short story series『知らない』 person 28

作・草場あい子

新山沙知。20歳。大学生。
そういえば。
高校卒業して2年。
あっという間だったな。
卒業して上京した。だから高校の子とは全然会ってない。会おうって言ってたけど。
慣れるか不安だったここも意味不明な路線もいつの間にか慣れてるし、読めてる。
そういうもんかって思うけど。
なんか寂しい。
今の思い出で上書き保存して前の思い出が頭の片隅からも消える感じがするから。
私だけかな。
たまに今この瞬間もいつかは思い出になって頭の片隅からも消えるのかなって。
でも、一瞬。頭の中に思い出が出てくる。きっかけは何気なくても。そういえばって。何年前だけじゃなくて何十年前の記憶も。懐かしい。結局人って忘れないんだなって思う。
私はいつか忘れるだろう今日をいつか思い出した時にいい思い出だったなって思えるように過ごしてる。
だから結局寂しくないんだな。
って思いながら電車の窓から外眺める。これもいつか思い出すのかな。

2018年11月29日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?