就活に立ち向かう理系の君へ。情報処理学会理事からの秘伝。

就活は人生の一大事・・・

春から最終学年になる、学部3年生や、大学院修士課程1年生は、就職活動、いわゆる就活にいそしんでいる時期ではないかと思います。
これまでは何も考えなくても、ある意味レールに乗って大学に進めたのかもしれません。しかし、これからは違います。自分の意志で人生の大事な選択をしないといけないこのプレッシャー。

「落とされたらどうしよう、その次もまた落とされたらどうしよう・・・」

その不安は相当なものでしょう。私もそれが嫌で、就職活動はできず今まで大学に残っているクチです・・・。

就活をがんばる人ほど、就活に成功しない現象。

そんな私も、指導教員として、就活に手こずる理系学生をたくさんみてきました。本当に素直に研究に取り組む学生でも、何度も落ちてきて、自信がだんだんなくなってきて、それがまた悪循環・・・。
そんな学生を見ているうちに、就活に失敗する何か共通のパターンがあるように思えてきたのです。
そして、学生に一つだけアドバイスしたら、一発で受かってきた、そんな経験が私にはあります。しかも面接員から「すごいね〜」と言われて・・・。そのアドバイスを、少し紹介します。

就活に成功しない理系学生の、3つの共通点

1. ちまたの就活マニュアルに真面目に取り組みすぎている

就活本には、こんなことが書いてあるかもしれません。
「学生の時に取り組んだ、アピールできることを考えておきましょう。アピールことがないと心配する必要はありません。アルバイトで何か責任ある担当をしたことはありませんか?サークルで目立たなくても地道にがんばったことはありませんか?それを自信をもってアピールすればいいのです。」
こんな、どんな就活生でも使えることが書いてあります。本が売れるためですから当然です。
しかし、考えてみてください。採用する企業は、キラリと光る才能を発掘したいのです。全員がバイトリーダーやサークルでがんばった、なんて言われた日には「あ〜またか」と思うはずではありませんか?
つまり、みんなのための就活本に書いてあることは、すでに採用側は飽き飽きしているはずだ、と思いませんか?

2. 志望企業をリサーチしすぎている

就活本にはこういうことも書いてませんか?
「就職先の企業のWebページを見て、しっかり研究しましょう。」
こんな記述を見て、エントリーシートの志望動機に、相手企業のことをたくさん書いていませんか?
しかしこれには重大な欠点があります。

  • 応募先ごとに調査・作文しないといけなくなり、時間がかかる上に、どうしても一つ一つの内容の質が落ちてしまいます。不安だからと、たくさんの企業に応募する人ほど、この難しさが増してきます。

  • 当然、採用担当の社員の方が会社のことをよく知っているはずです。だからその内容には興味ありません。これは、どうしても越えられない壁です。

・・・こうなってくると、志望企業のことは書かない方がいいとさえ、思えてきませんか?

3. 研究のことを話していない

1とも関連しますが、面接で「自分の強みだと思うことはなんですか?」などと言われて「どんな人ともすぐに打ち解けられることです。」などと答えていませんか?
「これまで苦労を乗り越えた経験はありますか?」と聞かれて、「バイトで人間関係に悩んだ時も、積極的にコミュニケーションをとって改善した」などと答えていませんか?
いやいや、面接員はそういう答えには、もういいかげん疲れているのです。そのような答えは、他の候補者にも、できますよね。あなたが答えなくても、いいですよね?
そして、あなたがもし、そういう回答を無理して作っていたのなら、面接員はすぐに見破ります。なぜなら、面接員には「3回以上深掘りして聞くように」というマニュアルが用意されているのですから。取ってつけたような回答は、すぐにボロが出ます。
あなたにしかできない、しかも深く突っ込まれても答えられる回答はなんでしょうか?
・・・そうです。研究です。
落ち続けた学生に聞きました。

「研究の話はしたの?」
「いえ、聞かれなかったのでしてきませんでした。」

驚きでした。私はその学生が研究に真面目にがんばっていることを知っていました。研究というのは、オンリーワンでなければ成果になりません。研究のことを答えれば、キラリと光る、そして深く突っ込まれても自信をもって答えられるはずなのです。
企業も企業です。私は、学生が研究の経験を活かして、その学生が、就活もそして人生も成功すると思って指導していました。それなのになぜ研究のことを聞かないのか?企業はそもそも大学の研究というものを見くびっているのではないか?・・・そう思うと、だんだん腹立たしくなってきました。
そこで、もう半分やけになって、学生にこうアドバイスしてみました。

「何を聞かれても研究のことを答えてみては?」

  • 「強みは?」と聞かれたら「〇〇の研究を遂行できることです。」と答える。

  • 「苦労した経験は?」と聞かれたら「〇〇の研究でこういう苦労を乗り越えました。」と答える。

  • 「志望動機は?」と聞かれたら「私は〇〇の研究をやっていて、これが御社の□□分野に活かせると思ったからです。」と答える。

そこは素直な学生だから、はい分かりました、といって次の面接に行きました。
その結果・・・
その学生は「受かりました!」と満面の笑みで、報告に来ました。冒頭のように「すごいね〜」と言われて。「大学と共同研究もできるかもしれませんね。」と言われて(これは私の方が満面の笑みですが)。

情報処理学会理事からの、一つの提案。

同じ学生の、ここまでの結果の違いを見て、現在の日本の就活事情は、まだまだ理系学生にうまく対応できていない部分もあるのだなぁと感じます。
でも、「何を聞かれても研究のことを答えるほど、強引な性格ではありません!」という学生もいるかもしれません。

そこで、情報処理学会理事の私からの、一つ提案です。

情報処理学会の学生会員であることを、履歴書やエントリーシートなどに、書いてみてください。

どこでもいいから、「情報処理学会 学生会員」と書いてみてください。ジュニ会員だったらジュニア会員と・・・。これがきっかけで「ほうほう、学会会員ということは、研究とかどういうことやってるの?」という話のきっかけにつながるはずです。あとは上記の通り、満面の笑みに一直線、です!

この作戦が有効な、理由。

この「何を聞かれても研究を答える」「情報処理学会員であることを書いておく」作戦が、なぜ有効なのか、ちょっと整理しておきます。

  • 面接員が聞いたこともない、オンリーワンの内容をアピールできる。面接員が飽き飽きする回答には、絶対になりませんよね。

  • どんなに深掘り質問をされても、自信をもって答えることができる。なぜならこのテーマの世界一の専門家は、あなたなのですから。あなたが知らないことは、面接員も知りません。わかりやすく、自信を持って解説しましょう。

  • 志望先ごとに、別々のアピールを用意する必要がない。自分の研究のアピールに集中すればいいので、当然内容の質は高まります。志望先のことは、最後に少しだけ(とは言っても説得力を持って)付け加えればいいのです。

  • 自分の研究をアピールするということは、自分の研究が進むことにもつながる。大学のリソースを最大限活用して、自分の人生のために利用できる。大学の先生としても、これは嬉しいことです。

  • 学会の方では、関連企業に「応募者の履歴書に情報処理学会員と書いてあれば、その人は間違いなく優秀な応募者です。」というメッセージを発信していきたいと考えています。それを実践する企業も、間違いなくあなたのことを理解してくれる、いい企業のはずですよね!

三方よしで、幸運を祈ります!

勉学に、研究に忙しい、でも就活もしなければいけない理系学生のあなたには、こんな、研究と就活を両立して、そして企業も、大学の先生も、あなたも、みんなうれしい、三方よしの作戦を、おすすめします!

情報処理学会の学生会員には、会費は正会員の半額以下でありながら、国内のトップ研究者・技術者と交流できるチャンスがたくさんあるはずです。学会イベントに積極的に参加して、いろんな建設的な意見をもらって、研究も進めてください!

・・・もしあなたが情報処理学会の学生会員でなかったら・・・
それはもったいないことです。
以下から今すぐ入会の仮申請して、上記のメリットを最大限享受しましょう!

(この記事は、情報処理学会広聴マーケティング小委員会で作っていますが、書いている内容は、委員長の、個人的な意見です。)

P.S. よろしければ、この内容を読んでどう思ったか、コメントいただければと思います。そして実践した方がいたら、その効果がどうだったかも、教えてください!

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