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中国人が見た日本:蕪村~酒を飲み、詩を吟じる名画家

池田城跡公園から坂を下ると、ばったり素晴らしい美術館に行きついた。名を逸翁美術館といい、ちょうど「蕪村展」が開催中だった。

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小林一茶の愛称である「逸翁」を冠したこの美術館は、コレクションのほとんどが小林一茶の生涯に関わるものであることから、小林一茶に敬意を表して名づけられた。 展示されている作品は、小林氏のコレクションでもあり、与謝蕪村の作品でもある。

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蕪村が、実は松尾芭蕉や小林一茶と並び3000句以上を詠った俳人であり、700枚を超える絵画を残した巨匠であるという事実は、あまり知られていない。

中国の有名な水墨画家や詩人たちが、ともに学者を目指して勉強した文官であったのとは異なり、蕪村は20歳前後で放浪の旅に出ることになる。 芭蕉の弟子である早野巴人に心酔し、芭蕉の作品を継承すると同時に発展させ、近代日本における自由律詩の先駆けとなった。

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蕪村の絵画は、水墨画の風景画とスケッチに似た白描きのイラストが混在し、詩は絵となり、絵は詩となり、荘厳さと調和が独特の方法で表現されている。 登場人物が少なく、生き生きとした筆致で描かれているのが特徴だ。 立ち止まって見てみると、今の日本のマンガ作品の技法に似ているところがあるように感じる。 もしかしたら、漫画先進国である日本の漫画界は、蕪村を「師匠」と仰いでいるのかもしれない。

本展は、「時を捉える」「時を想う」「時を旅する」の3つのフェーズに分かれており、蕪村の作品のほか、松尾芭蕉や松村呉春など蕪村が言及した著名人の作品や、「重要文化財」の一部を展示していた。

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静かな館内を日本の友人と散策していると、蕪村が生きた18世紀にタイムスリップしたような気分になる。 中国人にも日本人にもなじみの深い水墨画や詩を鑑賞しながら、1972年に中日国交正常化に向けて郭沫若が書いた「中日の文化交流には輝きがある」「二千年の友情は類を見ない」という言葉を思い起こさずにはいられなかった。

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ある有名な教育者が、文化について「文化は繊細で壊れやすい花瓶であり、代々大切に扱われなければうまく継承されない」という鮮やかな例えをした。 昨日、一緒にいた日本の友人も、美しい感想を抱いていた。 私たち2人は、中国と日本が長年培ってきた文化交流を、しっかりと継承していきたいとお互いに認識を新たにした。 こうした文化の継承は、友好の継承であり、そして平和の継続でもあるのだ。
 (次回予告:小林一三記念館を訪ねて)
(写真は館内撮影禁止のため、逸翁美術館の公式サイトより引用)

【出典】https://www.toutiao.com/article/7089395449006096936/
【翻訳】Teddy Ven Song

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