐらいに低くなり比較検討がしやすくなりました。また、精液の採取の仕方や充填の仕方などで差別化を図る製品が出てきており、消費者のニーズに業界として対応が進んでいます。それだけシリンジ法が世の中に浸透してきた証拠だと思います。
本記事を参考にしていただき、みなさんが使いやすいキットを使うことでパートナーとの関係性が改善したり、妊娠に少しでも近づいていただければ、心から幸いに思います。



蛇足ですが、私自身はボランティアで個人間精子提供のドナーを行っている者です。男性不妊やFTMカップル、同性カップル、選択的シングルマザーご希望の方々に精子提供により子供をもつことを支援しております。
本記事をきっかけに、個人間の精子提供をご検討される方はお気軽にご相談いただければと思います。
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精子提供ボランティア@南東北


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