松永天馬045

【第7回】松永天馬の歌詞深読みゼミ「NEW HORIZON/EXILE」

アーバンギャルド松永天馬の歌詞深読みゼミでは、J-POPの歌詞を題材にしながら、歌詞の深読みを行なっていきます。
スペシャカレッジ通信 串田

【第6回】松永天馬の歌詞深読みゼミ#4「炎と森のカーニバル/SEKAI NO OWARI」

【第5回】松永天馬の歌詞深読みゼミ#3「未来とは?/SKE48」

【第4回】松永天馬の歌詞深読みゼミ#2「RHYTHM OF THE SUN/ケツメイシ」

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【第2回】松永天馬が歌詞に対して思うこと#2

【第1回】松永天馬が歌詞に対して思うこと#1

課題曲「NEW HORIZON/EXILE」
作詞:ATSUSHI

「NEW HORIZON/EXILE」の歌詞はこちら


串田

また難題を与えてしまいましたが。

松永

まず、MVを見てびっくりしました。
天地創造みたいなケッタイなことになってて(笑)
「これから世界始まるんかい!」みたいな。
EXILEは今第4章みたいです。

 
串田

え?もう4章なんですか?
 
松永

僕、レコード会社の人からチケットをもらって、
何故か加藤ミリヤさんのライブに行ったことがあるんですけど、
加藤ミリヤさんはそのとき第2章の幕開けを高らかに宣言してました。
章立てすることによって、
「俺がアップグレードされてくぜ」
「俺なんかiPHONE6だぜ」っていう感じがあるんですね。
でも最初にやったのはTHE 虎舞竜さんだと思うんですけど。

串田

ロード!

松永

EXILEさんは第4章ということで。
 
串田

解りやすいですよね。
それでNEW HORIZENってことですね。

松永

目がつぶれるようなCGで!
「鎧来て踊るんかい!」みたいな。
でも、歌詞は優しい歌詞というか繊細な歌詞でした。

 
串田

意外ですね。
 
松永

ケツメイシ的なわかりやすいヤンキー路線かと思ってたら、
意外に優しい歌で。
EXILEのリスナー層、女性が多いと思うんですけど、
ジャニーズとは別のタイプの女性ファン。

串田

ふんふん。
 
松永

EXILEは髭を生やし、墨を入れ、身体をムキムキに鍛えた。
それによって、ジャニーズとの棲み分けをしたって感じでしょうか。
まずアイドルとは名乗ってないでしょうし。
実際は、ジャニーズに対するオルタナティブな「男性アイドル」の可能性を見い出したと思うんですけど。

 
串田

なるほど。
 
松永

言うなればヨン様ですよ。
ヨン様ってあんな甘い顔してるのに、
徴兵制で養われたマッチョな肉体なんですけど、
そこがおばさん方にはぐっとくると思うんですよね。

串田

EXILEも肉体はすごそうですもんね。
 
松永

優しいけど、強い。
「気は優しくて力持ち」っていう、
日本で忘れられたような昭和のガキ大将のような価値観。

串田

みんな良いやつ感ありますもんね。
 

松永

そんなEXILEの優しい歌ですよね。
 
串田

優しい歌(笑)

松永

そんなEXILEの歌詞ですが、まずサビの部分の
「僕らの中のストーリーに存在してる自分はいつだって諦めない」
って日本語おかしいと思うんですけど(笑)
同じ文章の前半では一人称が「僕」なのに、後半で「自分」って、
のっぺらぼうになる感じは、
なんかEXILEっていう人格のうちの俺は細胞の一つなんだじゃないけど、
それを肯定してる。

 
串田

確かに、
全体のEXILEって団体で勝負してる感ありますもんね。

松永

団体というキャラという中で、
自分は滅私奉公してるんだぜっていう。

串田

「いつだって諦めない」
って過酷なんでしょうね。

 
松永

過酷でしょう。
あんな「寅の穴」みたいなスクールがあって、
総本山のトップを目指すんですから。
その中でも優しさを忘れない。
アツシさんの声も優しい繊細な声じゃないですか。
見た目はいかついのに!
サングラスかけてて、サングラスとったらまた、つぶらな瞳で。

串田

明らかに繊細ですよね。
 
松永

その優しさがあるのが、
多くの女性がEXILEに引きつけられる本質なのかなーって思ってます。
あと、
「宇宙の奥のその先に 存在してる善と悪 聖なる力は今誰に宿る 始まるパーティータイム」
っていう。
ちょっとゲーム的というか、
これはやっぱヲタとの関係性が見えて来ますよね。
 PV見ても、鎧着てたりとか。
ハリウッド的でもあり、ゲームの世界観でもあり、
4行目の始まるパーティータイムで一気にヤンキー感が出るっていう。

串田

とは言え、EXILEから頭の3行が出てくるのは面白いですね。

松永

僕が10代の頃は、
おじさんが電車でヤンマガとか読むのが恥ずかしい時代だったと思うんですよ。
でもそういう人が大人になって、サブカルチャーが全世代に浸透して、
というか言ってしまえば、ポールマッカートニーが70代になってロックをやってる時代、
サブカルが全年齢向けになってて、
こういうアニメ的な表現が大人から普通にポンと出てくる。
更に言えば、ヤンキーとサブカルを最も近接させたマンガはワンピースだと思うんです。
ワンピース好きなヤンキーはすごく多いと思うんですけど、
それはなぜかというと地元と仲間を大切にするからですよ。

串田

仲間大切にするわ。

松永

僕らの時代で言うと、ドラゴンボールがあると思うんですけど、
ドラゴンボールはもう少しさめてるというか、五月蝿くない。
闘いはするし仲間もいるけど、あんまヤンキーっぽくない。

 
串田

結構、すぐ死ぬし。
まーどっちか言うと、血族の話ですしね。
サイヤ人。

松永

ワンピースは仲間を大事にするっていうのが受けてると思うんですけど、
EXILEも仲間を大切にするんですよね。

串田

うーん。
なるほど。

 
松永

FAMILYであり、TRIBEですからね。

次回に続きます。近日公開予定。

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