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【中国ドラマ】シャオジャンが「Workin' hard」する『骄阳伴我』。熟年夫婦関係・職場のバンパイヤ上司問題が奥深い。

iQIYI で9月1日から配信されているシャオ・ジャン(肖戦)主演の中国ドラマ『骄阳伴我』(英題:Sunshine by my side)の視聴(自動翻訳の日本語字幕あり)をスタートした。 


当初、シャオジャンが演じる26歳の男主が年上の女性に恋をする現代ロマンスドラマだと思っていた。が、違う。恋愛は同作が包括したいくつものテーマの一部だった。

■若手の手柄と向上心を吸い取る管理職

労働階級の家庭で育った男主(シャオジャン)は広告会社に入社して3年。
 
機転がきき、仕事の段取り上手で、向上心のある若手社員だが、直属の上司にめぐまれず、常にこき使われている。
 
エンドレスに降り注ぐ雑事、割に合わない給料、「よくやった」の一言も言わずに昔の苦労話を振りかざしてくる上司。
 
「上の人」からの評価も、部下の手柄やモチベーションも直属の上司が全て収奪していく構図は、日本でいうところの「粘土層上司」(上からの養分を吸い尽くして、部下は枯渇)のよう。
 
就職も転職も困難で、辞めたら同業界では新たな職が見つからない。中国の若手社員の置かれたそんなタフな状況も垣間見える。

■リアルすぎる「熟年夫婦の危機」の描写

さらに、このドラマは、職場環境のみならず、熟年の夫婦問題の根深さにも迫る。
 
男主の母親は、自分は結婚生活で不遇と我慢を重ねてきた…と被害者意識を募らせる。私はもっと評価されてしかるべきなのに、と。
 
その不満を定期的に爆発させるために、しょっちゅう「もう離婚する!」という言葉に依存してきた母親。が、そんな究極の言葉で夫婦がわかり合えるはずもなく、結局、母親は言動をどんどんエスカレートさせていく。両親の関係を見てきた息子が、これまで親の仲を取り持ってきたことがわかる描写は、ときどき胸が痛い。
 
子育てを終えた男主の両親の夫婦関係がこれからどう推移していくのかも、このドラマのテーマなのかもしれない。
 
―—と、こんなふうに、「職場」と「家族」で悩みの絶えない男主だが、人生経験豊富な36歳の女主と過ごす場面はものすごく幸せそうなのだ。
 
最初は「なぜ、この女主にそんなに魅かれるの!?」という感じだったのが、視聴を続けていくと男主が女主に片思いする理由に説得力が宿っていく。
 
これから2人の距離感が縮まっていくのだろうが、そのプロセスが楽しみ。

元々デザイナーとしてのキャリア経験があるシャオジャンが実際に広告デザイナーを演じる、というだけでも見ものである。

骄阳伴我』は、配信プラットフォームiQIYIで1日2話ずつ配信中。AI生成の日本語字幕のほか、数か国語の字幕あり。

■挿入歌として藤井風「Workin' hard」が脳内に流れてくる理由

 余談だが、このドラマには、ドラマのセリフ(英語版)には「work hard」というイディオムが頻出する。

iQIYIより 
iQIYIより
iQIYIより
iQIYIより

ゴミ収集員の男主の父親や、小売店でパート勤務をする母親がプライドをすり減らす描写も出てくるし、「これまでがんばってきたね」と認めてもらうことで心がほぐれるシーンも出てくる。ときどき、PVの中でゴミ収集員にも小売店員にも扮していた藤井風の新曲「Workin' hard」が挿入歌として頭を巡る。
 


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