short story series『知らない』 person30

作・堀愛子

本屋にいた眼鏡でロングコートの知らない男性の話をします。

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満島浩介(みつしまこうすけ)22歳。

今日は大学が休みだったからバイトの時間まで本屋にいることにした。

今日少し寒い。

黒っぽい服装がすき。冬に溶け込んでいる気がする。駅前にはイルミネーションが飾ってあってもう少しで点灯する時間かな。

猫が飼いたいなとかふと思ったり。

こういう本屋に来るといつも思うのは自分はどれだけ小さい存在なんだろう、ということ。

何か買う予定もなく本屋に向かうと色々読みたくなる。

文庫本はあんまり読まない。

詩集のコーナーに行けばまた猫が飼いたくなった。冬に溶け込んでいるように、詩に溶け込みたくなる。パラっと読んで閉じる、何度も何度も。それだけだ。

本屋にはたくさんコーナーがある。

僕の知らないことがたくさん詰まっている。

僕の好きな映画コーナーは人がいない。

ホラー映画。

映画が大好きで本を読む。

夢中になってまた溶け込む。

頭が破裂しそうで足が痛い。

でも読む。

読み終わって顔を上げれば、本屋だった、と思い出す。

僕はちっぽけだ。

横を向いたら、日本舞踊の本を読んでいる女の子がいた。真っ黒の格好で。

腰が痛いのかしゃがんだり立ったりしている。

僕らはみんなちっぽけだ。

でもちゃんと、たいせつな気がする。

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本屋にいると色んな人がいて、面白い。時間が経つのが早いです。

2018年12月3日

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