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〝天然〟の魅力を楽しむ。

文・撮影/長尾謙一 
料理/横田渉 

北海道産 天然サクラマス(ドレス/セミドレス)
(素材のちから第42号より)

北海道で獲れた魚体2.5~3kgアップの〝天然サクラマス〟を、使いやすいドレスとセミドレスに加工。高級料亭や高級寿司店で使われる幻の魚を手軽に使うことができる。

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大きな魚体にはたっぷりと脂がのり、その脂はすっきりとしてキレがいい。
〝ナチュラル〟とは、こんなおいしさに使う言葉なのだろう。〝幻の魚〟と呼ばれるラウンドサイズ2.5kgおよび3kgアップの〝天然サクラマス〟。味も香りも食感も、そのすべてが自然だ。

人気のサーモンメニューを、〝天然〟で差別化してみてはいかがだろうか。

〝天然〟で育った大きなサクラマスのおいしさは別レベル

昔、日本でもたくさんのサクラマスが漁獲され、日本でマスといえばサクラマスのことだった。このため今でもサクラマスは本マスと呼ばれる。

大きなものは2.5〜3kgアップのものもあるが、漁獲量が少なく幻の魚と呼ばれ高級な料亭や寿司店で使われるために、一般にはあまり出回らない。

ご紹介する「天然サクラマス(ドレス)」は北海道函館、「天然サクラマス(セミドレス)」は襟裳で水揚げされた大きなサクラマスを原料に使う。魚体はもちろん2.5〜3kgアップ、しかも天然だ。水揚げされた死後硬直前の天然サクラマスを加工し急速凍結している。

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注目するのは脂のノリだ。大きな魚体には、たっぷりと良質な脂がのっている。養殖されるマスの多くは、魚体が1〜1.5kgになる頃に出荷するため、十分に脂がのっているとはいいにくい。2.5~3kgまで大きく育てることもできるだろうが、養殖期間が延びるためにかかる餌や人件費などのコストを考えると実際的ではない。

「天然サクラマス(ドレス)」「天然サクラマス(セミドレス)」は天然のため、その脂はすっきりとしてキレがいい。背の部分は刺身で、腹の部分は焼こうが煮つけにしようがどんな料理にも合う。

早速、「天然サクラマス」を〝焼き霜づくり〟にして試食してみた。

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口に入れた途端に焼けた皮の香ばしさとともに脂の旨みを感じる。皮と身の間にあるおいしい脂がたまらない。身は深い赤色を帯びて透明感を感じ、やわらかな身には心地よい歯ごたえが味わえる。

さらに、この「天然サクラマス」には、マス独特のにおいがないことに驚かされる。いつも食べるマスとは香りが違う。

一般的にサーモンと名のつくメニューには養殖されたマスが多く使われるが、天然物は養殖物に比べて独特のにおいがしない。これは育つ餌と環境の違いによるものだ。脂、旨み、食感、色、香り、「天然サクラマス」のおいしさは、もう別レベルだ。

それでは、他にメニューをつくってみよう。

〝天然〟のおいしさがメニューの中にどんどん見つかる

それでは「天然サクラマス」を調理して、そのおいしさを楽しんでみよう。
まず、「天然サクラマス」を〝塩焼き〟にしてみることにした。

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〝焼き霜づくり〟で感じた脂のノリのよさは焼いても変わらず、ふっくらと焼けた身からジューシーに旨みのある脂が溢れる。やわらかくふくらんだ様子からは「天然サクラマス」の鮮度のよさがうかがえる。シンプルな料理ほど素材のポテンシャルが分かるというが、まさにその通りだ。

加熱してもマス独特のにおいはまったく感じない。香りのいいこの濃厚な旨みは「天然サクラマス」が大きく育つ間に身に蓄積したものだ。このおいしさは絶品と言えよう。

次は〝バターポワレ〟にしてみる。「天然サクラマス」に塩をして皮面に薄力粉をふり、粗挽きの黒胡椒を張り付けるようにまぶし、これをオリーブオイルとバターで焼いた。バターソテーしたじゃがいもと小松菜、レモンを添えて盛り付ける。

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「天然サクラマス」の皮もおいしく食べるために表面にたっぷりと黒胡椒をまぶして焼いてみると、香ばしくパリパリに焼けた皮と、ふっくらとやわらかい身のバランスが絶妙だ。

今度はオリーブオイルと粒マスタードで「天然サクラマス」をマリネした。

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きのこをニンニク、塩、オリーブオイルで炒めて冷ましたものの上に盛り、ディルを飾った。塩をあてた「天然サクラマス」は、旨みがさらに凝縮し、とろりとしたおいしさを楽しませてくれる。

最後は〝天然サクラマスのタルタル〟だ。「天然サクラマス」の骨まわりの身を丁寧にスプーンでとり、これを細かくたたき、玉ねぎを細かく刻んで水にさらしたものと合わせ塩、レモン汁、オリーブオイルで和え、ケッパーとディルを添えた。

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「天然サクラマス」は細かくたたいてもプリプリしていて弾力性がある。チーズやサワークリームと一緒にカナッペにすれば、最高の白ワインのつまみだ。

「天然のサクラマス」の料理を考えるのは楽しかった。料理をつくるたびに〝天然〟のおいしさに、たくさんの驚きがあるからだ。


協力/お問い合わせ:株式会社ナチュラルシー

(2021年9月30日発行「素材のちから」第42号掲載記事)

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