short story series『知らない』  person 16

作・渡邉大

・見かけた人

ランニングをする男性

・見かけた場所

川沿い

・時間帯

夜10:00頃

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・名前

辻井 雄哉

・年齢

28

・好きなもの

ジョギング

・嫌いなもの

人を馬鹿にする人

・悩み

ジョギングの疲れを明日に残さない方法について

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いつもの道を走る。

いつものジョギングのコースを走る。

この時期になってくると空気は冷たくて、それなのに自分の身体は暖かい。そんな感覚が気持ちいい。

暗い中、一人で夢中に走る。

休憩の地点まであと1㎞もないほどだろうか。

……

………

休憩地点の公園のベンチに腰を掛けて、水を飲む。

冷たい空気が、公園の静けさが、街灯のないこの暗さが、やっぱり大好きだ。

少し運動が足りていないと思ってなんとなくは始めたジョギングだが、意外に続いている。

だんだん運動不足だとかよりも、身体を引き締めることに対して考えるようになっていた。

鍛えれば鍛えるほどに自分の身体が良いものになっていくことを実感したとき、なんだかすごく嬉しい。自分に自信が持てるようになる。

いつだったか、仕事先で「なんで仕事終わった後にそんなキツい事してんの?」みたいな事で、少し馬鹿にされた。

なんでと言われてもしたいものはしょうが無いだろうと思った。大体、自分をもっと良くするための行動がなんで馬鹿にされないといけないんだ。

…今はそこまで悩んでないが、まわりにこの事を分かってくれる人はいないだろうかと思うときはある。この気持ちよさを、この嬉しさを。

いや、捜せば多分まわりにもいるだろう。

捜してみようか、身近な人で。きっといるはずだ。だってこんなに気持ちいいんだから。この静かで、薄暗くて、冷たくて、人気のないこの時間を…

「いや、違うか。この時間は一人だから良いんだ。誰もいないから俺はすきなんだ。」

嫌な人がいない、この時間が…。

2018年11月14日

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