おい学生さん!その会社に入るのはやめといたほうが!
と、言いたい気持ちをぐっと我慢している。
ここはとあるスーパー銭湯。風呂上がりの休憩スペースは広く、漫画がたくさん並んでいたり、テレビ付きのリクライニングシートがあったり、パソコン作業ができるようなエリアもある。
ワンピースって今何巻まで進んでるんだっけ?と思いながら本棚をみてまわる。10巻、20巻くらいならともかく、50、80となると集中力も記憶力も追いつかない。え?108巻?煩悩じゃん!
「少年ジャンプ史、いや、漫画史にのこる名作をリアルタイムで読まないなんて損ですよ!」と熱く語っていた後輩白井くんの顔を思い浮かべながら、とりあえずYogiboに寄りかかる。うわー、このまま寝れる〜寝ちゃえる〜
すると、パソコンエリアの方から、結構でかめな声が聞こえてくる。
「我が社以外にも書類選考や面接って進んでるんですか?」
「うちだけですか。それはチャレンジングですね」
「ペルソナって聞いたことあります?」
「入ってからやっぱり違うなってなったら、お互いアンハッピーじゃないですか」
「あ、英語できるんですね、なるほどなるほど」
「プレゼン力と聞く力、やっぱりこれが大事ですね」
マジか、、スーパー銭湯のパソコンブースで面接してんのかよ、、、、
そのスーパー面接官、いや、スーパー銭湯館内着面接官は落ち着いた丁寧な口調だし、声も聞き取りやすい。背中と金髪と黒縁メガネしか見えないが、やけに自信たっぷりで、プレゼン力はありそうな気がする。
「すいませーん、ここ、スーパー銭湯の休憩スペースなんで、もう少し声のボリュームを落としてもらってもいいですか〜?」
アホのふりしてやってみようかな。逆ギレされたら「でもさっき、聞く力が大事だっておっしゃってたじゃないですか〜」という二の矢も用意して。
チャレンジングな大学生に告ぐ。WEB面接なのにカメラを絶対にオンにしない金髪メガネ堂々マンには気をつけて!