むき海老を探せ!
文・撮影/長尾謙一
・ハーブシュリンプむき海老IQF
・クリスタルホワイト(真空パック)
・クリスタルホワイトIQF
・クリスタルホワイトIQF(尾付き・伸ばし無し)
・バナック
・天然勝負 マリンプレシャス
・オーストタイガー海老剥き身
・グランプリ
(素材のちから第38号より)
シュリンプレポート①
料理に使うむき海老は、もちろん念入りに選びたい。なぜこのブランドを使うのか、天然か養殖か、産地はどこなのか、味や食感はどうか、なぜこのサイズなのか、価格はこれで妥当なのか。たくさんあるむき海老商品の中から、メニューに合うものを探して使いたい。
むき海老商品の違いを知らなかった!
むき海老商品なんてどれも同じだと思っていた。とんでもない、海老の種類の違い、育つ環境の違い、餌の違い、加工技術の違い、安心・安全の課題、用途の違い、荷姿などによってたくさんの商品がある。さらにサイズも使いやすいように細かく分かれている。こんなにむき海老に違いがあるとは知らなかった。
むき海老一尾にこだわることで、料理が変わる。
使っているむき海老はどんな商品?
むき海老商品をどうやって見極めたらいいだろう。実は日本で流通している海老の約90%以上は海外産で、国内で漁獲されたり養殖されたものは10%にも満たない。冷凍のむき海老商品もそのほとんどが海外で加工し輸入される。
そこで、ここに重要と思われる〝むき海老商品の要素〟をあげてみた。①海老の種類、②天然か養殖か、③原料の鮮度、④養殖環境および漁獲環境、⑤餌の違い、⑥温度管理、⑦加工工程、⑧保水剤処理、⑨凍結レベル、⑩商品のパッキング形態、⑪トレーサビリティー、⑫サイズのバリエーションなど、思いつくままピックアップしてもこれだけの要素があげられる。それだけたくさんのむき海老商品が市場にあるのだ。
サイズを見直すことで原価が変わる
下のサイズ比較に使ったのは(株)ノースイ様よりご提供いただいた「ハーブシュリンプ」というむき海老商品だ。一番下の海老の右にあるサイズ表をご覧いただきたい。
サイズの表記として16/20、21/25という数字があるが、これは1ポンド(453.6g)あたりの〝殻付き無頭状態〟での尾数を示している。
たとえば16/20の場合1ポンドあたり16〜20尾という事は、1尾約25g(453.6g÷18尾)くらいの殻付き無頭の海老を剥いて約20g(剥いた後の歩留まりは約80%)のサイズにしたという事になる。
つまり「ハーブシュリンプ」のむき海老商品の1尾あたりの重量は、約20g~約4.5g(71/90は1ポンド453.6g÷80尾×80%)までの8段階に分けられた商品規格があるということだ。実に細かい。
サイズはこのように細かく丁寧に選別されているので、サイズを一つ見直すことで1年当たりの原価が変わるかもしれない。すでにお話した①〜⑫の〝むき海老商品の要素〟を加えると、むき海老商品の選択肢は相当多い。
むき海老といっても〝尾付きむき海老〟や〝ボイル海老〟など、まだまだ他にたくさんのアイテムがあり、今回はその入り口に過ぎない。
【適海老適所】 どのむき海老を選ぶかで1年のコストが変わる。
今回(株)ノースイ様に商品提供をお願いして、編集部でピックアップしたむき海老商品をご紹介する。
●ハーブシュリンプむき海老IQF
ハーブで育つ甘みと旨みの濃さが際立つ
ハーブシュリンプはハーブを配合した餌を与えることで、身の中に旨み成分を蓄え、甘みの強い海老に育つ。保水剤は使用しない。海水の塩分濃度も徹底管理し、養殖密度は低く抑える。背中を開いたバックカット処理のため、加熱後に海老が大きく開き、ボリューム感や華やかさがアップするのもいい。
●クリスタルホワイト(真空パック)
むきたての身のみずみずしさを900gの真空パックに
塩分濃度平均2%の海水で養殖するため海老の旨み成分値が上がりおいしい海老に。自社管理の養殖池の原料に限り、稚海老の段階までトレースすることができる。活〆後、加工工程内で真水に浸けないよう注意して海老の細胞を壊さず、旨みの流出を防いでいる。900g真空パックにより、流水解凍の際にも直接水に触れず旨みを逃がさない。
●クリスタルホワイトIQF
独自のNPSCOが海老本来の旨みと食感を残す
むき海老は商品によって保水剤を使い加熱による縮みを防ぐための処理をする。通常の保水剤処理では長時間の浸け込みによって保水剤が中心部分まで浸透するため身質が変化する。そこで、独自のNPSCOにより、むき海老からの旨み流出を抑えぷりっとした食感を残している。
●クリスタルホワイトIQF(尾付き・伸ばし無し)
伸ばし加工していない〝尾付き〟むき海老
尾部の殻をあえて残したむき海老。通常のむき海老とは違い、尾部のボリューム感や手づくり感を演出できるため、海老らしい印象をメニューに添えられる。伸ばし処理を行っておらず、IQF凍結なので通常のむき海老と同じように扱える。もちろんNPSCO(ノースイムキエビ表面コーティング処理)なので海老の旨み、食感も良好。
●バナック
強いNPSCOがむき海老の風味と食感を保つ
中華料理など揚げたり炒めたりする強い加熱は、むき海老を硬く縮ませる。バナックは強いNPSCO(ノースイムキエビ表面コーティング処理)をすることにより強い加熱にも縮みにくく、海老のぷりっとした歯ごたえのいい食感が保てるようにしている。900g真空パックの形態により、海老を大量に使用する場合には流水で一気に解凍できるのもメリットだ。
●天然勝負 マリンプレシャス
天然海老ならではのおいしさと風味
天然海老は養殖海老とは違ったおいしさや風味を持っているが、供給が安定しづらいデメリットがある。この商品は品質を厳選した原料を指定した上で、海外および国内工場での生産を組み合わせることで、天然海老のよさをいかした商品を安定供給している。もちろん添加物による保水処理は一切行っていない。
●オーストタイガー海老剥き身
オーストラリア天然海老ならではの甘みと香りの余韻
オーストラリアの綺麗な海で育った生食レベルの天然海老をむき身にしている。養殖海老にはない新鮮な天然海老のおいしさが楽しめる。味が深く、エビマヨやエビチリ等ソース系の料理にしてもソースの味に負けず、噛むほどに甘みが溢れ香りの余韻が楽しめる。もちろん無添加、サイズも大小MIXで多様な料理に使える。
●グランプリ
手頃な価格、小型サイズを幅広いメニューに
小型の天然海老のむき身原料を、国内工場で使いやすいようにIQF凍結。養殖海老では選択肢の少ない小型サイズを中心にラインナップ。必要量を解凍して使えるため無駄がない。手頃な価格に加えて小型サイズなので、加熱してさまざまなメニューのトッピングとして幅広く使える。
(2020年8月31日発行「素材のちから」第38号掲載記事)
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