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実在する場所を描いたり、ゲームに出したりしてはいけないの?①

実在する場所を描くときの注意点について考えてみたいと思います。
最近のゲームでは、実在する町を再現して、まるでその場所に行ったような疑似体験をさせてくれるものもありますね。
 
でも、自分も実際にイラストや漫画で描こうとしたり、ゲームの舞台として使いたいと思ったりすると
 
「実在の場所って、勝手に出していいのかな?」
「渋谷を舞台にしたいけど、そのまま再現していいの?」
 
と疑問に思うのではないでしょうか。
この点について、権利面と倫理面と2つの観点から、考えていきたいと思います。
 

著作権的には建造物をイラストや漫画に描いたり、
ゲーム内の舞台にしても問題ない


 まず、著作権についてです。
結論から言うと、著作権的には、以下の著作権法の内容により、建造物をイラストや漫画に描いたり、ゲーム内の舞台にしたりしても問題ありません。

(公開の美術の著作物等の利用)
第46条 美術の著作物でその現作品が前条第二項に規定する屋外の場に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
 
一 彫刻を増製し、またはその増製物の譲渡により公衆に提供する場合
二 建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合
三 前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合
四 専ら美術の著作物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合“

著作物が自由に使える場合 公開の美術の著作物等の利用(第46条)(参考サイト:文化庁)

つまり何のことを言っているのかというと、建築物に関しては著作権が発生していると認められたとしても、上の1~4に該当しないのであれば、利用してもよいといっています。
 
建築物の著作権は70年、他の著作物と同じです。
美術性の高い歴史的建造物はほとんど著作権が切れている状態ということになります。
 
1~4の中で注意したいのは4の「美術の著作物の販売を目的として複製」です。
例えば建築物の映ったポストカード(イラストでも写真でも)の販売を目的とした複製は、こちらに抵触する可能性があります。
 
ただ、4の冒頭に「専ら美術の」とありますので、イラストや写真の背景に紛れ込んでいるレベルなどの明らかに鑑賞を目的としたものでなければ、4に該当する可能性は低いでしょう。
(ただし、その建造物がメインとなっているか、なっていないかについては明確な判断基準があるわけではありません。注意しましょう)
 
著作物として取り扱われるであろう建築物には、有名なものに東武鉄道が権利を持つ「東京スカイツリー」があります。著作権の面からも、無断での使用は避けたほうがよいでしょう。
 
東京スカイツリー®知的財産使用に関するお問い合わせ
(参考サイト:東京スカイツリー公式サイト)
https://www.tokyo-skytree.jp/property/
 

他にもある建造物の著作権


 
また、建物本体の著作権は切れていても、増築されたり、ライティングが後に設置されたりしたことによって、撮影する時間帯によっては著作権が発生するという事例もあります。
 
実はエッフェル塔の夜景写真を無許可でSNSなどに公開するのは違法
(参考サイト:Gigazine)
https://gigazine.net/news/20190402-photos-eiffel-tower-night-illegal/
 
いくら建造物が70年以上昔に立てられていたとしても、このような例外があるため、必ず確認をするように注意したいですね。
 

商標権にも注意する


 著作権的には一部の例外を除けば、イラストや漫画、ゲームで描いても著作権侵害に該当する可能性は低いということがわかりました。
 
次に気にしたい点は商標です。
 
「商標」は「同じあるいは似た名称」が「同じあるいは似た商品・役務」で使用されることを制限します。名称だけではなく、図柄なども登録することが可能です。
 
そして再び先ほど例に挙げた東京スカイツリーのページを見てみましょう。
このように、
 
“東京スカイツリーに関する知的財産(名称・ロゴマーク・シルエットデザイン・イメージCG等)は、東武タワースカイツリー株式会社等の著作権・商標権により保護されております。”
 
とあります。
(参考サイト:東京スカイツリー公式サイト)
https://www.tokyo-skytree.jp/property/
 
 
つまり東京スカイツリーはその名称や図柄・立体などが商標登録されていることから、著作権・商標権両方において、その権利が守られているということです。
これは東京スカイツリーの場合だけではありません。
有名・著名な商標に関しては使用形態を広く登録している場合が多く、実際に様々な商品やサービスで使用されています。無断で使用すると商標権侵害となり結果的に修正をせざるを得なくなることもあります。
みだりに自分の制作物の中に他者の商標を描くことは、避けたほうがよいでしょう。
 
なお、街を再現したゲームとしては、セガから発売されている「龍が如く」「ジャッジアイズ」が歌舞伎町などを再現していることで有名ですが、これらは公式サイトでコラボしている旨が明記されています。
このように実名が出ているものは許可がとられていると考えてよいでしょう。
龍が如く公式サイト>HEADLINE NEWS>#コラボレーション
https://ryu-ga-gotoku.com/news/tag/22/index.html
 
Point 
権利面的には、イラストや漫画、ゲーム等に建築物を描いても問題ないが、例外もあることに気を付ける

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