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韓流 『イカゲーム』と 日本の『消えた初恋』が、とあるドラマランキングに並んだ日

スマートフォンが普及し始めた頃「売れるものを作る韓国」「作ったものを売る日本」という批評をしばしば耳にした。

当時は後退する日本のエレクトロニクス業界を表す言葉だったが、2021年現在、映画・音楽・などのカルチャーをぐるりと見回してみてもこのセオリーが一部当てはまっていないだろうか。

ドラマもまた、然りだ。

例えば今、ネットフリックスで配信中の韓国の『イカゲーム』というドラマが世界の多くの国でランキングトップとなっている。

「イカゲームに似ているドラマは、日本にもある」
「既視感がある」

そんな批判も聞かれるが、制作チームは視聴者が求めるものを汲み取り再現するのが抜群にうまいために、結果的に「売れる」。

ドラマの内容はさておき「売れるもの」を研究して、人と金を集め、現地化の戦略も包括して制作している努力もあってこその結果だと思う。

一方、日本では、しばしば「売れるための研究」を軽視する空気が見られる。

過去のトレンディな成功体験にすがって「大衆」のニーズを見誤ったり見下したりする人もいるし、「わかる人にわかればいい」とあれこれ理由をつけて人気取りから距離を置く人もいる。

そうした思いで完成した作品は、刺さるところには刺さるが、固定された枠の外ではあまり刺さらない。

■「消えた初恋」に強く反応し始めた海外ユーザー

とはいえ、日本のドラマは、時には「作った物が意図せず世界で限定的にヒットする」こともある。

(世界で)売ろうとしていないのにヒットしてしまった

このケース、今は本当に大切にして欲しい。

ちなみに今期、アジア圏で注目度が高まっているドラマがある。

10月9日の夜にスタートした『消えた初恋』というドラマだ。

海外では公式に配信されていないが、既にタイ語や台湾ユーザーの間で英語のクチコミサイトやTwitterで多くの書き込みが見られ、じわじわと人気がでそうな予感だ。

英語ドラマレビューサイトでは、初回放送後のレビューが10点満点中9.0を超え、すでに300件以上のクチコミが書き込まれている。

中国の大手クチコミサイトでは、一時期注目度が『イカゲーム』の次点に並んでいた。

おそらく違法アップロード動画を閲覧している人がかなり多いので、スピーディに正しい字幕を付けて配信して、正しい方法で視聴されて欲しい。

結果的に主役俳優たちの所属する事務所やグループの知名度が上がり、K-POPアイドルの訓練システムのベースともなっている彼らの事務所力の底上げにもなるのではないか。

日本には、裏方にも表舞台にも才能あふれるプロがたくさんいる。だから「世界で売れること」にもう少しだけ貪欲になって欲しい。


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