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ムンバイのパン食文化

その昔インドはイギリスの植民地支配下にありましたが、インド西岸については、ポルトガルの植民地下にもありました。ポルトガル植民地下のインドでは、彼地から持ち込まれた食文化が現地の食文化と融合を見せました。その最たる融合がパンとカレーの出会いです。

パンバジ/パオバジ

「パン」と「バジ(ドライカレー)」の組み合わせは、ポルトガル語でパンを表すpãoの綴りせいで、現地では「Pao Bhaji(パオバジ)」と発音され、今日のムンバイではソウルフードとも呼べる位置付けを獲得し、老若男女に愛されています。

インドのパン(ムンバイパン)はギー(インドの精製バター)とヨーグルトを生地にたっぷりと練りこんで焼成するので、柔らかいパンになります。そのためパンは大きいパンに焼成できず、一つ一つがこぶし大の大きさに成形されたちぎりパンの形態をとります(パンを焼けない(または調達できない)屋台では、スライスした「食パン」を使う場合も散見されます)。バジはペーストにした複数の野菜を煮詰めたカレーで、バターをたっぷり溶かしこみます。

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↑プリヤマハル東京のちぎりパンは、三鷹市のトーホーベーカリーに特注しています。インドのムンバイパンに近しい食感の、バターをたっぷり使ったソフトフランスの生地をちぎりパンに焼成していただいています。

2020年4月9日のツイートより
Pao Bhajiがムンバイでどれだけ愛されている食べ物なのか、その様子を垣間見ることのできる動画です。

2020年4月11日のツイートより
ムンバイにはソウルフードPao Bhajiを提供する店はたくさんありますが、オーナーのオススメはChhatrapati Shivaji Terminus向かいのCannon Pav Bhajiさんです。ムンバイに行く機会がありましたら是非お訪ねになってみてください。

2019年10月16日午前9:08 のツイートより
当店でPao Bhajiは、昼はサブダナワダやサラダ付きのお得なランチセットで、夜は満腹ターリのセットでお召し上がりいただけます!

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↑当店のパンバジランチセット

パンバジのディナーターリはこちらをご参考ください:https://www.instagram.com/p/B3qI6N3pVvw/?igshid=8qkorzlv341t%E2%80%A6

ミサルパン/ミサルパブ

パンで食べるインド料理はパンバジだけではありません。もう一つ代表的なメニューに「ミサル」という「スナックを入れた豆のカレー」をパンで食べるミサルパン(Misal Puv, Misal Pauなどと発音)という食べ物があります。ムング豆のカレー「ウサル」にファルサン(揚げスナック麺)を入れると「ミサル」になり、ミサルをパンで食べるのがミサルパブです。パンバジのpaoと違いミサルと合わさるとパンはPav(またはPuv, Pau)になります。ムンバイのマラティの人は朝食にこれを食べます。

ミサルと併せるパンをPaoではなくPavとする理由は諸説ありますが、ミサルの「ル」とパウの「ウ」で韻を踏む説が説得力ありそうです。あるいは、Pavはマラティ語で1/4を表すपाव(pav)に由来する説もあります。どういう事かというと、ムンバイパンは、4つのちぎりパンがひとセットになって焼かれていた(いまも一部はそんな焼き方とのこと)のだそうです。

2020年4月12日のツイートより
ミサル(Misal)は、ムンバイ中心部からちょっと奥に位置するThaneという街のミサルがスパイシーで美味しくて有名です。なかでもMamledarは人気店です。ムンバイに行く機会がありましたら是非お訪ねになってみてください。

当店では昼はサブダナワダやサラダ付きのお得なランチセットで、夜は満腹ターリのセットでお召し上がりいただけます!

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↑当店のミサルパブランチセット

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↑当店のミサルパブディナーターリは、BRUTUS 2020年7月1日号でご紹介いただきました。

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ワダパオ

ワダを挟んだパオです。ワダはVadaとかWadaと記す揚げ物で、インド全土にご当地ワダがあります。マハラシュトラのパオに挟むワダは、青唐をたっぷり混ぜこんだジャガイモのコロッケ。衣は水溶きのベサン粉です。

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これをパクリとかぶりついて「から〜〜い!、でも美味しい!!」となったところであま〜〜いチャイをグッと飲むと気分はもうムンバイの街角です

ところでワダパオのパオはソテーしませんが(生パン状態)、パオバジやミサルパブのパオは切り込みにバターをしっかり塗ってソテーします。

ぜひプリヤマハルでパン食と融合したインド料理をお楽しみください。


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