見出し画像

『さんぶんのいち』インタビュー


11月3日(金)〜5日(日)北池袋新生館シアターにて行われる、磯野晴菜(はる)と出店 菜生(でみ)で結成されたユニット、さんぶんのいち
その第3回公演 『みちがさく*』に向けて二人に話を聞きました。







_____まず最初に二人の出会いは?

でみ インプロカンパニーPlatform(以下、プラフォ)のイベントに女子高校生だった はるが出てるのを見たのが最初かな。

はる インプロ始めて半年くらいプラフォのWSに通ってたんだよね。たぶんその様子をでみが見てた。そして他のWSでしおむすびを立ち上げた忍翔さんに会ってしおむすびに入ったかな。

でみ 私はシアタースポーツ(お題をもとにチームごとに即興で演劇を作り、スポーツのように対戦する)に出てて、そこで忍翔さんから誘われたかな。




____二人は同じ年くらい?

はる でみが5歳上かな。

はる そうだね。あまり年齢差感じたことないけど。

でみ でも体力差はすごく感じる。

はる 最近よく言ってるね〜。性格については、私の子供っぽい部分をでみが補ってくれてる(笑)

でみ いやいや(笑)

『さんぶんのいち』について。

_____発足したのは2022年だそうですね。

はる 高校3年でしおむすびに入って、私が大学卒業してさんいちを組んだって感じだったかな。

でみ WSで会ったりしてて、多分お互いにユニット組みたい欲はどこかにあったんだよね。

はる あったね。そういえば新宿のルノアールにご飯行った!!

でみ 行ったね〜。そこでユニット組みますか!って。

はる 一緒に組めるかもしれないってお互い下心あったと思う(笑)
告白するみたいだったから照れくさかったな〜。この人、私のこと好きなんだろうなってわかった上で告白するみたいな感じ。

でみ 「照れくさい〜!」って言ってたね(笑)

はる(笑)




_____構成があるインプロ、ということですがどんな作り方なんですか?

はる 今回の場合、動きやモノローグ、自己紹介をする、というのは決まってるけど何を話すかは即興で作ってる。
キャラクターは場所が決まって、演じていて辛そうな関係性を決めて描き始めるかな。演じていて「しんどいだろうな、ドラマが生まれそうだな」っていう関係性が好き。

_____キャスティングは?

はる オファーした人もいるけど、あとは年代だけで決めていった感じ。親役の人は子育ての経験がある人にオファーをしたけど。
実感力を大切にしているから、実際にお子さんがいる方に声をかけた。限られた稽古回数で実感力を持つには難しいからね。


_____みちがさく、はどうやってできたんでしょう?

はる テーマから決めて「こんな絵を作りたい」と組み合わせていった。屋上でこんな形式が生まれたら綺麗だよな〜って思って、そういうので作ってる。


_____なぜ屋上をテーマに?

はる すごく難しいんだけど・・・「一つのコミュニティの崩壊」をテーマにしようと決めたとき、屋上で人が集まるのが面白そうだなって思った。不特定多数の人が集まりやすい場所でもあると思う。
その人たちだけの場所っていうのも作れるし、セットが作りやすいのもある。予算的な面もあるけど。


_____場所は屋上でずっと物語は進んでいくのでしょうか?

はる 今1幕まで通したけど、屋上でずっと進んでいきそうな気がする。
うまくいかなかったら次の稽古までに構成考えてやり直そうかな。キャストと稽古中にアイデアを出しあって作っているから。集団創作だと作品に愛着が湧くし、チーム感が高まる。


_____この人数を2人でまとめると大変な労力が必要だろうなって思いました。

はる 大変だけど、みんな話を聞いてくれる人だから大丈夫。でも今のところは構成が増えることも考えて7人が限界かな。


_____二人の制作などのバランスは?

はる 企画によるけど、でみが制作やお金関係まわりを担当して私が構成演出が多いかな。お金にゆるいから、でみに任せてる(笑)


_____バランスが取れている!

はる お互いキャスト以外の経験もあったからね。しおむすびで私は舞台監督やってたし、でみはプラフォで経験積んでたね。

でみ お互い劇団に入っていたのは強いかな。だいたいできる範囲を知っていたから。


_____そういえば、お客さんが読むことのできる(持ち帰れる)演出ノートには何が書いてあるのでしょう?

はる 即興と構成の部分と細かい人物設定かな。前回はシェアハウスだから間取りもかいた。即興を始めて見たお客さんがわかりやすいように、という意図もある。分量はフリーペーパーみたいな感じで読みやすいと思う。

さんぶんのいちX(旧Twitter)より


_____1回の観劇だと即興と構成の境目ってわからないから嬉しいですね。

はる 「なんだかよくわからなかった」って帰ってもらうのは寂しいと思った。開演前から見れるようになってるから内容のネタバレになるから観たい人はどうぞ、という自由な形にしてみるつもり。



_____物語が追うのが苦手な人は助かりそうですね。演出ノートをお客さんが読めるようにするアイデアはどこから?

はる 前作の本番直前に思いついて、でみに言って怒られた(笑)懐かしいね。

でみ 本番1日前とかじゃなかったかな。「やりおった・・・」って思った。でもやって良かった。私には思いつかないアイデアだったから。

はる 思いついちゃったんだもん(笑)思いついたら我慢できないから、でみが「ちょっと待って!」って言ってくれるのはありがたい。



_____構成だけ決まっていると言うことですが、稽古はどのように行なっていくのでしょう?

はる 構成は決まってるけど、なんか違うなって思ったら捨てる。インプロの稽古から始めるけど、その場にいるってことを重要視するから、役になっていく稽古をするかな。お互いに役で呼び合う、役で話してみるとか。
あとは基礎稽古のルーティン。ちょっといつもの自分違うなってことにも気づけるし、同じワークをやることで、精密度をあげてる感じ。
前作はモノをお客さんからもらって、話すっていうシーンがあったんだけど、それを稽古のウォーミングアップでやってたかな。そうすると話す長さに気づけるようになる。修正が早くなってコンパクトに話せるようになるんだよね。


_____実感力も稽古で積み重ねていくんですね。

パントマイムを使わないんだよね。何を自分が言ってるのか実感したいから。
等身大を大事にしてるから、等身大に役でもなれるように稽古してるかな。
敏感さを鍛えるためにルーティンを作る。
その場にいることを集中させるために、マイムを使わないし、設定や構成を作ってる。構成の流れに乗っていけばとりあえずゴールに辿り着けるようになっている。


_____即興だからパントマイムを使う必要も出てきそうですが?

稀にあるけど、人間が起こす行動の可能性を考えて物はたくさん用意してるから大丈夫かな。

_____色々考えているんですね。さんぶんのいちは集団創作の面があるんだねって気づいた!でみは制作やお金まわり以外で何をやっているのでしょう?

はる 私の言葉をみんなに伝える通訳(笑) 
私の言いたいことが伝わってないなって思ったら「つまりこういうことよね?」って言ってくれる。私よりキャストのことが見えてるから、稽古終わりに伝えてくれたり。

でみ 私はムードメーカーな立ち位置がいいのかなと思ってる。

はる そうだね。どうしても焦るとピリつくこともあるし。たまに強い口調になったりすると、でみが気づかせてくれる。どうしてもプレイヤーと構成演出だと頭がいっぱいになってしまうから自分では気づけない時もある。

_____キャストは言いづらいことかもしれないし、相方がいてくれるのは心強いですね。

はる 探りながらやってるかな。定期的に2人でも話し合う時間を作っている。

_____そういえば、演劇の始まりはインプロ?

はる・でみ  そうだね。6、7年くらい?

_____すごい!6,7年目でこの人数の公演ができるんですね。

でみ コロナ前はみんな企画やってたからね。しおむすびでもやってたし。

はる 企画には確かに抵抗はないかな。みんなが企画やるのを1,2年目で見ていたのは大きいかな。

キャスト・出演について


でみ 私は小駒ゆかちゃんが初めましてだね。

はる にしたけくみちゃんは自分から先手を取って進んでいくのが変わったと思う。前は(ネガティブな意味ではなく)受け身なイメージだったけど。

でみ ひろせには以前「さん」付けしてたけど、ここ1年くらいで近くなって距離が変わった感覚がある。

_____そういえば2チームありますが、どちらにも2人は出るんですよね。

はる 前作のほうが大変だったかな。ずっと出ていたけど今回は違うから。自分が出る場面の時は動画撮っていたこともあったけれど、今回は出ずっぱりじゃないから見ている時間が作れているからまだ楽かな。前回はずっと出ていたから大変だった。



_____出演、構成、制作も含め二人で行うのは大変そうですね。

はる 作りたいものためだから、大変だなって思わなくなったかな。大変だなーって思う瞬間はあるけど。

_____本番もうすぐですね、頑張ってください!

はる・でみ ありがとう!!



あらすじ

小さいころ大好きな両親から「自分がどんな状況でも目の前で困っている人がいたら助けられる人になりなさい。」といわれてきた。
果たして大人になった自分はそんな人になれたのだろうか。
自分はそういう人になれたと思っているだけかもしれない。
毎日があっという間に過ぎていく、過ぎていく。
そもそもこれは本当に自分がなりたいと思う人なのだろうか。
自分が本当に大切にしたい自分は。

『なりたい自分はいつだって遠い』




〈タイムスケジュール〉
11/3(金) 19:00🟢
11/4(土) 12:00⚪️ /15:30🟢/19:30⚪️
11/5(日) 13:00🟢/17:30⚪️

〈出演者〉

○シングルキャスト
磯野晴菜(Second Circle)
出店菜生
(以上、さんぶんのいち)


ミドリチーム
鮎川 氷魚
ひろせなおや(Second Circle)
中野コウスケ(Second Circle)
一永紗良(インプロアカデミー/Second Circle)
にしたけくみ(劇団君と夜散歩)
三戸海実(劇団ClownCrown)

シロチーム
藤田祥(BUNNYS)
小島啓寿(Asobiba)
秋桜天丸(FIVECRANEGAME)
小駒ゆか
会原実希
早野宙(ハレとケ)

〈スタッフ〉
構成・演出 磯野晴菜
舞台監督 木原歩
照明 平野みくてぃ(Second Circle)
音響 金丸紘平
制作・運営 出店菜生
制作 鳥海真奈美
制作 月見里リタ



チケット販売中!



写真・文 中島早紀

サポートしていただたら光栄です。いただいたサポートは、これからの記事探しの費用として使わせていただきます! 一緒に、文字の旅へ出かけませんか?