見出し画像

自由なゼラチン。

ゼラチンで綺麗に固める料理も、ギリギリに固まったやわらかなジュレも、どんな状態にも「ゼラチン21」は柔軟に対応する。
最高級といわれるその品質は、合わせる素材の持ち味をいかす自由なゼラチンだ。

文・撮影/長尾謙一 

ゼラチン21
(素材のちから第45号より)

独自製法により、50℃程度の液体に直接ふり入れて溶ける顆粒タイプ。ふやかす手間がなく素早く溶かせる。においが極めて少なく無色透明。ゼリー強度が強いため、少ない量で固まる顆粒ゼラチンの最高級品。

このゼラチンで、もっと繊細な食感を攻めてみたくなりました。

料理長 小川 勝哉 さん

赤坂 エクセルホテル東急 東京都千代田区永田町
東京メトロ赤坂見附駅、永田町駅に隣接し、浅草寺をはじめ主要な観光スポットへのアクセスが便利。見どころの多い市内中心部に位置し抜群の立地を誇る。まわりには外資系企業も多いためビジネスの拠点に利用されることも多く、柔軟性のある丁寧な接客サービスと、魅力ある料理の提供を心がけている、四季のイベントと組み合わせた料理フェアーなどお客様からの評価は高い。

ゼラチンはアスピックゼリーのように液体を固めて素材を寄せたり、果汁を固めてフルーツのゼリーをつくるように、基本的には液体を固めるために使う。しかし、今回の料理とデザートは、ゼラチンをできるだけ固めないところを狙ったという。ギリギリの状態で固まった独自の口溶けを「ゼラチン21」が実現している。

「ゼラチン21」は自由度の高いゼラチン

顆粒タイプの「ゼラチン21」は、もう14年以上前から使っています。直接投入で溶けますから、前もってふやかしておく時間もスペースも必要ありません。

ゼラチン強度が高いので少ない量で固まりますし、ゼラチン特有のにおいもなく、色もすっきりしていて純粋なゼリーをつくることができます。
膨潤しないため水分が影響することがありませんので味にブレがありません。微妙な調整もしやすく少ない量のゼリーもつくれ、とても自由度の高いゼラチンです。

今回は「ゼラチン21」で、ホワイトアスパラ、オクラ、フルーツトマト、紅芯大根、京人参、山芋などで夏野菜のサラダをつくってみました。

夏野菜のサラダトマトと野菜の
やさしい2種類のジュレ

添えるゼリーは2種類です。ミキサーにかけたトマトをペーパードリップして透明な液体を集め、これを加熱して「ゼラチン21」を加えたトマトのジュレ。それからアスパラの皮、玉ねぎ、セロリ、みつばを水で煮て濾し、そこに「ゼラチン21」を加えた、ブイヨン・ド・レギュームのジュレです。

今回はゼラチンをとことん固めないように使用量を微調整して、2つのジュレがギリギリで固まる状態をつくりました。これ以上硬いとだめなのです。この微調整は「ゼラチン21」にしかできないのではないでしょうか。

ギリギリで固まっているジュレ

このギリギリのジュレは、とにかく口溶けがよく、それぞれの夏野菜に素直に馴染みます。夏野菜をプルプルしたゼリーと合わせるのも清涼感があっていいのですが、もっと繊細な部分を攻めてみたくなったのです。

イメージした通りにジュレがやさしく口の中で溶けてくれて、夏野菜らしい、いきいきとした香りと食感を引き立てています。こうして料理人の発想に応えてくれるのも、このゼラチンのポテンシャルなのでしょう。

コンマ何グラムの微調整でゆるいジュレの限界点を狙う

次は、〝ホタテとハマグリとアワビの冷たいナージュ風〟です。和食の水貝のような「涼」を求めて楽しむ夏の贅沢な料理、そんなイメージです。

ホタテとハマグリとアワビの冷たいナージュ風

ホタテは生で、アワビとハマグリは低温調理でやわらかく仕上げます。ハマグリの旨みがギュッと詰まった白いゼリーと、昆布と三杯酢のゼリーですね。貝のやわらかな食感と競うようにゼリーの食感もやわらかくしています。

すべてがやわらかな中に、少しずつ口あたりの違いがあって、そこにゼリーの味とデリケートな木の芽の香りが組み合わさることで、冷たいナージュが完成しています。

次の〝オマール海老の冷製クリュスタッセソースゼリー〟は、甲殻類のゼリーと低温調理したオマール海老の組み合わせです。

オマール海老の冷製クリュスタッセソースゼリー

オマール海老やカニの殻、それからしじみで出汁をとります。これをちょっと煮詰めて濾して、サフランを加え香りを出し、そこに「ゼラチン21」を加えてジュレをつくりました。

低温調理したオマール海老のしっとりとした食感と口の中で溶け合うようなイメージで、このジュレもコンマ何グラムの微調整で、ゆるいジュレの限界点を狙いました。

食感的にどちらが勝つでもない、ギリギリの表現ができました。とても一体感のある仕上がりになったと思います。

マスゼラチンできめ細かな食感をつくる

デザートの〝はちみつとレモンのブランマンジェと柑橘ゼリー〟もギリギリの食感を狙いました。このメニューは私の発想を伝えて、私どものパティシエにつくってもらいました。

パティシエ 加藤 楓 さん
はちみつとレモンのブランマンジェと柑橘ゼリー

「ゼラチン21」を、ヨーロッパで結構使われているマスゼラチンという状態にしておいて、はちみつとレモンのブランマンジェをつくります。
こうすると通常のブランマンジェの硬さではなく、とてもきめが細かく食べたら口の中ですっとなくなる食感になります。杏仁豆腐に似ていますが杏仁豆腐の方が硬い、ヨーグルトに似たとろみなのですがヨーグルトの方が粗い、そんなイメージです。

ブランデーに一晩漬けてアルコールの風味をつけたオレンジとグレープフルーツをのせ、「ゼラチン21」を直接投入してつくったはちみつレモンのジュレをその上に流し、ライムの皮を削って添えました。

「ゼラチン21」をマスゼラチンにしたブランマンジェは、もの凄くなめらかになり、「ゼラチン21」を直接投入した方には少しコシが出ます。下のブランマンジェのやわらかさを計算して上のジュレをつくっています。やわらかくつくりましたがダレないでしっかりと固まっています。

今回は「ゼラチン21」に新しい発見をさせてもらいました。


協力/お問い合わせ:新田ゼラチン株式会社

(2022年6月30日発行「素材のちから」第45号掲載記事)

「素材のちから」本誌をPDFでご覧になりたい方はこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?