short story series『知らない』  person 12

作・木庭美生

羽田雪音。15歳。お昼。15時になる頃。公園。平日。

あ、もう15時か、案外いけるものだな。

今日は平日で時間は15時。まだ学校はあっている。まだ余裕で授業中だな。いや、もう学校のこと考えるのはやめよう。うん、やめよう。私は今公園のブランコでゆらゆらしてる。それだけでいい。

ただの現実逃避だってことはわかってる。私は15歳で中学3年生。高校受験が待っている。同級生もみんな受験生で今頃必死に勉強してるんだろうな、私も勉強しないとな。私が現実逃避のために1日学校をサボっても、どれだけ時間を忘れて公園で過ごしても時間は待ってくれなくて、どんどん進んでいってる。どんな風に過ごしても受験はやってくる。受けなければいいとかそんなのはわかってるけど今時そんな風にもいかない。進路とかどうでもいいよ。今を楽しく生きたいのに、周りがそうさせてくれない。将来のイメージなんて全然つかないよみんなの頭はどうなってんだ。ああ、いらいらする。ずっと子供でいたい。面接の練習とか余計なことしか考えられないし。私、これからどうなるんだろう。

学校。さぼったの絶対バレるな。きっと怒られる。高校。行けるかな。行けるといいな。勉強。しないとな。やりたくないな。未来の私。ちゃんと生きてるのかな。

公園でこんなこと考えて、恥ずかしいな。時間は止まらないでどんどん進んでいってる。今の私が知らないうちに未来の私になっている。たぶん。

今の私。ちゃんと勉強しとこ。はぁ、明日から、勉強しよ。

2018年11月8日

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