short story series『と、私も前々から考えていた』くつ下 case03
作・草場あい子
僕の世界は狭い。
僕はいつも制服をきっちり着て、授業を静かに受ける。
でも僕は優等生ではない。成績は中の中。運動も得意ではない。
ただ規定の髪型、規定の制服を校則通りに着て、丈の長さがくるぶしの上までの規定の白いくつ下を履いているだけ。担任の先生はそんな僕を模範という。ただ校則を守っているだけなのに。
僕には取り柄がない。誇れることは何も。趣味もないし好きなことも特にない。だからなにか始めようとする。でも長続きしない。
だから校則を守る。取り柄がな