「心を震わせる歌声の噺。」
■落語はマクラが肝心!ヒーロー見参に、胸アツ確変を起こす。
どすこい!オーキです。
風の吹くまま気の向くまま、おもに歌謡曲などのことについて、雑談します。
あえていうなら、あなたの箸休め的noteになりたい…。
今月もいい塩梅の、音楽雑談を更新していきたいとおもいます!
出会いがしらに突然のサジェスチョン、
「胸を打たれる瞬間、みなさんはどんなときですか?」
色んな瞬間がおもい浮かんでいるとおもいますが、
最近のニュースでいうと先日終わってしまった2021年大相撲の春場所が、今いちばん誰かと語り合いたい胸アツなトピックスです。
のっけから歌謡曲じゃなくて、なんで大相撲!?と驚かれるかもしれませんが、
落語だったらマクラは肝心といいますし、胸が熱くなる盤石のエピソードとして
フリースタイルで相撲の話もしてみようと思います。
ピックアップするのは、時間をかけてケガと持病を克服し、奇跡的な優勝を果たして大関昇進をきめた「照ノ富士(てるのふじ)」です。
先の見えないこのご時世で、不安を抱える方の心を勇気づけてくれる照ノ富士こと、親しみを込めて呼ぶと「照ちゃん」の奇跡的な戦いぶりを知ったら、胸アツ確変が起こることまちがいなしです!
照ノ富士は、かつて横綱昇進も間近といわれていた絶頂期に膝のケガと持病が重なり、大関から序二段(大関の月給250万から無給の状態)まで番付を下げてしまった力士です。
本人も含めて誰もが引退を考える絶望的な状態から、なんと約3年あまりの時間でまた大関復帰をかけて戦う姿をみせてくれました。この快挙は昭和以来なかったことなんだそうです。
これこそ、奇跡の復活劇といってもいいんじゃないでしょうか。
バンドであれば「THE・〇〇〇」という、ど直球なバンド名のように言い切りたいぐらいの「THE・復活」です。
しかもDr.スランプアラレちゃん風にいうと、照ちゃん「めちゃんこ強かった!」です。今場所では3人の大関相手にも、すごい集中力で戦い勝ち続けた姿には、「どんだけー!」と心の中にいる、IKKOさんも叫びまくりまくりすてぃ状態です。
懐かしいギャグにおもわず筆もスベってしまうほど強い、照ちゃんの取り組みの間は画面に全集中していました。
そんな強い照ノ富士も、横綱目前の状態から序二段まで落ちて勝てない時には、親方に引退を申し出たんだそうです。その度に親方から「引退はいつでもできるからまずはカラダを治してから考えろ」というような説得をされ、再び相撲が取れるのかわからない状態の中、思い切って手術に踏み切ったそうです。親方の説得がまた、素晴らしいですね。
手術後は、車いすで歩くのもままならない状態だったところから、今日まで365日休むことなく練習を続けてきて、また大関に返り咲くなんて…信じられますか、奥様~!
照ちゃんの優勝が決まった瞬間をあえてバンドでいうと、もはや伝説のバンドとなっていたナンバーガールの再結成ライブを見たときぐらいの衝撃でした。
もう二度と見れないかもしれないと思っていた奇跡を目の当たりにできて、生きててよかったなと思いましたよ。
優勝のインタビューがまた良くて、「お相撲さんは土俵で一生懸命戦う姿をみせるそれだけ。これからもそんな姿をみせていきたい」と話す姿に、ぐったりしがちなアラフォー進行中の私も、令和のヒーローのに勇気をもらいまくりまくりすてぃ…です。
去年はコロナの感染拡大と、ライフワークにしていた大好きなバンドの解散発表もあって、丸1年ほどライブハウスにも行けていない、悲しい感情も抑え気味に過ごしていた気がします。
そこに、諦めることなく相撲を続けてきた照ノ富士の15日間の雄姿には、本当に胸が熱くなりました。きっと多くの人を励ました優勝だったと思います。
お後がよろしいようで、今月も愛すべき歌謡曲をそろそろ紹介したいとおもいます。
■郷愁にかられる歌声に、故郷を思い出す。
子どもの頃から「地元」といえる場所があることに憧れがあります。
実家が引っ越しを重ねたことで、生まれてからずっと同じ町内に実家があったり「ここが地元です」と言える場所があるというのは、素直にうらやましいと思います。
しかし「故郷」という括りになると、居住年数など実績を積み重ねなくても、
自分が思い出がある場所なら「故郷」といってもいいのではと思うんですが、みなさんはいかがでしょうか?
自分で決められる、誰にでも持つことができるのが「故郷」であれば
私の故郷は、九州の「佐賀県」です。「あー、佐賀県ね…。」といいながら日本地図をググった方は、まず九州を探して福岡県と長崎県の間にをみてください、そこが佐賀です。
誤解を恐れずいい意味で、佐賀の魅力をお伝えするとしたら私は「何もないところ」を押したいとおもいます。
芸人のはなわさんの「SAGA佐賀」の自虐ネタは有名だと思うのですが、
それよりもっと昔に、佐賀県のPRとして制作したであろうCMのキャッチコピーもまた衝撃的でした。
記憶が正しければ「探してください・佐賀県」という自虐感があるものでした。
当時は子どもだったので制作者の意図を汲めずに、言葉のままを受け取ってしまい
「探さないといけないほど佐賀ってマイナーな県なんだ…」軽くショックを受けたことをよく覚えています。
佐賀に来たことがある方はわかると思うのですが、実際は焼き物(陶器)が盛んで、バルーン(熱気球)の世界大会もできる平野と自然に囲まれ、山の幸と海の幸に温泉もけっこうあります。都会の喧騒を忘れてのんびりするには、絶好の場所なんじゃないかとも思っています。
学生の頃は退屈でしかなかった田舎の風景も、佐賀を離れて上京してみたら、「何もない」というのは、いつ帰っても変わらない(=戻れる場所)なのだというのが分かったんです。
「なにもない」のは案外、贅沢なことだと気付けたのは、いい大人になってからです。
今までわからなかったことが徐々にわかるようになってくる、そのきっかけをくれる歌謡曲を紹介したいと思います。
はじめて聴いたときのことが昨日のように鮮明に思いおこされる
森進一さんが歌う「襟裳岬」です。
■身体に染み入る、森進一「襟裳岬」
ちょうど10年ほど前に、森進一さんが歌う「襟裳岬」をはじめてちゃんと聴いて嗚咽を漏らすほど泣いてしまったことがあります。
この曲のことを書くにあたり、本当に10年前だったのか調べてみると2010年の紅白で「襟裳岬」が歌われていたという記載を見つけました。
めずらしく自分の記憶がちゃんとしていたことに正直驚いています。
いやー、忘れられないぐらいインパクトある出会いだったんだとおもいます。
2010年の年末は、実家にも帰れず東京の部屋でひとり過ごしていたのですが
とくに見たい番組もなく、なんとなく「紅白歌合戦」を流しているというぐらいの状態で、襟裳岬のイントロが流れ始めました。
「襟裳岬」(歌:森進一)
森さんが歌いはじめると、不思議とその歌声に吸い寄せられるように気づけばテレビの前に座っていて、泣きながら「襟裳岬」を聴いてました。
仕事納めをして大みそかの静けさと、ひとりの部屋に響く森進一さんの歌声が心のスキマに染み入ってきて、自然と涙があふれて止まらなくなったのを覚えてます。
ただ、感動したというよりも「歌の力」を目の当たりにして衝撃を受けたという方がしっくりきます。当時、抱えていたさまざまな感情を歌によって引き出されてしまったことに、驚きショックに近い涙だったのかもしれません。
いい大人になっても、ひとり正月に実家にも帰れない、ふがいなさとセンチメンタルな気持ちにがないまぜになっていたときにこの歌がすごく染みました。
■「何もない」ことのすごさ
この曲がつくられた当時はフォーク界を代表する吉田拓郎さんが、演歌界の森進一さんに曲を提供するという今ではそんな珍しくないジャンルを超えたコラボも、かなり新しい試みだったそうです。
今までになかった挑戦に、森さんの事務所やレコード会社からは「森さんの雰囲気に合わない」という反対意見もあったんだそうです。
しかしそれらの反対をすべて押し切って森さんが歌ったというエピソードを知ると…その大きな選択がヒット曲を生み、演歌を聴いてこなかった私のようなリスナーにも響き愛される名曲となるなんて、涙の塩分だけで、白飯がおかわりできます!
あー歌ってくれてよかった!ありがとう森さん!そしてこの曲の歌詞がまたぐっとくるんですよね。どこをピックアップするか悩みましたが、3番をご紹介しようと思います。
♪~日々の暮らしはいやでもやってくるけど
静かに笑ってしまおう
いじけることだけが生きることだと
飼いならしすぎたので
身構えながら話すなんて
ああ おくびょう なんだよね
襟裳の春は何もない春です
(襟裳岬 / 詞:岡本おさみ / 曲:吉田拓郎)
注目なのは、「襟裳の春は何もない春です」このワンフレーズ!
曲にコントラストを出す、いぶし銀のような名フレーズだと思います。
発売された当時は、それこそ佐賀県のキャッチコピーにショックを受けた私のように「何もない」と言う歌詞の部分にはクレームもあったそうです。
しかしこの「何もない」が、リスナーの心にある「変わらない故郷の風景」を、浮かび上がらせる魔法をかけてくれます。
遠慮がちで控えめな「何もない」には華やかさはないですが、スルメのように何度も噛みしめたくなってしまう味わいと郷愁へいざなうすごさがあると思います。
■心が震える歌声のひみつ
森進一さんの歌声もすごいのですが、スペシャだと息子さんの方がより身近に感じる方も多いと思います。
息子はバンドONE OK ROCKのTAKAさんと、MY FIRST STORYのHiroさんという、どちらも人気のあるバンドのヴォーカリストで、お母さんも歌手の森昌子さんという最強DNAを受け継いだバンド界のサラブレッドではないでしょうか。
たまたまテレビでHiroさんが、森進一さんの目の前で初めて襟裳岬を歌うところを見たのですが、Hiroさんが歌う襟裳岬もまた、お父さんとはまた違ってすごくいいんです。
声がいいだけではなく、驚いたのは歌の世界観をみせれる「表現力」が豊か何だと感じました。
心を震わせる歌声って、声がいいとか歌が上手いというテクニックだけでは語れない「表現力」が備わってこそ、聴く人をひきつけてやまない歌をうたうことができるんだと、親子2代の「襟裳岬」をきいて納得しました。
■歌に聴き惚れる、ちあきなおみの「黄昏のビギン」
襟裳岬の衝撃から10年の月日がたち、アラフォーとなった私がいま聴き惚れる歌手、ちあきなおみさんの歌声を、おすすめしたいとおもいます。
歌の世界を浮かびあがらせる「表現者」として彼女歌声を存分に味わえる
極上の1曲を紹介します。再生ボタンを押したら、まるで自分だけの映画をみているかのような錯覚を起こします。
♪「黄昏のビギン」(作詞:永六輔/作曲:中村八大/歌:ちあきなおみ)
この曲は坂本九さんの「上を向いて歩こう」をつくった黄金コンビ、作詞は永六輔さん、作曲は中村八大さんの曲です。
ちあきなおみさんのカバー曲としても人気のある曲なのですが、残念ながら共有できるリンクがなかったので、ちあきなおみさんの歌声で、自分だけの映画を見てみたいと興味をもった方は、ネットで調べて、歌声に聴き惚れていただけたらうれしいです。
■スマホを置いて外に出よう。伴走者はハナレグミ。
先日テレビで森山直太朗さんが歌声ソムリエとしておすすめの女性ミュージシャンの歌声を紹介していたのですが、そのプレゼン中でめちゃくちゃヒットした名言があったんです。
それが「いい歌声はいい歌詞を連れてくる」というもので、
テレビの前で「たしかにぃぃ!」と太鼓の達人のごとく膝を打ちまくったのですが、直太朗さんだからこその説得力ですねー、スゴイいいこと言ってくれたなーと画面を拝んでしまいそうになりました。
こんな素敵な話を聞いたらわたしも「いい声」を聴きたくなってしまい、すかさずスマホを手に取りましたよ。
気候も暖かくなってきたし、景色のいいとこまで散歩しようかなという気分にさせてくれる、ミスター歌声(勝手にすみません。)「ハナレグミ」をプレイチューン!
コロナも続き未だ続く明るくないニュースも多いけど、永積タカシさんが歌いだしたら灰色の重たい雲に覆われているとしても、太陽と青空が見えてくるみたいな「祝詞」要素があるんじゃないかと思うぐらいカラッとしてきます。
よく伸びるのにカラッとしていて温かみのある歌声は、湿度ゼロ%でまるで「おひさま」みたいにいつ聴いても心地いいんです。
しかも歌を聴き続けていたら、楽しいお酒のように気持ちがふわっとしてくる「ゆるむ」効果があることに気づきました。あえて永積さんの歌声に、効能を書くなら「ゆるませる」じゃないかと思います。
歌声の効能をより感じたい方は、ぜひイヤフォンで聴いてみてください。
イヤフォンからつたわる振動にじんわりと心がほぐれて、ゆるんでくるのがよくわかるとおもいます。
試しに聴いていただきたいのは、この1曲です。
「明日天気になれ」(歌:ハナレグミ)
この曲を聴きながら近所をぐるっと散歩してみました。
考え事をするのに散歩は良いといいますが、歩くのとハナレグミは最高の組み合わせです。
まるでマラソンの伴走者のように、いい距離感で私のペースに自然と合わせて寄り添ってくれます。
自分だけの伴走者となってくれるハナレグミの歌声は悩んでいる時も、無理に励ましたり頑張らせることもなく、自分で気づくきっかけをくれるそんな感じです。
散歩にぴったりな新曲もサイコーです。「いい声はいい歌詞を呼ぶ」まさにそんな1曲じゃないでしょうか。
「発光帯」(歌:ハナレグミ)
♪そして僕は自分ていう「現在地」
ワイドアングル上へ上へ
(作詞:原田郁子/作曲:池田貴史)
伴走者のハナレグミと一緒に、自分のペースでまた前に進もうと思える
胸アツな歌声に、ぜひ心を緩ませてみてください。
今回は、歌声に注目して曲を紹介しました。また来月も、五月場所に沸き立つ中おすすめの歌謡曲を更新していきたいと思います。ではまた!
ハナレグミが3年半ぶりとなる待望の8thアルバム『発光帯』を3/31にリリース。盟友・池田貴史(レキシ)作曲・プロデュース / 原田郁子(クラムボン)作詞による渾身のバラッド「発光帯」をはじめとした珠玉の楽曲が収録されたこの作品のリリースを記念して、スペースシャワーTVではハナレグミを大特集します!お楽しみに!
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