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高橋春夫・山田ミヤ 2人展 春の器と版画

高橋春夫

シンプルさを追求している全ての表現方法に於いて言えることと思いますが、只シンプルなだけですと面白味のないものになってしまします。
余分なものを削り取っていって、美しいものを創り上げていくという作業は、本当にたいへんな事と思います。理屈では表し得ない何かを込めてそれも削り取りながらの作業なのですから余計に・・・・。
高橋春夫さんの陶芸の作品にはいつもシンプルな美というものを感じます。
以前ギャラリーで、清潔感の極地といった感のあるお二人のイラストレーターの作品展が続けてありました。たいへん人気のある全くの他人であるお二人でしたが、その会期中に共通した「しつこい程の爽やかさ」というものを感じ、今でも強く記憶に残っているのです。
爽やかさやシンプルさを追求し表現するには、逆説的にある種のしつこさが重要なのかも知れません。
陶芸というジャンルは、日常に用いる器をデザインするプロダクトデザイナーとも重なりますが、高橋さんの作品からは、それらとは微妙に異なる感触の優しさや自由の息吹や可能性と言ったものが伝わって来るのです。


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山田ミヤ

高橋春夫さんと山田ミヤさんの作品展、不思議な2人展ですねと色々な方から言われますが、何故かとてもすんなりとバランスが取れて二度目の開催です。
今回の山田さんの版画作品は、銅版画の他に紙版画も出品されて新鮮な興趣を呼び起こされました。
柔らかく春の訪れを感じさせる紙版画の画面からは、色彩とテクスチュアと多少の滲んだ感覚で、見る者の視覚に優しく訴えかけて来るようでした。
山田ミヤさんには、高橋春夫さんの作品展は壁面も真っ白、台に展示する作品も真っ白なので、作品同士が互いが引き立て合うような感覚の方をと、壁面への作品の展示をお願い致しました。
今回はお二人の展示は二度目ですが、皆様にも喜んで受け入れて頂いている様子が、企画したサイドとしてもたいへん嬉しく思います。
山田さんは、控えめな表現活動をされておりますが、展示の度に素敵な作品を見せて下さり、目を見張る思いが致します。


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