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まさに、ドラマチックスパイス。
鶏手羽にたっぷりとかけられた「ざくがけスパイス」が、深まった秋に地面いっぱいに降り積もる美しい落葉に見える。静かな眺めの料理からやがて辛みと旨みのおいしさがはじまる。「ざくがけスパイス」は日本料理にも使える。
文・撮影/長尾謙一
ざくがけスパイス
(素材のちから第42号より)
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62419227/picture_pc_1d4a27f0c7770f2330227c5337ad7e9e.jpg?width=1200)
「ざくがけスパイス」は、唐辛子とオニオンのスパイス感とエビの旨みのきいた〝万能スパイス〟。〝ピリ辛〟の唐辛子と〝旨み〟の唐辛子の2種類をブレンドした辛さは、一度食べるとやみつきになる。塩分を控えザクザクした食感を料理にたっぷりトッピング。
「ざくがけスパイス」はピリ辛の中に旨みを持ち、辛みのレベルとしてはとても使いやすいが、たっぷりと中華メニューにふると一気に激辛のイメージに仕上がる。食べてみると食べやすくその意外性も好評の秘密だが、日本料理に使うとどうだろう? そこで今回は日本料理・鈴なりの村田さんに「ざくがけスパイス」を試していただいた。「ざくがけスパイス」と日本料理の相性はいかに。
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店主 村田 明彦 さん
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62483312/picture_pc_cfb1e366979e47e6dbd30ec2d940662a.jpg?width=1200)
鈴なり 東京都新宿区荒木町
開店は2005年12月。〝日本料理の魅力をリーズナブルな価格でお客様に提供したい〟という、開店当初からのコンセプトはいまだに変わらない。季節ごとに選ぶ器に旬を迎える素材の〝走り〟〝盛り〟〝名残〟を見事に料理で表現する。「料理は一つ一つの積み重ね、一生勉強!」と手間を惜しまない丁寧な仕事が光る。
「ざくがけスパイス」で、和の季節感が表現できます。にんにくの風味が残らず日本料理にも使いやすいと思います
「ざくがけスパイス」は中華のシェフの発想から開発されたそうですが、使ってみると日本料理にも凄く合うと思いました。
にんにくのように香りが強いものは、口の中の香りを支配してしまうので、日本料理ではあまり積極的には使いません。
でも、にんにくはやはりおいしいので、脇役に使えるなら旨みも上がっていいと思います。「ざくがけスパイス」はそれほどにんにくの風味が残らず、使いやすいと思いましたね。
「ざくがけスパイス」を中華のメニューに使っているのを拝見すると、確かに見た目には激辛をイメージしましたが、日本料理に使ってみるとちょっと違ったニュアンスも感じました。私は「ざくがけスパイス」が落ち葉に見えたのです。
いきいきと命を感じる緑豊かな夏が終わり秋になると、色鮮やかな紅葉を迎えます。赤や黄色が輝くように美しい葉も秋の深まりとともにやがてハラハラと地面に落ちて積もっていく、そんな一面に降り積もった落ち葉の美しさを想像しました。
こうした季節を感じさせてくれる点も日本料理に合うと思うのです。お皿の色、形、絵柄を変えることで、「ざくがけスパイス」は春夏秋冬それぞれの表現をすると思います。
こちらの料理は〝鶏手羽の昆布締め〟です。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62486844/picture_pc_1c79f404de9ca61cd03c1ff5d3a3d76c.jpg?width=1200)
昆布締めした鶏手羽を低温の油で、中にあまり火が入らないように揚げ、それに醤油を刷毛で塗りながら遠火で炙るように焼きました。昆布締めにした鶏の旨みの凝縮感を「ざくがけスパイス」がさらに深く感じさせます。ボイルして出汁に漬けておいたサラダ菜がシャキシャキした食感を持っていて、スパイスのパリパリ感とよく合っています。
焼鳥にふってもおいしいし、豚肉にも合うし、肉料理全般におもしろさを添えてくれると思います。一味や七味とは違う肉料理へのアプローチですね。
見た目も、風味も、食感も、いつもの料理がドラマチックに変わる
こちらは〝里芋ときのこの白和え〟です。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62419750/picture_pc_753fa6c9cca6097d648342c144b49e4f.jpg?width=1200)
里芋を出汁、醤油、みりんで炊いて、炊き上がったらフライパンで両面に焼き目をつけます。舞茸と一本しめじ、椎茸を適当な大きさに切ってフライパンで焼き、炊いた里芋の地にそのまま一緒に漬けておきます。
白和えは木綿豆腐を裏漉しして、そこに塩と砂糖と白ごまをすったものを加えてつくり、汁気を切った里芋ときのこの上にのせました。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62419827/picture_pc_effbe2cbfc199512c5581dff412c7f4b.jpg?width=1200)
白和えにはちょっとピリ辛が欲しいなといつも思うので、糸唐辛子をよくのせますが、何か物足りなさがありました。
しかし、「ざくがけスパイス」のほどよいピリ辛感とローストしたにんにくの香ばしい風味が、白和えの甘さに深みを増しています。そこに焼き目をつけた里芋の香ばしさも加わります。赤の色みもアクセントになっているし、ザクザクした食感がたまりませんね。
風味を加えるだけでなく、食感も加える薬味のようなスパイスですね。
「ざくがけスパイス」を使うメニューが、どんどん浮かんでくる
今度は鱧をフライにしてみます。鱧は秋が旬ですから、今は脂がのっていておいしいんですよ。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62419727/picture_pc_f1384f0f079318323329e3e448994a70.jpg?width=1200)
鱧を骨切りして、中に梅肉とセリを巻き込んでパン粉をつけて揚げ、これに「ざくがけスパイス」をたっぷりとふりました。フライをソースやタレではなくて、スパイスで食べるところがおもしろいですね。
淡白な鱧の白身に梅肉がほんのりと香る優美な味わいに、「ざくがけスパイス」のピリ辛がアクセントを加えます。フライ物には「ざくがけスパイス」がよく合いますね。塩分が控えめなのでたっぷりと使えます。見た目と違って辛すぎないのもいいし、インパクトは確かにありますね。
刺身にもいいと思います。たとえば、鰹の柵に「ざくがけスパイス」をたっぷりとまぶしてフライパンでまわりを焼いて、たたきのような感じで仕上げるのはどうでしょう。そのままふりかけるだけでもいいのですが、「ざくがけスパイス」を焼いたらどうなるか興味があります。
秋の戻り鰹の時期に使ってみましょう。脂をたっぷり持った鰹に香ばしく焼けた「ざくがけスパイス」の風味は合うと思いますよ。
薬味にはいいし、真薯にもいいし、椀種にしてもいい。煮物にもいいですよね。和え衣にしてもいいし、炊き込みご飯やおにぎりや雑炊、鰻なんか絶対においしいですよ。醤油、みりんとの相性は抜群ですよね。
こうしてみると、どんどんメニューが浮かんできますから、「ざくがけスパイス」は〝万能調味料〟という説明には大いに納得できますね。
(2021年9月30日発行「素材のちから」第42号掲載記事)
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