インボイス反対を表明します
インボイスが憎い。私ほどインボイス制度を憎んでいる人が他にいるであろうか。いいえ、いません。
そんな中、twitter(X)で下のような図と算式がどんぶらこどんぶらこと流れてきました。
私は違和感を覚えたのですが、一定数の人は計算式に合理性を見出して許容する態度を取っていました。大人ですね。
私は自分が抱いた違和感を言語化しようと努めてみました。めんどくさいですね。
それでははじめます。
消費税は多段階(前段階)税額控除方式という計算方法を取っています。ものすごく簡単にいうと、「売上に係る消費税」から「仕入れに係る消費税」を引いて計算することで税額を計算する仕組みです。
一見、上の算式と齟齬が無いように見えるかもしれませんが、ダメです。あくまでも、売上に係る消費税から仕入れに係る消費税を引いて出すシステムなのでそれらを分解して算式を変形することは許されません。
多段階(前段階)税額控除の仕組み上、青囲み部分を分解することはできません。それにも関わらず、敢えて分解し、下段の式に変形することで何が起こるか。
下の式は所得税や法人税に代表する「控除方式」と呼ばれる税額算定方法になります。所得税や法人税は消費税と違い、直接税と呼ばれるカテゴリーになります。ここでは、利益+人件費に係る直接税だと遠回しに主張している、もしくは、直接税の議論に繋げるための前提として提示している訳ですね。つまり、多段階税額控除方式を否定し、算式を意図的に組み替えることで、都合よく理論展開するための巧みな誘導を試みていることが垣間見れます。
なので、計算構造だけを取り出して一定の合理性を見出すような、文理解釈からも趣旨解釈からも許されない解釈を認めることは、対等な議論を行うにあたってのスタートラインを意図的に変えるものであり、個人的には許容できないです。もちろん、仮定を沢山置いた場合には、概算消費税額の計算が可能なこと自体を否定するものではないです。
彼らの主張がどこから来ているか、については池戸氏も述べているように元ネタは前衆議院議員で税理士の安藤氏の思想・消費税観から来ているものです。
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/26948
消費税がファンタジーである、という主張については、事業の競争力などの市場原理を無視したものであり、税法の問題では無いのでここでは触れません。
また、消費税が直接税である根拠として入湯税を取り上げて、消費税との違いを挙げておりますが、この点については学説では以下のように分類されており、消費税が直接税である根拠にはならないと考えられます。
あくまでも直接消費税と間接消費税は、個別的な消費行為にかかるもので特別徴収の形態をとるか、事業者が申告納税方式により申告を行っているかの違いであって、納税義務者と税を負担する者が異なることには変わりがないではないでしょうか。
消費税が直接税である理由として、一般消費者はあくまでもコストの一部として消費税相当額を支払っており、消費税そのものを支払っている訳では無い、との主張がよく見られます。
前述の通り、消費者から消費税相当額を受け取った事業者の存在や多段階(前段階)税額控除方式を無視した場合には理屈が通ります(そのために前述の通り、算式の変形が必要なんですね!)が、消費者が支払った消費税相当額は事業者側で売上に係る消費税となる訳で、そのロジックは通らないのではないかと思います。
対価の額の定義だって、消費税及び地方消費税に相当する額は含まないと明記されている訳だし、条文上消費税相当額が本体対価と分けられる以上、最終消費者に対する商品の販売や役務提供の対価について、対価の額=課税標準に含まれない部分は一般消費者が負担していると読んで当然じゃないの?って思いますけどね。なんで違うって読めるのか意味わかんないです。中学時代国語の偏差値80あったけど、今は30くらいだからかな。
ここまで書いてきましたがやっぱりインボイスが憎いです。絶対に反対です。あんなものに賛成するのは国家の番犬と一緒ですよね?サッカーの試合の後半20分くらいでいきなりオフサイドのルール変わるようなものですよ?めちゃくちゃいじわるなやつが出す大富豪(大貧民)の革命のタイミングじゃん。まじで成熟しつつある消費税法を今更リフォームしないでほしい。財務省とか白川郷にタワマン建てるような思考の持ち主しかいないんか。
という訳で飽きてきたのでこの辺で。
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