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ホームレス、届かぬ10万円=住民登録なく対象外に―定額給付金、申請期限迫る

>新型コロナウイルス対策として1人10万円を支給する特別定額給付金が、各地の自治体で申請期限を迎えつつある。給付率は98%を超える一方、住民登録のない一部のホームレスは受け取れない状態のままだ。支援者は「本来真っ先にもらうべき人が取り残されている」と訴え、期限延長や登録なしでの支給を求めている。

「もう無理だと諦めている」。東京都渋谷区の公園で支援団体が行う炊き出しに訪れた男性(63)は15日夜、弁当を手にうなだれた。25年ほど前から路上生活を続け、住民登録は既に消されている。新型コロナの影響でアルミ缶拾いのわずかな収入も減り、「困っているのは一緒。みんなに配ると言っていたのにおかしい」と憤る。

給付金の申請期限は、市区町村の受け付け開始から3カ月以内と定められ、多くの自治体で8月中に締め切られる。総務省によると、14日までに総世帯の98.1%に給付を終えた。

基準日とされた4月27日時点で住民基本台帳に記録されている全ての人が対象で、路上生活でもどこかの自治体に住民登録があれば、申請書を取り寄せるなどして受給できる。一部の自治体では住基ネットで登録のある自治体を調べ、給付手続きも代行している。

問題は、居住実態がないなどの理由で住民票が「消除」されたケースだ。基準日以降でも、今住む場所の自治体で新たに住民登録すれば受給できるが、路上や公園は住所にできない。総務省はインターネットカフェなども管理者が同意すれば住所を置けると通知しているが、業界団体「日本複合カフェ協会」によると、可能な加盟店はないという。

渋谷区では申請期限が迫る中、支援団体の施設を住所と認める対応を始めた。区の担当者は「できる限り受給してほしいが、居住実態がなければ住民登録できない。紳士協定だ」と話す。

厚生労働省の1月の調査では、全国のホームレスは計3992人。支援活動に長年携わる木村正人・高千穂大教授(社会学)は「仮に半数に住民登録がないとしても2000人程度で、特別な措置をしても大した労力ではない。自治体の窓口で可能な限り本人確認し、総務省が記録を一元管理するなど重複支給を防ぐ方法はある」と話した。

( 時事通信社 )


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