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自殺の公開データを確認する

日本の自殺の状況を知るには、政府が公開している情報を参照します。
毎回探すのに結構手間取りますので、ここにまとめました。

自殺対策白書/厚生労働省

自殺対策基本法に基づいて、政府が国会に提出している年次報告書です。過去を振り返ると発表されている時期はさまざまで、特に決まってなさそうです。
第1章は毎年「自殺の現状」で、自殺者数や自殺死亡率の推移などが図表で示されています。第2章や第3章は自殺対策の枠組みや動向などが多いです。毎年確認したいです。

自殺の状況/厚生労働省・警察庁

自殺対策白書でまとめられているデータの多くは、警察庁の自殺統計より作成されています。
白書によれば、警察庁の自殺統計は
・日本における日本人及び日本における外国人の自殺者数
・捜査等により、自殺であると判明した時点で、自殺統計原票を作成し、計上している
・発見地に計上している
という特徴があります。
警察庁の計上した「自殺統計原票データ」は、厚生労働省が毎月集計して「最新の状況」「各年の状況」というページに概要や内訳が公開されます。

「最新の状況」では、警察庁の自殺統計に基づく月の自殺者数が、翌月初旬には公開されています。

「各年の状況」では、平成23年からの「X年中における自殺の概況(状況)」が確認できます。ここでは、性別、年齢階級別、職業別、原因・動機別、都道府県別の自殺者数の租データと、年齢階級別自殺死亡率などが確認できます。また、付録でクロス集計が確認できます。

原因・動機別のデータを使用しているものについては「平成19年に自殺統計原票を改正し、遺書等の自殺を裏付ける資料により明らかに推定できる原因・動機を自殺者一人につき3つまで計上することとしたため、原因・動機特定者の原因・動機別の和と原因・動機特定者の和とは一致しない」と注釈があるので、使用するときは注意します。

自殺者数/警察庁

警察庁のページでは、上記の厚労省のページに公開されている「X年における自殺の概況(状況)」の資料が平成16年のものから確認できます。
また、月別自殺者数(総数・性別・都道府県別)の速報値暫定値がいち早く公開され、Excelでもダウンロードできます。厚労省の「最新の状況」よりもシンプルな表です。

人口動態統計/厚生労働省

白書は、厚労省の「人口動態統計」に基づく自殺者数や自殺死亡率の推移も掲載しています。白書によれば、人口動態統計は
・日本における日本人のみの自殺者数
・自殺、他殺あるいは事故死のいずれか不明のときは原因不明の死亡等で処理しており、後日原因が判明し、死亡診断書等の作成者から自殺の旨訂正報告があった場合には、遡って自殺に計上
・住所地に計上
という特徴があり、警察庁の自殺統計とは計上の対象者もその方法も異なります。

自殺のデータを確認したい場合は、下記の表を参考にしてください。

「人口動態統計(確定数)の概況」
・翌年9月ころ公表
・平成7年~令和元年まで公開

第6表 性別にみた死因順位(第10位まで)別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合
第7表 死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人口10万対)

「人口動態統計月報年数(概数)の概況」
・翌年6月ころ公表
・平成10年から令和2年まで公開

第6表 死亡数・死亡率(人口10万対)、死因簡単分類別
第7表 死亡数・死亡率(人口10万対)、性・年齢(5歳階級)・死因順位別

「人口動態統計月報(概数)」
・約5か月後に公表
・e-StatからCSVをダウンロードできる

第4表 死亡数及び死亡率(人口10万対),死因(死因簡単分類)別-対前年比較-
第5表 乳児死亡数及び乳児死亡率(出生10万対),死因(乳児死因簡単分類)別-対前年比較-
第6表 死亡数,死因(選択死因分類)・性・年齢(5歳階級)別
(保管表)
第5表 死亡数,都道府県(特別区-指定都市再掲)・年齢(5歳階級)・性別
第6表 死亡数,死因(死因簡単分類)・性・年齢(5歳階級・小学生-中学生再掲)別
第7表 死亡数,都道府県(特別区-指定都市再掲)・死因(死因簡単分類)・性・年齢(5歳階級)別

公開データの特徴まとめ

自殺対策白書/厚生労働省
これまでの自殺の状況の推移や自殺対策の動向など、概要を捉えるのに適している。

自殺の状況/厚生労働省・警察庁
日本で発生する自殺を把握し、職業別や原因・動機別など詳しい自殺の状況の把握や、注目する層別のデータを整理し直すのに適している。

自殺者数/警察庁
月の自殺者数を素早く確認するのに適している。

人口動態統計/厚生労働省
自殺で亡くなる日本人を把握したり、ほかの死因と比較したりするのに適している。

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