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【鈴木拡樹×三浦宏規】ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』 SPインタビュー【Sparkle plus vol.5】

2020年3月、公演途中で中止となってしまったミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』が待望の再演。
同名ホラー映画をミュージカル化した本作は、小さな花屋で働く冴えない青年シーモアが物語の主人公。ある日奇妙な植物を手に入れた彼は、思いを寄せるオードリーという女性にちなんで〝オードリーⅡ〟と名付ける。その植物には人を魅了する不思議な力がある一方、実はとんでもない秘密が隠されていて……。
ブラックな物語に魅力的な楽曲が詰まった本作で、シーモア役をWキャストで演じるのは鈴木拡樹と三浦宏規。前作よりぐっと距離の近づいた〝Wヒロキ〟は、〝魂の交換〟を経て、素敵な関係を築いていた――。

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ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』
【日程】2021年8月26日(木)〜9月11日(土)
【会場】東京・シアタークリエ
【脚本・歌詞】ハワード・アシュマン
【音楽】アラン・メンケン
【翻訳・訳詞・演出】上田一豪
【製作】東宝
【出演】
鈴木拡樹/三浦宏規(Wキャスト)、妃海 風/井上小百合(Wキャスト)、阿部 裕、石井一孝、デーモン閣下(声の出演)ほか
www.tohostage.com/little-shop-of-horrors
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自粛期間に入ってもふと思い出すのは『リトショ』のこと(三浦)

再演が決まった時のお気持ちは?

鈴木:(2020年3月の初演時に)一度幕を開けることはできましたので、そういう意味ではホッとした公演でした。でもやはり、その続きが本当は用意されていて。届けるべきお客様がまだまだたくさんいらっしゃったんですよね。当然、みんな完全に納得しているかというと、そうではない状態で終わってしまっていた公演でした。
こうして1年という短いスパンの中で、また集まってやれる機会を作っていただいたので、〝あの日の続きからスタートしよう〟ということを第一に。今回再演が実現できたことが本当に嬉しいですし、やっとあの時止まった時間が動き出すという気持ちです。

三浦:前回公演の頃は、1公演も上演することができなかったカンパニーもありました。その中でこの作品は計12回上演することができて。でもあの時はまだ、地方公演が残っているという……東京千秋楽公演が終わって自分としては望みを残していた部分がありました。だからこそ中止になってしまった時は悔しい思いもありましたし、自粛期間に入ってもふと思い出すのは『リトショ』のことだったので、再演が決まって嬉しかったです。

前回上演された時のカンパニーへの印象は?

鈴木:この現場は演出家の(上田)一豪さんが、始まる前に率先して「ウェーイ!」って感じでみんなのテンションを上げてくれるんですよ。そのテンションの中に僕らも入っていけるから、「楽しいものを作ってみんなを巻き込んでいくくらいのものを届けるんだ」という風に分かりやすく作っていけましたね。

三浦:前回の公演、すごく楽しい思い出しかなくて。もちろん悔しい思いもしましたけど、ふと思い出すのは楽しかった思い出とか、みんなで笑ってたことばかり。「あぁ、楽しいカンパニーだったんだな」と思っていたんですよね。で、今回稽古場に入った時に、その予想を超えてくるくらいの明るさで(笑)。「すごく楽しかった」という記憶以上の明るい稽古場になっていて。今回は(ムシュニク役の)阿部(裕)さんが初参加なんですけど、すごく優しい方で。その空気感もあって、すごくいいものを新たに作っていけるのではないかと思っています。

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「宏規くん」って言うのはちょっと恥ずかしいんです(鈴木)

シーモアもですが、オードリーもWキャストです。それぞれのオードリーへの印象は?

鈴木:(妃海)風さんの方が〝動〟、動きのある感じ。小百合ちゃんの方が〝静〟、静かなアタックを感じるんです。本当に逆というか、同じことをしているはずなんですけど、そういう受け取り方ができるのが面白いなぁと思います。2人が同じタイミングで舞台に立つことはもちろん無いんですけど、きっと両方を観ていただければ今言った意味が伝わるような気がします。

三浦:妃海さんのオードリーは、シーモアとは程遠い〝太陽〟のような輝きを持っているんです。井上さんは静かな……って言うと拡樹さんと一緒になっちゃうか(笑)。

鈴木:儚さとかを感じるよね。

三浦:そうなんですよね。静かな方が持つ色気というか、そういう魅力があります。同じオードリーでも、演じる人が違えば全然変わるんだなと思いました。多分、拡樹さんと僕のシーモアもそれぐらいの違いがあるような気はしているんですけど。

鈴木:周りがそう言ってくれるよね。

三浦:自分たちでは〝どう違うか〟はあまり分からないんですけど、2人が1役を演じるWキャストには、そういう魅力があると思います。

そんなお互いが演じるシーモアの魅力は、どういうところにあると思いますか?

鈴木:三浦くんのシーモアは全体的に柔らかさがすごく出ているなと思います。三浦くん本人が持っている柔らかさがあって、それが人を惹きつける部分でもあるんだろうなと。なのでお客さんがとても愛しやすいシーモアなのかなって思いますね。だからこそ応援できる、そういう性質を持っているんじゃないかなと分析しています。

三浦:拡樹さんのシーモアにはすごく知的な部分を感じます。シーモアって賢くはないんですけど、植物に対する知識は人一倍強い人間で。拡樹さんのシーモアはその知識が尋常じゃない感じ(笑)。本当にこの人は植物のことにだけは詳しいんだなぁ……というのを見て取れるというか。拡樹さんのシーモアを稽古場から見られるのが本当に楽しいですし、勉強になります。

三浦さんは「拡樹さん」と呼んでいますが、鈴木さんは?

鈴木:「宏規くん」って言うのはちょっと恥ずかしいんです。

三浦:はははは!

鈴木:でもこの現場では元々……前回(ムシュニク役で)出演していた岸(祐二)さんがつけてくれたあだ名があって。2人ともシーモアの役をやっているから、「ミーモア」と「スーモア」と。

三浦:三浦の「み」と、鈴木の「す」で、ミーモア、スーモアと呼んでいただいて。

鈴木:みんながそう呼んでいるよね。岸さんに感謝です。

三浦:僕は「拡樹さん」ですけど(笑)、他の皆さんは大体スーモアとミーモア。例外でカズさん(石井一孝)だけが「拡樹」「宏ちゃん」って呼んでいらっしゃいます(笑)。

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僕もきっと悪魔に囁かれたらコロッといっちゃうのかな(鈴木)

シーモアというキャラクターについて共感するポイントや、前回公演を経ての発見はありますか?

鈴木:僕もシーモアと同様に、後押しがあって行動することがあるので、そういう意味では、僕もきっと悪魔に囁かれたらコロッといっちゃうのかなって思います(笑)。

三浦:えっ!? 拡樹さん〝仏〟なのに?(笑)

鈴木:あの悪魔の囁きはやばいよ(笑)。

三浦:ふふ。やっぱりオードリーⅡは自分が手塩にかけて育てた、可愛い子ではあるので。確かに、そうやって愛着を持っているものにある日囁かれたら、言うこと聞いちゃいそうですもんね。気持ちは分かるかもしれません。

昨年、シアタークリエという場所に主演として立った時のお気持ち、また再び立つことへの思いについても教えてください。

鈴木:こういうお話になる前は想像もしていなかったことです。ミュージカル作品にちゃんと出演したのも初めてで、こうしてご縁ができたことがとても嬉しいです。ミュージカルに挑戦することによって、「あ、すごい!」って思ってくれたなら、とてもやりがいが感じられるだろうなと。そういう意味でも、シアタークリエに主演という形で立たせてもらえる機会を頂けて感謝しています。これを活かせるような成長をしていかないとな、と感じています。

三浦:シアタークリエは何度も観劇に行っていた劇場でした。初めて立たせてもらうのが主演という形で、もちろん嬉しかったですけど、やっぱり最初は足がすくむというか、「信じられない!」という思いの方が強かったかもしれないです。稽古している内は、作品を作ることに必死だったからあまり実感が湧いていなかったんですけど、初日が開いてカーテンコールを迎えた時、自分が真ん中にいることを実感しました。これからもっと頑張っていかなきゃな、とより強く思いましたし、すごくありがたいなと思いながら立たせていただきました。

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(写真右)すずき・ひろき
1985年6月4日生まれ、大阪府出身。最近の主な出演作に、舞台「幽☆遊☆白書」其の弐(蔵馬役)、『最遊記歌劇伝-Sunrise-』(玄奘三蔵役)、舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士 -大坂夏の陣-(三日月宗近役)など。2021年10月に、「バクマン。」THE STAGE(真城最高役)への出演を控える。
suzuki-hiroki.jp
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(写真左)みうら・ひろき
1999年3月24日生まれ、三重県出身。最近の主な出演作に、ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」featuring SPAM(ガラハッド卿役)、ミュージカル『レ・ミゼラブル』(マリウス役)など。2021年10月に、ミュージカル『グリース』(ダニー役)、2022年2月に、舞台『千と千尋の神隠し』(ハク役)への出演を控える。
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