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白いレース襟揺れ 花の芽告げて

冬の山は白いレースのよう
その頭を上に向けた
やり残したことはない
すべてを胸におさめ
ただ厳かに白いレース襟つけて
自分を造った偉大なる方の前に
深く息を吐いた

どこかでサイレンが鳴り響く
山裾の向こう

灰色の空の下
凍える木々に枝たちは
風と語り合う
春はまだまだ、ずっと先
そう、北風はさとした

冬の枝は
か細く揺れるレース襟
春はまだなのか、と待ちわびる

いや、もうすぐだ
もうすぐそこだよ

だれかがささやいた
近くに聞こえる
その声は
そう、枝についた小さな花芽たち
春はすぐそこ、もうすぐだ

春がまた来るなら
笑えよ 山よ
その手を広げ 高く上げ
枝の花芽が薄桃色に咲き誇る

新しい季節を告げ知らせるのだ
歌えよ 歌えよ 春のうた
笑いながら 希望の意味を知らせるのだ

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